役所広司、“アジア版アカデミー賞”でダブル受賞!英語&中国語でスピーチ
2019年3月18日 11:00
[映画.com ニュース] アジア中の国と地域から選出された映画の頂点を選出する「アジア全域版アカデミー賞」、第13回アジア・フィルム・アワード(AFA)の授賞式が3月17日(現地時間)、香港のTVB Cityで開催。オープニングでは、AFAネクスト・ジェネレーション・アワードを受賞したジェジュン(キム・ジェジュン)が中島みゆきの「化粧」のパフォーマンスを披露した。
日本からのノミネートされたのは「万引き家族」(作品賞、監督賞、主演女優賞、助演女優賞、美術賞、作曲賞)、「斬、」(助演男優賞、編集賞、音響賞)、「孤狼の血」(主演男優賞)、「寝ても覚めても」(新人俳優賞)、「パンク侍、斬られて候」(衣装デザイン賞、視覚効果賞)など。また、役所広司が特別賞「エクセレンス・イン・アジアン・シネマ・アワード」を授与されることが決定していたほか、特別審査員として渡辺謙が参加、「万引き家族」の是枝裕和監督は新作製作中の仏パリからかけつけるなど、日本映画界の大物が肩を並べる授賞式となった。
快挙となったのは、特別賞「エクセレンス・イン・アジアン・シネマ・アワード」と「孤狼の血」での主演男優賞をW受賞した役所広司だ。同賞を獲得した日本人俳優は、第9回(2015年)に中谷美紀が受賞して以来2人目。そして「孤狼の血」での主演男優賞は、先に発表された日本映画界最高の賞である日本アカデミー賞主演男優賞に続き、「アジアで最高の男優」との評価に、役所自身も喜びを隠しきれなかった。特別賞は前もって受賞が決まっていたため、スピーチを用意していた役所。2分弱のスピーチを英語、中国語の2カ国語交えて展開。受賞後に話を聞くと「セレモニーが英語と中国語で進行するとうかがったので、英中でスピーチを用意して挑みました。広東語も入れたかったけど、2カ国語で精一杯」と緊張から解放されて笑みをこぼしていた。そのあと発表された主演男優賞でダブル受賞となった役所は、最初自分がコールされたことも分からないほど意外な様子。「しまった……、日本語でしゃべります。まさか主演男優賞もいただけるとは思っていなかったので、びっくりしました」とスピーチ。また、「このようにアジアで評価されるということはとても光栄。アジア各国にはさまざまな歴史と文化があるが、この賞や映画を通じて手を取り合っていけるような世の中になるといいですね」と語ってくれた。
「万引き家族」は作品賞、作曲賞のダブル受賞。是枝裕和監督は「この作品はいろいろな国や地域で愛していただけたことに感謝しています。じつは細野晴臣さんには昔からずっとずっと作品の音楽を依頼したいと思っていたのに、どこか躊躇していたんです。今回初めてお願いして、そして受けてくださって、とても嬉しく思っています。しかも作品賞と作曲賞をいただけたことでまた励みになります。またぜひご一緒させてください」と、同席していた細野と笑みを交わしていた。この日は主演女優賞候補入りした安藤サクラも同席。「9年前、『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』でこの授賞式には呼んでいただけたんですが、あのときは何が何だかわからない状態のままでした。今回は無事作品賞と作曲賞を受賞し、作品を高く評価いただけてとても嬉しいです」と明かした。
また、塚本晋也監督作「斬、」は編集賞を獲得。塚本監督は、編集賞で評価されたことを、特別な思いとともに語った。「僕の作品に30年間ずっと音楽をつけてくれていた石川忠さんが亡くなられました。今作でも石川さんにお願いしようと思っていたので、僕が自分で持っている石川さんの音源全てと、石川さんのご自宅にあった未発表音源を集め、僕が編集をしたんです。いつもは編集作業中に石川さんとふたりでやいのやいの言いながら仕事をしてきたのに、今回はひとり。それも石川さんの音楽を編集しながらという、特別な作品でした。それを編集賞で評価していただけたのは、とても光栄なことです」
監督賞:イ・チャンドン「バーニング 劇場版」(韓国)
新人監督賞:チャン・シウキュン「 Still Human」(香港)
主演男優賞:役所広司「孤狼の血」(日本)
主演女優賞:サマル・イェスリャーモワ「Ayka」(ロシア・ドイツ、ポーランド、カザフスタン、中国)
助演男優賞:チャン・ユー「Dying to Survive」(中国)
助演女優賞:カラ・ワイ「Tracy」(香港)
新人俳優賞:ホアン・ジンギュ「オペレーション:レッド・シー」(中国・香港)
脚本賞:ジャ・ジャンクー「Ash is Purest White」(中国)
編集賞:塚本晋也「斬、」(日本)
撮影賞:チャオ・シャオティン「Shadow」(中国)
作曲賞:細野晴臣「万引き家族」(日本)
衣装デザイン賞:チェン・ミンジャン「Shadow」(中国)
美術賞:ホレス・マー「Shadow」(中国)
視覚効果賞:アレックス・リム・ホンファン「Project Gutenberg」(香港・中国)
音響賞:YANG Jiang 、ZHAO Nan「Shadow」(中国)
エクセレンス・イン・アジアン・シネマ・アワード(特別賞):役所広司
生涯功労賞:イ・チャンドン
AFA ライジング・スター・オブ・アジア・アワード:パク・ソジュン
AFA ネクスト・ジェネレーション・アワード:ジェジュン
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