虎の尾を踏む男達

劇場公開日:

解説

能の「安宅」とその歌舞伎化の「勧進帳」を原案に、源頼朝から終われる身となった義経と弁慶一行の“安宅の関越え”を描く。黒澤は義経一行7人に付き添う軽妙な強力(ごうりき)を新たに配し、よく知られたこの話を、実にに軽快なコメディとして映像化した。大河内伝次郎演じる堂々の弁慶とエノケンのおしゃべりな強力、この対比の妙がこの映画を非凡なものにしている。息詰まる関所での問答とその後の晴れやかでいて物哀しいエピローグ。緩急自在の演出が堪能できる実に中身の濃い中編。

1945年製作/58分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1952年4月24日

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映画レビュー

4.5エノケン強力を生み出した黒澤監督

2024年2月14日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

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現代風の歌い方の長唄「勧進帳」から始まる。「旅の衣は篠懸(すずかけ)の 露けき袖や しほるらん」

大河内伝次郎、一声、二顔、三姿のお手本みたいだった。まさに弁慶役者(二代目吉右衛門の弁慶は加えて色気とフェロモンが匂い立つようだった)。問答でも勧進帳を読み上げるときも、歌舞伎では弁慶も富樫も観客の方を向きながらじりじりと緊張感を高めつつ富樫が弁慶に近づいていく。黒澤・勧進帳では、西洋の舞台のように両者は向かい合っている。これがとてもよかった。日本の舞台すべてにあてはまる、客に顔をみせるのが最も大事という考えから解放されている。それによって平面的で平板な絵でなくて、リアルで立体的な対決場面になっていた。

強力姿の義経を打擲した弁慶が義経に許しを乞う場面もすごくよかった。歌舞伎より両者間の距離が近く自然だった。そこで義経の品のある美しい顔が見えるのだが、照明がいいのかカメラの位置がいいのか誰もが自然と頭を垂れる義経の顔だった。義経役の仁科周芳(ただよし)というのは岩井半四郎さんのことなんですね。歌舞伎役者であり日舞の人、美しい。

そしてエノケン!茶化しつつも律義に弁慶チームに危険を知らせ判官贔屓の応援団!義経が強力姿になったのもエノケンみたいな本物の強力のアドバイスに従ったのかも、と思った。いや、そうに違いない!酒飲んでまずは踊るのがエノケン強力というのは腑に落ちる。そして弁慶が踊るか、というところで酒のせいもあって眠り込んだエノケン強力、目が覚めたら誰もいない。そこで弁慶の飛び六方をこけつまろびつエノケンがやってくれる。真っ白な勧進帳を見て大きく目を見開いてびっくりしたエノケン強力、愛嬌があって空気を和ませるエノケン強力。緊張するお話の中に入り込んで私達観客と同じ気持ちになってくれて一緒に勧進帳を楽しむバディになってくれた。勧進帳幕切れの花道はエノケンさん、あなたのものでした。

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talisman

3.5安宅と勧進帳

2023年1月29日
iPhoneアプリから投稿

を一つにまとめて1時間。素晴らしい構成だ◎
その上、冒頭の口上文が頼朝を端的に表しわかりやすい。
また、兄弟喧嘩に対する言い分もごもっともで流石である
黒澤映画は学びを得ながら観ることができるし
本当にイイね〜(^^)

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tomokuni0714

3.0まあまあかな。脚本の練りが足りないのかなと思うけどエノケン浮いてるよね。

2022年2月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

まあまあかな。脚本の練りが足りないのかなと思うけどエノケン浮いてるよね。

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Mr. Planty

4.0大変面白い。榎本健一のキャラクターが濃かった。

2020年6月30日
スマートフォンから投稿

大変面白い。榎本健一のキャラクターが濃かった。

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