止められるか、俺たちを
劇場公開日:2018年10月13日
解説
2012年に逝去した若松孝二監督が代表を務めていた若松プロダクションが、若松監督の死から6年ぶりに再始動して製作した一作。1969年を時代背景に、何者かになることを夢みて若松プロダクションの門を叩いた少女・吉積めぐみの目を通し、若松孝二ら映画人たちが駆け抜けた時代や彼らの生き様を描いた。門脇むぎが主人公となる助監督の吉積めぐみを演じ、「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」など若松監督作に出演してきた井浦新が、若き日の若松孝二役を務めた。そのほか、山本浩司が演じる足立正生、岡部尚が演じる沖島勲など、若松プロのメンバーである実在の映画人たちが多数登場する。監督は若松プロ出身で、「孤狼の血」「サニー 32」など話題作を送り出している白石和彌。
2018年製作/119分/日本
配給:若松プロダクション、スコーレ
スタッフ・キャスト
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2021年9月20日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会
若松孝二監督が2012年に事故で死去した際、筆者は李相日監督作「許されざる者」のロケで北海道・大雪山におり、山から下りた翌日に知らされた時の衝撃は今も忘れることができない。いち取材者がこれだけショックを受けたのだから、若松組の悲しみは計り知れない。
監督の死から6年後、若松プロダクションが再始動した。それが、「止められるか、俺たちを」。
1969年を時代背景に、若松プロダクションの門を叩いた少女・吉積めぐみの目を通し、若松孝二ら映画人たちが駆け抜けた時代や彼らの生き様を描いた。門脇麦が主人公となる助監督の吉積を演じ、若松組の常連だった井浦新が、若き日の若松監督役を務めた。監督は若松プロ出身で、「孤狼の血」の白石和彌。若松組のエッセンスが満載を見るにつけ、若松監督に思いを巡らせてしまう。
2019年9月30日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
この映画の主人公は女性だが、タイトルには「俺たちを」とある。この「俺たち」の中に主人公は含まれているのだろうか、というのが鑑賞前に気になるポイントだった。結果的には、この物語は「俺たち」の輪の中に入りたかったが、入ることのできなかった女性の物語だった。若松孝二の伝記映画であるが、彼自身を主人公にしなかったことで別の側面を産んでいた。彼女は若松孝二と赤塚不二夫が並んで立ちションをする姿を羨ましそうに見つめる。女にはできない友情の形だ。そんな彼女に千載一遇の並んで立ちションする機会が訪れる。しかし、彼女は立ちションすることを止められてしまうのだ。あの時、彼女が立ちションできていれば、その後の悲劇は起きなかっただろうか。むしろ、より深い絶望に陥っただろうか。そんなことを考えながら観ていると、ただ熱いだけの映画だけではなかった。さらに深い、重要な問いかけがあったのかもしれないと感じた。
2022年9月19日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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1970年代の映画監督と女性助監督
映画はこの女性助監督“めぐみさん”を中心に話が進んでいく。
映画を制作していくにあたり、この年代の現場は実に熱い。
映画の中で『映画の中で何をやったっていいんだ』というセリフが実に面白くて、いままで考えつかなかった思いが溢れてきた。
例えば「全裸監督」の村西とおるさんもそうなんだけど、作りたいものや出したいものに必ず制限がかかり、皆それに苦しむ姿や映画を取るために必死になってる姿が印象的だった。
それにしても、めぐみさんの最期は悲しかった…。
あの時代だと、人の死を知るのってあとになってからが多かったんだろうなぁ。
子供を育てながら監督をしてる方々っていまの時代にはいるだろうけど、あの時代は難しかっただろうし、背負いきれなかったのか…
父親のように可愛がってくださってた、若松監督に相談をすれば厳しくも受け入れてくれた予感がするが、映画の方向転換の時期だったから、誰にも相談出来なかったかったし…
堕ろすのも育てるのもどちらも選択できなかった結末だったのかな。
動き出したら止まらない姿や恐らくラストシーンは「あさま山荘への道程」の撮影へと繋がっていくのかと想像してしまう。
そして、タイムリーなのを見てしまったと思う
【若松孝二監督】についても調べたら、とあるニュースに繋がってしまった。
ニュースを読むと、足立正生さんが監督だ。
そしてもう1つ、この映画の音楽が曽我部恵一さん
革命とか政治とかが関係する「ビリーバーズ」でも音楽担当だった。
数々の偶然に驚いた。
映画界のつながりを感じた。
ちなみに私は藤原季節さんが出演していたので、観たのであって、そちら方面には興味はございません。
2022年5月11日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
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映画が好きで、でも、難しいことは分からないし、映画制作の技術や論理やその他諸々知らないことは多すぎる私が、若松監督の作品を初めて見たときものすごい衝撃をそ受けたのを今でも覚えている。(初めて鑑賞した作品はキャタピラーです)
本作品の主人公はめぐみ(門脇麦)。彼女が何者かになりたいと自問自答する中で、若松プロに入ることになり、その中でたった2年と数ヶ月の間過ごしたお話。
男だらけの映画製作チームの中でひたすらもがきながら、どやされてもひくことなく必死で食らいついているめぐみの姿は印象的だった。
それから、男性がビルの上からタッションするシーン。2度でてくるけれど、その2度ともめぐみは一緒にタッションするのを女性にとめられる。その時のなんとも残念がる表情がとても良い。
門脇麦の演技も存在感も醸し出す雰囲気、空気。どれもこれもがこの映画で輝いていて。彼女の魅力を十分味わえる。白石監督さすがですな。
めぐみの最期が自死というのはとても悲しい最期だった。死を選ばないといけなかったのかなー、、、赤ちゃんと一緒に生きる道を選んでほしかったなと思う。
この映画にレビューを残すなんて難しくて何を書けば良いのやら状態だが、とにかく若松プロダクションという場所で映画を作りたくて集まった人たちの情熱と映画愛にひたすらついていく鑑賞だった。
当時の社会情勢、世界情勢は今現在と違う部分もあるけれど、世界では恐ろしい戦争や紛争が未だ続いていたり、始まったり。若松監督がもしまだ生きていたら、今どんな映画を作りたいと思うだろうなぁ。
若松プロで映画づくりを学び経験した人たちのほんの一摘みをこの映画で拝見しただけだけれど、もっともっと若松プロの映画を観てみたくなった。(正直、そんなんばっかりみてたら心が病みそうやからほどほどにしたいけど)