全作品未ソフト化の特集放送「東海テレビドキュメンタリー傑作選」 「さよならテレビ」がテレビ初放送
2021年11月27日 12:00
日本映画専門チャンネルの特集放送「東海テレビドキュメンタリー傑作選」で、土方宏史監督作「さよならテレビ」がテレビ初放送されることがわかった。
「さよならテレビ」は、さまざまな社会問題を取り上げた作品を世に送り出している東海テレビによる劇場公開ドキュメンタリーの第12弾。今は昔。テレビは街頭の、お茶の間の、ダントツの人気者だった。豊かな広告収入を背景に、情報や娯楽を提供する民間放送は、資本主義社会で最も成功したビジネスモデルの一つだった。しかし、その勢いはもうない。「テレビは観ない」と公言することがクールだった時代を通り越し、今はテレビを持たない若者も珍しくない。マスメディアの頂点でジャーナリズムの一翼を担ってきたテレビが、「マスゴミ」と揶揄されるようになって久しい。これは市民社会の成熟か、あるいはメディア自身の凋落か――テレビの現場で何が起きているのかを探るため、自社の報道部にカメラを入れ、現場の生の姿を追っていく。
「さよならテレビ」は、12月5日の午前8時~、12月13日の深夜1時~、12月24日の午後5時~放送。本編放送後には、ひじ方監督の出演の特別番組も放送される。
なお「東海テレビドキュメンタリー傑作選」で放送される作品は、全て未ソフト化・ネット配信などもしていない。鑑賞する機会が限られる貴重な作品ばかりだ。「さよならテレビ」以外のラインナップは、以下の通り。
オウム真理教事件の麻原彰晃、和歌山毒カレー事件の林眞須美、名古屋女子大生誘拐事件の木村修治、光市母子殺害事件の元少年ら、死刑判決を受けた重大事件の被告人の弁護を引き受けてきた安田好弘弁護士を追ったドキュメンタリー。重犯罪の加害者を弁護することで世間からバッシングも受け、さまざまな負の感情が交錯する渦中で苦悩することになっても弁護を引き受ける安田弁護士。その活動や生き様を通して、司法制度のあり方を問う。
「暴力団対策法」から20年が経過した大阪。指定暴力団「二代目東組二代目清勇会」に密着取材し、現代のヤクザの世界の実態と知られざる彼らの素顔に迫っていく。2015年3月に東海テレビで放送され大きな話題を呼んだ後、番組を再編集して劇場公開された。「ヤクザお断り」の旗印の前に徹底的に社会から排除され、なす術のないヤクザたち。銀行口座が作れず、子どもの給食費が引き落とせない。かつての顧問弁護士たちは疲れ果て引退していく。「これな、わしら人権ないんとちゃう?」組の会長は嘆息する。
高校をドロップアウトした球児たちに再生のチャンスを与えようと愛知県常滑市でNPO法人「ルーキーズ」を創設した山田豪理事長に密着。その崇高な理念と現実の狭間で空回りし、資金繰りに窮するあまり、なりふり構わぬ資金集めに奔走する理事長の日々と、ルーキーズ監督による熱い指導や、様々な問題を抱えながらも日々白球を追い続ける球児たちの姿をありのままに映し出していく。
90歳の建築家・津端修一さんとその妻・英子さんにカメラを向け、その豊かな老後の暮らしぶりと、60年間連れ添ってきた2人の深い夫婦愛を見つめていく。かつて日本住宅公団のエースとして活躍した建築家の津端修一さんは、1960年代に自然との共生を目指した愛知県春日井市の高蔵寺ニュータウンの基本設計を手がけるも、そこは無機質な大規模団地に取って代わられてしまう。やがて津端さんはその土地に平屋を建て、雑木林を育て始め、雑木林は里山の風景を甦らせる。自ら育てた野菜や果物を巧みに料理する妻の英子さんと寄り添いながら60年。90歳を迎えた津端さんに新たな依頼が舞い込む。
2018年9月に東海テレビで放送された再編集版。「あん」「海よりもまだ深く」などさまざまな作品で独特の存在感を放った女優・樹木希林さんが70歳を迎えた2013年、人生初のお伊勢参りをすることに。ちょうど20年に一度の式年遷宮の年を迎えた伊勢神宮の参拝とともに、神宮ゆかりの地を希林さんが訪ねる。
2018年9月に亡くなった女優、樹木希林さん。晩年、東海テレビのスタッフと40日を超える旅をしていた。この番組では、そのたびで残していった希林さんの「謎」を、娘の内田也哉子さんと巡る。伊勢への旅では、神宮、神宮林、伊勢うどん屋さんなど、母の残した足跡を辿り、静岡県伊東市には歌人の岡野弘彦さんを訪ねて希林さんが聞き取った若者と戦争との物語をなぞい、そして、長野県上田市のある戦没画学生の絶筆が展示されている無言館を訪れる。そして、希林さんの自宅に大切に掛けられていた絵画について、京都の「何必館」へ旅する。
2018年9月に東海テレビで放送された再編集版。女優・樹木希林さんと主婦・津端英子さんが居酒屋で女子会をする。きっかけは、ドキュメンタリー「人生フルーツ」。番組の主人公の津端修一さんの妻として番組に登場した英子さんは、修一さんが亡くなってから、なぜか「居酒屋へ行ってみたい」と言い出した。そんな話を聞いた希林さんが、名古屋の行きつけの居酒屋に英子さんをご招待。74歳と89歳がほろ酔い気分で語り合う。
「樹木希林の居酒屋ばぁば」に次ぐ、映画「人生フルーツ」スピンオフ第2弾。「人生フルーツ」の大ファンだというスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーと映画のナレーションをつとめた樹木希林さんの対談。映画の未公開映像や、料理や男女の話、宮崎駿監督の話など興味深い話が続く。
女優の樹木希林さんが、フリーアナウンサーの古舘伊知郎さんと約20年ぶりに再会し、フリートークを繰り広げる。対談のきっかけは2016年に放送された「人生フルーツ」。同作は樹木さんがナレーションを務めており、番組を見た古舘さんが樹木さんとの対談を希望、20年ぶりの再会となった。
帰宅途中の女性が拉致、殺害、遺棄された“名古屋闇サイト殺人事件”。事件発生直後から被害者の母を取材してきた東海テレビは、ドキュメンタリー「罪と罰 娘を奪われた母 弟を失った兄 息子を殺された父」を放送。その後も撮影を継続し、死刑執行後に犯人の父親の肉声を収録した。しかし、それだけでは表現できないことがあった。それは、事件前の母と娘のかけがえのない日々。母を斉藤由貴、娘を佐津川愛美が演じ、在りし日の家族を蘇らせた。さらに、凄惨な事件を起こすに至った男の生い立ちを浮かびあがらせる。
2020年7月16日、棋聖戦の第4局が行われ、藤井聡太七段(2020年7月放送時)が渡辺明棋聖を下し、新棋聖となった。当時17才11カ月で、1990年に屋敷伸之九段が打ち立てたタイトル獲得の最年少記録、18才6カ月を30年ぶりに更新。東海テレビは、まだ何者でもない小学6年生の頃から取材を続け、史上最年少でのプロ入り、史上最多の29連勝、史上最年少の六段昇段、七段昇段など数々の記録のほか、杉本八段との師弟対決など成長の記録を撮りためてきた。タイトル獲得に向けて、研鑽を続けてきた藤井聡太の人生の棋譜をとらえる。
死者・行方不明者の数は5000人を超え甚大な被害を与えた伊勢湾台風。発生から60年をむかえた2019年に東海テレビで放送された作品。台風と開拓者60年を通じて“災害国ニッポン”の備えのあり方、そして記憶のつなぎ方について見つめ直す。
ハマグリとシジミの漁が盛んな、三重県桑名市の長良川河口。長良川の河口堰をめぐり、時代や政治に長い間翻弄されてきた漁師たちの歴史と今を描く。
東海テレビドキュメンタリー劇場公開1作目となった作品。1980年代に訓練生の死亡や行方不明事件を起こし社会問題となった“戸塚ヨットスクール事件”と、今なお子どもたちと向き合い続ける戸塚宏校長の現在を追った。2006年に刑期を満了し、スクールに復帰した戸塚校長。訓練生の大半はひきこもりやニートで、その多くが20代と高齢化、スクールは世相を反映している。70歳を過ぎた戸塚校長の講演は年間70回に及び、子育てに悩む保護者や混迷を極める教育現場から関係者が集まる。
日本四大公害の1つ「四日市ぜんそく」。公害防止法の法制化のきっかけとなったその裁判の判決から38年。公害裁判に立ち上がった原告の人々と、公害発生当初から患者たちを写真と文字で記録し続け、原告たちを支え続けた「公害記録人」澤井余志郎の活動に迫っていく。
三重県名張市で起きた「名張毒ぶどう酒事件」の犯人として投獄され、無実を訴え続けた奥西勝死刑囚の半生を、実際のドキュメンタリー映像も交えながらドラマ形式で描く。主人公の奥西役に仲代達矢、息子の無罪を信じ続ける母タツノ役に樹木希林さん。奥西は本作の公開後、2015年に獄中で89歳の生涯を終えている。
長年にわたり“名張毒ぶどう酒事件”を取材してきた東海テレビが、2015年10月4日に89歳で獄死した同事件の死刑囚・奥西勝と、2014年3月27日に48年ぶりに釈放された“袴田事件”の死刑囚・袴田巌という、冤罪を訴え続けたふたりの死刑囚に焦点を当てる。彼らとその家族の人生を見つめるとともに、再審請求の困難さと、検察ばかりが有利な司法制度の問題点を明らかにしていく。
無罪から死刑判決に覆った「名張毒ぶどう酒事件」の謎に迫る。かつて奥西勝を演じた仲代達矢のナレーションで、獄中死した奥西の自白や関係者の証言の信憑性も疑い真相を追跡。昭和36年、三重県名張市葛尾で、懇親会のぶどう酒に混入された毒物中毒で5人が死亡し、奥西勝が逮捕される。一審無罪、二審で死刑、最高裁で上告も棄却され昭和47年に死刑が確定するも、事件を調べ直すうちに数々の疑問や司法の闇が浮かぶ。
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ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
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