東映、21年度公開作品ラインナップを発表　豪華監督陣がコロナ禍での映画づくりを語る

2020年12月22日 16:30

配給大手・東映の2021年度ラインナップ発表会が12月22日、東京・銀座の同社で行われた。「樹海村」の清水崇監督、「いのちの停車場」の成島出監督、「孤狼の血II（仮題）」の白石和彌監督、「老後の資金がありません！」の前田哲監督、東映代表取締役社長・手塚治氏らが登壇。それぞれの作品や、新型コロナウイルス感染拡大のなかで、様々な対策を講じた撮影現場の様子について語った。

「樹海村」は、20年に公開された「犬鳴村」に続き、実在した心霊スポットを題材に描く「実録！恐怖の村シリーズ」第2弾。清水監督は「前作とは違って、ホラーだけではない、よりドラマに目を向けた作品ができたと思っております」「『鬼滅の刃』で日本映画界が活気づいていることはとても嬉しいことなんですが、アニメに負けない日本（実写）映画づくりに取り組みたいと思っています」と決意を述べた。

「いのちの停車場」は、吉永小百合が自身初の医師役に挑み、在宅医療を行う「まほろば診療所」の人々を描く社会派ヒューマンドラマ。松坂桃李、広瀬すず、西田敏行らが共演した。吉永はビデオメッセージのなかで、「これまで映画の世界で様々な役に扮してきましたが、今回念願が叶って、初めてドクターの役をやりました。素晴らしい共演の皆様に助けられて、いま医療現場で大変な思いをしていらっしゃる皆様を思いながら、新米の在宅医を演じました。皆様に見て頂いて、命のこと、『生きる』ということを語り合って頂けたらとても嬉しいです」と語る。

成島監督は、「コロナ禍のなかで、『家族が亡くなっても会うこともできない、お骨で帰ってくる』というような時代に、悩みながら作っています」「在宅医療の現場で、大勢の先生たちの協力のなかで撮ってまいりました。本当に苦労して、命を削って患者さんを助けている様子に感動しました」と振り返った。

続く「孤狼の血II（仮題）」は、第42回日本アカデミー賞を席巻した「孤狼の血」の続編。前作では、役所広司、松坂桃李、江口洋介らが共演したが、新作のキャストは明らかになっていない。コロナ禍により、撮影は難しいのではないかと不安になっていたという白石監督。「東映で会う皆が『大丈夫です』と言ってくれて、東映さんの『映画を作るんだ』という腹のくくり方が本当に心強くて」と感謝を伝える。さらに、「こんなに休むこともなかったので、デビュー作以来の武者震いというか、『この映画1本撮れたらどうなってもいいな』くらいの気持ちでやっていました。参加したキャストもほとんど皆が同じ思いで、ひとりひとりがアップしていくたびに、いつにもまして、俳優たちの顔に『やりきった感』がありました」と、本作にかける強い思いをのぞかせる。広島・呉市での撮影では、キャストとスタッフ全員にPCR検査を実施し、関係者のみの食事場所をつくるなど、感染対策を徹底したという。

最後に天海祐希が、様々な“金難”に直面する主婦を演じた「老後の資金がありません！」。前田監督は「天海さんは大スターなのでオーラがありますが、本番ではオーラを消してもらって、どこにでもいるような普通の主婦を演じてもらっています」と解説する。ビデオメッセージで天海は、「人生って、『ここで来てほしくない』ということが重なるじゃないですか」「（演じた）篤子さんは選択しなければいけないことがたくさんあって、大変だろうなと。だからこそ、たくさんの幸せが来ると思いますけどね」と役どころを明かした。

また、他作品についても情報が発表された。「プリキュア」シリーズ第18弾で、21年春に放送がスタートするテレビアニメ「トロピカル～ジュ！プリキュア」の劇場版が、同年秋に公開されることが決定。現在テレビ朝日系で放送中の「仮面ライダーセイバー」の劇場版と、シリーズ45作目となる新作「機界戦隊ゼンカイジャー」の劇場版が同年夏、「劇場版　仮面ライダー（仮題）」が同年冬に封切られることもわかった。

東映の2021年度の公開作品と公開日は、以下の通り。