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第28回東京国際映画祭ラインナップ決定、コンペ出品の小栗康平監督ら登壇

2015年9月29日 17:53

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第28回東京国際映画祭は10月22日開催!
第28回東京国際映画祭は10月22日開催!

[映画.com ニュース] 第28回東京国際映画祭のラインナップ発表記者会見が9月29日、東京の六本木アカデミーヒルズ49Fタワーホールで行われ、コンペティション部門に出品された16作品ほかが発表された。会見には、11年ぶりに日本映画3作品が出品されるコンペ部門に選ばれた「FOUJITA」の小栗康平監督、「残穢【ざんえ】―住んではいけない部屋―」の中村義洋監督と主演の竹内結子、「さようなら」の深田晃司監督と主演のブライアリー・ロングがゲストとして登壇し、作品と本映画祭への思いなどを語った。

前作「埋もれ木」(05)から10年ぶりの新作となる小栗監督は、パリが愛した日本人画家・藤田嗣治の知られざる半生を描こうと思った理由について「複雑な人生を生きた人で、日仏の文化の衝突から何かが浮かび上がってくるのではないかと思った」と説明し、主演したオダギリジョーについては「とても良かった。こちらに無限に任せてくる人で、映画をとても豊かにしてくれた」と絶賛。「映画祭でどんなふうに見てもらえるのか期待している」とした。

小野不由美の傑作小説の映像化に挑んだ中村監督は「本当に怖い小説で、撮影中も怖かったが、怖さを克服しつつも怖がりの自分を忘れないように心がけて臨んだ」と明かし、竹内も「小説も脚本もいただいてからしばらくは読めなかった。撮影中は一刻も早く家に帰りたかったほど」と振り返り、これまでのJホラーとは異なる新たなミステリー映画の誕生を予感させた。

人間とアンドロイドの共演で、平田オリザ氏の戯曲を完全映画化した深田監督は、放射能で汚染された日本を舞台に、人間の生と死の本質を問いかける内容について「原作は20分弱のもので、余白の多い内容だったから、そこを突き詰めていくことはやりやすかった」とし、ロングは「撮影前に福島に行って、被災者の方たちと出会って心を動かされ、とても大きな責任を感じた」と述べた。

今年はパノラマ、Japan Now、日本映画クラシックスの3部門が新設されるなど、新しい試みが行われている。映画祭の顔となるコンペ部門には、86の国と地域から1409作品が寄せられた。同部門のプログラミングディレクター、矢田部吉彦氏は「今年も世界の秋シーズンの新作を中心に傑出した才能による16作品を世界中から集めた」と説明。日本映画スプラッシュ部門の8作品については、「カラーは異なるがコメディタッチが半分ほど、いずれも個性的で、監督のみならず出演している俳優陣も注目して欲しい」と今年の特徴を語った。コンペ部門の審査委員長はブライアン・シンガー監督、審査委員はトラン・アン・ユン(映画監督)、ベント・ハーメル(映画監督、脚本家、プロデューサー)、ナンサン・シー(プロデューサー)、スサンネ・ビア(脚本家、映画監督)、大森一樹(映画監督、脚本家)の5氏。日本映画スプラッシュ部門の審査委員は、ジーン・ホアン(映画監督)、マーク・ペランソン(ロカルノ国際映画祭プログラマー)、渡辺真起子(俳優)の3氏が務める。

アジアの未来部門のプログラミングディレクター、石坂健治氏は今年の10作品について「5本がワールド・プレミア、他の5本も制作国以外でのインターナショナル・プレミアとなる。また、5本が女性監督によるもので、さらに親族に巨匠監督がいるなど、ニュータレントの台頭、世代交代を感じる」と大きな特徴をあげた。同部門の審査委員は、ジェイコブ・ウォン(香港国際映画祭キュレーター)、オリビエ・ベール(アルテ・フランス エグゼクティブ・ディレクター)、大森立嗣(映画監督)の3氏が務める。

Japan Nowについては、プログラミング・アドバイザーの安藤鉱平氏が説明。監督特集では〈原田眞人の世界〉と題し、原田監督5作品を上映する。特集企画では、「ガンダムとその世界」「Jホラー特集」「追悼特集『高倉健と生きた時代』」「寺山修司生誕80年 TERAYAMA FILMS」「生誕100年オーソン・ウェルズ 天才の発見」が上映され、「歌舞伎座スペシャルナイト」では、片岡愛之助による歌舞伎舞踊「雨の五郎」を上演、黒澤明監督「虎の尾を踏む男達」が特別上映される。

なお、比類なき感性でサムライのごとく、時代を切り開く革新的な映画を世界に発信し続ける映画人の功績をたたえる今年の「SAMURAI(サムライ)」賞は、山田洋次監督とジョン・ウー監督に贈られることが決定。また、今年のフェスティバル・ナビゲーターには季葉(KIWA)と野村雅夫、総合司会には羽鳥慎一西尾由佳理の両アナウンサーが抜擢された。

椎名保ディレクター・ジェネラルは、「大きな役目として、日本の文化を海外へ発信することを念頭に置いており、今年は日本映画を前面に押し出している印象があるかもしれないが、次のステップとして広い国と地域のより多くの作品を上映できる映画祭を目指していきたい」と抱負を語った。

本映画祭は10月22日~31日まで、六本木ヒルズ、新宿バルト9、新宿ピカデリー、TOHOシネマズ新宿ほかにて開催される。

【コンペティション】
・「スリー・オブ・アス」(ケイロン監督)フランス
・「ボーン・トゥ・ビー・ブルー」(ロベール・ブドロー監督)アメリカ=カナダ=イギリス
・「カランダールの雪」(ムスタファ・カラ監督)トルコ=ハンガリー
・「家族の映画」(オルモ・オメルズ監督)チェコ=ドイツ=スロベニア=フランス=スロバキア
・「FOUJITA」(小栗康平監督)日本
・「フル・コンタクト」(デビッド・バービーク監督)オランダ=クロアチア
・「ガールズ・ハウス」(シャーラム・シャーホセイニ監督)イラン
・「神様の思し召し」(エドアルド・ファルコーネ監督)イタリア
・「残穢【ざんえ】―住んではいけない部屋―」(中村義洋監督)日本
・「地雷と少年兵」(マーチン・ピータ・サンフリト監督)デンマーク=ドイツ
・「モンスター・ウィズ・サウザン・ヘッズ」(ロドリゴ・プラ監督)メキシコ
・「ぼくの桃色の夢」(ハオ・ジエ監督)中国
・「ニーゼ」(ホベルト・ベリネール監督)ブラジル
・「ルクリ」(ベイコ・オウンプー監督)エストニア
・「さようなら」(深田晃司監督)日本
・「スナップ」(コンデート・ジャトゥランラッサミー監督)タイ
【特別招待作品】
・オープニング作品「ザ・ウォーク」(ロバート・ゼメキス監督)アメリカ
・クロージング作品「起終点駅 ターミナル」(篠原哲雄監督)日本
・「エベレスト 3D」(バルタザール・コルマウクル監督)アメリカ=イギリス
・「黄金のアデーレ 名画の帰還」(サイモン・カーティス監督)アメリカ=イギリス
・「劇場版 MOZU」(羽住英一郎監督)日本
・「サヨナラの代わりに」(ジョージ・C・ウルフ監督)アメリカ
・「シーズンズ 2万年の地球旅行」(ジャック・ペランジャック・クルーゾ監督)フランス
・「ディーン、君がいた瞬間(とき)」(アントン・コービン監督)カナダ=ドイツ=オーストラリア

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