パフューム ある人殺しの物語
劇場公開日 2007年3月3日
解説
パトリック・ジュースキントによるベストセラー小説を映画化したサスペンスドラマ。18世紀のパリ。魚市場で生み捨てられたジャン=バティスト・グルヌイユは、超人的な嗅覚を持っていた。ある日、街で出会った女性の香りに取り憑かれた彼は、その香りを再現するために香水調合師に弟子入りする。やがて、パリでは若く美しい女性ばかりを狙った連続殺人事件が発生し……。監督は「ラン・ローラ・ラン」のトム・ティクバ。
2006年製作/147分/PG12/ドイツ
原題:Perfume: The Story of a Murderer
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
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2022年4月11日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
魚市場で生まれ、捨てられたが生き残った主人公(ベン・ウィショー)は、超人的な嗅覚を持っていた。
この能力を香水で生かしていたが、禁断の匂い収集を始めてしまう。
最後の方は驚きの連続だ。
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魚介市場のゴミの上で生まれた主人公が、並外れた嗅覚を生かして、司祭すら平伏す名だたる香水職人になる話
という、一応のサクセスストーリー的な筋が一応りますが、そんなものどうでもいい程、絵が面白い!
他の人も投稿していますが、下層民たちの生きる環境の不潔さが、当時はこんなに酷かったんだと、納得させられるほどよくできており、
主人公も、いくら良い衣を着たとしても、下層階級出身なのだと思わせるほど貧弱な身体付きをしています。
また、官能的な描写も多々あり、えらい魅力的です。
クライマックスも官能描写と言えばそうなのですが、エロスはなく、ちょっと、神々しくも怖くも思えます。
ラストは、結局生地に戻り自分の身を他の者に食べさせるというキリスト教的な決着?をするのですが、そこは詳しくないので分かりません。
奇妙奇天烈な映画としては大変満足です!
2021年11月27日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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獣のように産み落とされ親の愛を知らずに育った男が、匂いをたよりに愛を求めるが
しかしそれも狩りをするように動物的で心がない。香りにとりつかれ、たどり着いたのは親の愛を一身に受けて育った少女。
かくして彼の求める至高の香水は完成した。
その香りを嗅いだ全ての人が本能のまま獣のように愛し合う。
最後には溺愛するわが子を殺された親すらも、彼の香水の前に恍惚となりひれ伏す。
その後、彼は自らの意思で産まれ故郷に戻り、香水をかぶり、獣のように食い殺され、香りのように跡形もなく消える。
非常に気持ちの悪い作品だが、唯一、人間的温かみ、可笑しみを添えてくれているのが小物の調香師を演じるダスティン・ホフマンだ。彼は人間臭い役が本当に上手い。私の中で彼がこの映画の救い。
何より気持ちが悪いのは、主人公が執着する「少女の匂い」が具体的にイメージできてしまうこと。子供の頃の記憶で、未だに同じような匂いを探し求めている。
よく匂いは記憶に直結するというが、そういった記憶に訴えかけてくる作品。
人に勧める気は起きないが、上質な映画の雰囲気はたっぷりある。
無理やりに解釈すれば、人間もただの動物ということか。親の愛ですら、圧倒的快楽の前には勝てなかった、と。
広場のシーンは、事実だけ並べれば間抜けで笑えるのに、映像にすると鳥肌モノの気持ち悪さだった。
2021年11月7日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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ベストセラーサスペンス小説の映画化作品。
18世紀のフランスで、匂いに異常なフェティシズムを持つ青年が主人公で、演じる007のQクン、もといベン・ウィショーが凄かった。
原作よりドラマチックに演出されているそうだが、ストーリーとしては分かりやすかった。
生まれつきの鋭い臭覚。調香師との出会い。エジプトのファラオの墓から発掘された、それを嗅いだ人が「自分は楽園にいる」と思い込んでしまうほどの強力な香水の言い伝え。そんな強い力のある、自分の「生きた証」となるような香水作りに夢中になる主人公。そのために「必要」なものを次々に収集していく。そして究極の香水は完成し、その結果を検証する機会をも得る。その様をどう捉えたのか、主人公は生まれた地に還っていった。
原作とは異なるらしいラストで、主人公は自分なりに罪を償おうとしたようにも見えた。
音楽も良かったと思う。主人公の究極の香水作りは誰にも止められない崇高なミッションであるかのように感じられた。ウイーン・フィルの演奏。贅沢だ。
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