天国と地獄

ALLTIME BEST

劇場公開日:

解説

エド・マクベインの原作を得て、黒澤明監督が映画化した全編息づまるサスペンス。製靴会社の専務権藤の息子と間違えられて、運転手の息子が誘拐された。要求された身代金は三千万円。苦悩の末、権藤は運転手のために全財産を投げ出して三千万円を犯人に受け渡し、無事子供を救出する。非凡な知能犯の真の目的とは。鉄橋を利用した現金受け渡しのシーンは秀逸で、実際にこれを模倣した誘拐事件が発生した。また白黒作品であるにもかかわらず、最も重要なシーンで一個所のみ着色を施すなど新たな演出も印象深い。

1963年製作/143分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1963年3月1日

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

映画レビュー

5.0天国と地獄がまさに黒沢天皇の手の中!

2024年1月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

知的

確か一度ノーカットで衛星放送で観てるのですが
覚えていなかったシーンがたくさんあって
やはり映画館で見ると集中力が違うよなあ〜と改めて感じました。

前半舞台劇の様な犯人のとのやりとりシーンでは
何よりも三船敏郎の圧倒的な存在感!
他人の命と我が身の成功を秤にかけて苦悩するところは
室内のシーンが続くのにまったく飽きずグイグイ引っ張って行かれる。
で、後半は仲代達矢のスマートで淡々としながらも
結構えぐい捜査手法を選ぶ警部と地道な刑事たちの捜査のシーンが
徐々に犯人に迫って行く姿もハラハラして目が離せない。

で、同じ様な警察捜査物の名作「砂の器」の犯人の動機に
ぼろ泣きした身としては、
どんな動機なのか?とドキドキしたのだけど〜〜

これは、一種の不条理映画なのかな〜〜

でも、自身の成功より命の重みを選んだ権藤さん(三船敏郎)と
自身の満足のために命を軽んじた犯人との対比は
やっぱり心にグッとくるし、
時代が変わっても普遍的なものに落ち着いたことが
やはりこの映画を名作にしてるんだろうな〜〜。

撮影過程でよく言われる、
身代金の受け渡しの鉄橋のそばの家の
二階が邪魔だからと、二階を外して撮影したとか
まあ、天皇と言われた頃の
黒沢パワーが映画全面に溢れかえってます。

とにかく面白い!!見ものです!!

あと、余談ですが冒頭の靴の話〜。
あんな簡単に手で引っ張って壊れる様な靴、
絶対売って欲しく無いわ。(by靴屋)

コメントする (0件)
共感した! 1件)
星のナターシャnova

5.0後世に誘拐事件模倣が実際に行われた恐るべき映画 魅力が列車と現金を...

2023年12月9日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

寝られる

後世に誘拐事件模倣が実際に行われた恐るべき映画
魅力が列車と現金を渡すシーン、推理のシーン、尾行のシーンと見どころ満載
最後に犯人の山崎努が三船相手に震えながら告白するところ良かった
三船の背中で終。犯人が存在があやふやになって三船のことが羨ましくて悔やんでる自覚してるかどうかわからないが全身のすごい震えからよく伝わってきた

コメントする (0件)
共感した! 0件)
チャン・パー

4.0タイトルなし

2023年9月12日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 0件)
ouosou

5.0面白い!

2023年8月14日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 自宅で動画配信サービスを利用して視聴しました。

 踊る大捜査線の中で青島刑事が「天国と地獄?」というセリフがあり、そんな映画があるんだなぁと思い続けて20年近く、やっと本作を見ました。

 最初の30分はほぼ権藤邸でのやり取りですが、刑事たちと同じ顔になってしまうような心苦しい時間が続きます。そこから特急こだま号での身代金の受け渡しでの緊迫感からの少年の解放、犯人の登場、捜査シーンへの移行、ここまでの流れがとても綺麗で、完璧だと思いました。
 捜査シーンに入ってからも、随時、権藤の描写を入れることで刑事たちの事件解決への執念が強化されているように見えました。また、捜査本部での刑事たちの報告や、情報を足で集めていく様子も不思議と見ている側を映画の中に没入させていくように感じました。煙突からの色の付いた煙のシーンは、やはり印象に残りますね。
 罪を重くさせるために警察は犯人を泳がせるわけですが、ここからの描写がまた秀逸ですね。警察からの嘘の手紙を受け取った直後、薬を入手するために行ったクラブ、薬が効くかどうか黄金町で試すシーン、実験後タバコの火を権藤からもらうシーン、腰越のシーンと、犯人の感情と性格が見て取れるようになっている構成、素晴らしいですね。自分としては、犯人が歩きながらクラブを見渡すシーンのカメラワーク、黄金町の皆がゾンビのようになっている状況、そこで実験する人間を選んでいる様子、腰越の別荘で犯人が花壇から姿を現すシーンが印象に残っています。どのシーンもサングラスがとてもいい味出してますよね。
 自分としては、警察が報道陣に1,000円札の偽情報を流すように相談しているシーンの記者の「それじゃ空いたところで、ナショナル・シューズを叩くか」というセリフも結構印象に残ってます。
 また、見終わってから自分でも少し驚きましたが、見ている間、犯人の犯行動機をほとんど気にせずに見ていました。普通、犯行動機は重要な要素になってきますし、そういう描写を入れざるを得ないと思いますが、ほとんどない気がします。あえて言えば身代金要求時の電話で小出しにされていたぐらいでしょうか。不思議です。

 面白かったです。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
kame-pukupuku
関連DVD・ブルーレイ情報をもっと見る