ビートたけし、石原裕次郎賞「カメ止め!」を絶賛!?「蛭子能収の漫画を見ているよう」
2018年12月28日 18:10
[映画.com ニュース] 第31回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞の授賞式が、裕次郎さんの誕生日に当たる12月28日、都内のホテルで開催された。
石原裕次郎賞は、わずか2館での公開スタートから興収31億円を超えるメガヒットで社会現象となった「カメラを止めるな!」が受賞。濱津隆之ら出演者11人から祝福の花を受け取った上田慎一郎監督は、「もともとは劇場公開の予定さえなかった。これからも目の前のことを必死にやって、多くの人に届けられる映画を作っていきたい」と意欲を新たにした。
プレゼンターで昨年の受賞者の北野武(ビートたけし)監督が登壇し、「蛭子能収の漫画を見ているようだった。役者も皆ヘタクソなんだけれど、ヘタウマなんだな。ミスをしているところもまたいい」と毒舌交じりに絶賛。同作の製作費300万円に対し、賞金300万円だが「大抵はプロデューサーが100万円くらいは抜いている。金を持っちゃって、いい映画を作ろうとするとだいたい失敗する」と助言した。
石原裕次郎新人賞は、「パーフェクトワールド 君といる奇跡」など3作品での演技が評価された「三代目J Soul Brothers」の岩田剛典。裕次郎さんとは慶応大で学部、専攻も同じ後輩に当たり「肩書きはパフォーマーなので、表現者としてさらにエンタテインメントの世界を盛り上げていきたい」と宣言した。昨年同賞を受賞しながらインフルエンザで授賞式を欠席した竹内涼真も駆け付け、「お会いできて良かった」と石原まき子さんとの対面を喜んだ。
カンヌ映画祭のパルムドール(最高賞)に輝いた「万引き家族」が作品賞。是枝裕和監督は、テレビマンユニオンの同期の岸善幸監督から表彰盾を受け取り「つらいADの時代を一緒に過ごし、先輩の悪口を言い合っていた。まさかこんな日が来るとは。特別な時間を過ごしています」と感慨深げ。だが、同作で主演女優賞の安藤サクラの代理で受賞した子役の佐々木みゆから「また皆で会いたいので、パート2をお願いします」とおねだりされ苦笑いしていた。
「万引き家族」「モリのいる場所」「日日是好日」で助演女優賞に選ばれ、今年9月に亡くなった樹木希林さんに代わり孫でモデルのUTAが登壇し「約束した仕事は最後までと頑張ってきた祖母に、小さな恩返しができればと思ってきました」と挨拶。「不能犯」「娼年」で主演男優賞の松坂桃李は、「石原裕次郎新人賞を受賞した時、希林さんも『わが母の記』(共演した)『ツナグ』で受賞されて、僕の賞金の額(100万円)を聞いて『良かったわねえ、あんた』とうれしそうな表情が頭から離れません」としみじみ話した。
映画初出演、初主演の「響 HIBIKI」で新人賞を射止めた「欅坂46」の平手友梨奈は「実感は沸かないけれど、すごいことだと思います」と淡々。月川翔監督が「平手友梨奈がいなかったら、この映画は作れなかった」と称えたが、「私はそうは思わない」とクールに切り返した。
ほかに監督賞が「孤狼の血」「サニー 32」「止められるか、俺たちを」の白石和彌監督、助演男優賞が「嘘を愛する女」「空飛ぶタイヤ」「億男」の高橋一生、外国作品賞が「スリー・ビルボード」にそれぞれ贈られた。