黄金のアデーレ 名画の帰還

劇場公開日:

黄金のアデーレ 名画の帰還

解説

グスタフ・クリムトが描いた世界的名画「黄金のアデーレ」をめぐって実際に起こった裁判と「黄金のアデーレ」に秘められた数奇な物語を、アカデミー賞女優ヘレン・ミレン主演で描いた。アメリカに住む82歳のマリア・アルトマンがオーストリア政府を相手に裁判を起こした。世界中を驚かせたその裁判は、クリムトが描いたマリアの叔母アデーレの肖像画「黄金のアデーレ」の返還要求だった。ナチス統治下のオーストリアで、ナチスによって奪われたその名画には、マリア自身と彼女を取り巻く人々のさまざまな記憶が詰まっていた。マリアとともに裁判を起こす駆け出し弁護士役にライアン・レイノルズ。ダニエル・ブリュール、ケイティ・ホームズが脇を固める。監督は「マリリン 7日間の恋」のサイモン・カーティス。

2015年製作/109分/G/アメリカ・イギリス合作
原題:Woman in Gold
配給:ギャガ
劇場公開日:2015年11月27日

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(C)THE WEINSTEIN COMPANY / BRITISH BROADCASTING CORPORATION / ORIGIN PICTURES (WOMAN IN GOLD) LIMITED 2015

映画レビュー

4.0絵が欲しいのか金が欲しいのかわからんけど

2024年1月6日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

現在のマリアが法廷闘争を繰り広げながら過去を回想するようにオーストリア在住当時を場面場面で見せていくやり方や、全体的なスリリングさ、ランディとマリアの友情のような絆、親子の絆、祖国についてなどのストーリーの部分、ぐちゃぐちゃになりそうな詰め込み気味のボリュームにもかかわらずスッキリとまとまっていた。
ランディが絵画の返還に熱をあげていく過程が少々弱かったけれど、それほど気になるものでもない。
つまり、ほとんど文句の付けようがないほどに良い作品だったし、面白かったのだが・・・

実話を元に作られているということで、ついつい、表面に見えているストーリーだけではなく、その下に眠っている別の物語について考えてしまうのである。具体的には、ユダヤ人の祖国についてと、アメリカという国についてだ。
他にもレビューに書いている方がいたが、政府の関与とか、そういった意味ではなくアメリカという国が、アメリカの国民性が、オーストリアから絵画を強奪したように見えてしまう。そう感じてしまう。
この物語ではマリアのアメリカ人としての国民性ということになる。彼女の新しい祖国アメリカ。その前の祖国は父親が移住してきたオーストリア。その前は・・・と、最初に書いたユダヤ人の祖国についてに繋がる。
映画の内容とあまりにかけはなれるので細かく書くつもりはないが、要は、スゴい美談のように作られている作品だったけど、目を凝らしてよく見たり、ちょっと考えてみると、ものすごくモヤモヤとした黒いものの存在を感じて複雑な気持ちになるんだよね。
それでも、余計な事を考えなければ面白かったし、余計な事を考えてもある意味面白かったので、やっぱり映画としては良作なんだな。

演技面では、ヘレン・ミレンは安定して良かったし、ランディを演じたライアン・レイノルズも頑張ってた。少なくとも、少年と揶揄されるだけのピュアさや頼りなさげな感じはとても良かったと思うよ。演技じゃなくて単なる素である可能性もあるけどさ。

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つとみ

4.0やられたらやり返せ

2023年12月31日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

オーストリアの裕福な家庭で育ったマリアには、クリムトのモデルになるほど美しい叔母がいた。その叔母アデーレを描いた絵は、戦争により奪われてしまった。戦後何十年も経ってしまったが、その絵を取り戻す過程を描いた作品。

ヘレン・ミレンのシャキッと伸びた背筋、ヒールでカッカッと歩く脚、傲然と上がる顔、すべてがお貴族様! 両親との別れのシーンは、自分も号泣。飛行機に乗る前もドキドキハラハラ。過去と現在のシーンの橋渡しがスムーズで、とても美しかった。

BS松竹東急の放送を録画で鑑賞。

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ぷにゃぷにゃ

4.0ずっと逢いたかった

2023年11月11日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

知的

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こころ

3.0文化財返還運動を先取りしたナチス批判映画の新たなバリエーション

2023年3月26日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

2013年、ミュンヘンの民間アパートの1室からナチスの収奪した絵画1,400点が発見されて、世界的に話題になった。そして、その所有者は誰か、返還すべきかが問題となった。いわゆるグルリット事件である。
本作のクリムト『黄金のアデーレ』返還はこれに先立つこと7年、2006年の実話だが、2015年という映画製作時期を考えると、上記グルリット事件に触発されたのかもしれない。

映画の内容はナチスによるユダヤ人迫害、財産収奪の経緯と、収奪されたクリムトの絵画の相続人がオーストリア政府に対し返還を求めた経緯の2つを交互に描いたものとなっている。
広義のナチス批判映画に含まれるが、最近のトピックを含むという点ではホロコースト否定論を巡る訴訟を扱った『肯定と否定』(2016)に類似している。これら2作品のように、ナチス批判映画もいかに迫害が行われたかを描くことから、近年はバリエーションを増やしていく傾向にあるらしい。

これは頷けることで、ナチス批判映画はもはや水戸黄門と同様、勧善懲悪で一律の紋切り型映画になりがちだからある。本作も、ナチスによる迫害とそれから逃走するシーンは他の映画で何度も見せられた話であり、ほとんど興味を呼ばない。
むしろ興味は、戦時はドイツにあっさり併合され、その後もナチス収奪絵画を国宝のように扱っていたオーストリア政府と、米国帰化ユダヤ人との返還交渉のシーンの方にある。返還を頑なに拒むオーストリアの学者が、何やらナチスのような悪漢として描かれているのは笑えた。

訴訟は所詮、単なる法的手続きなのでさして面白くはない。ただ、最初は返還不可能のところから徐々に盛り返し、最後の仲裁裁判で逆転するところや、その間の所有者の老婦人と弁護士の姿は引き込むものがあった。ウイーンの光景、重厚な建築物等も魅力的だが…それ以外、取り立てて目を引く箇所はない。

本作の公開後、この文化財返還問題は遥かに大きな動きとしてヨーロッパに拡大する。つまり、ナチスの収奪文化財返還から、近代に欧州諸国が植民地から収奪した文化財の返還に広がって、この傾向が現在に至ってますます強まっているのである。
2017年、マクロン仏大統領は植民地の文化財返還を約束、翌2018年にはアフリカ文化遺産返還に関する仏政府の報告書が提出され、以後、イタリア、さらに英国も渋々返還に動き出している。2023年現在ではギリシャ・パルテノン神殿の彫刻の返還が俎上に上っているという。

こうして見ると本作は、ナチスの収奪したユダヤ人の財産返還問題を通じて、欧州諸国による植民地の文化財収奪と返還を射程に入れており、話題性としては現在でも新しいと言えるかもしれない。

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