第31回東京国際映画祭、グランプリはフランス映画「アマンダ」 稲垣吾郎主演「半世界」は観客賞に
2018年11月2日 17:47
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[映画.com ニュース]第31回東京国際映画祭のアウォード・セレモニーが11月2日、東京・六本木のEXシアターで行われ、各賞が発表された。最高賞にあたる東京グランプリは、フランスの感動作「アマンダ(原題)」が受賞。最優秀脚本賞 Presented by WOWOWにも輝き、2冠を達成した。
メガホンをとったミカエル・アース監督はすでに帰国していたため、ビデオメッセージが寄せられた。「受賞に慣れていないのに2つも受賞、しかもひとつはグランプリ。非常に幸せです」と喜びをにじませ、「作品上映後に、観客と素晴らしい議論が交わせました。地球の反対側でも映画が人々を感動させる、ということを知る以上のご褒美はありません」と目を細める。来年初夏の日本公開が決まっているだけに、再来日を誓っていた。
同作はパリで暮らす青年ダヴィッドがある日、テロで姉を失い、残された姪(めい)のアマンダの養育者となる姿を描いた、家族の愛と再生の物語。審査委員長のブリランテ・メンドーサは「単純に見えるものの、単純ではない。登場人物たちは見る者の心を惹きつけ、複雑な人間の感情を経験させてくれた」と講評を述べる。代理で麒麟像を受け取ったローラン・ピック駐日フランス大使は、「アース監督は、フランスの若手監督のなかで『最も日本人らしい』と言われています」としたうえで、「日本の映画ファンの胸を打つ作品であるよう、多くの人々の感動を呼び起こす作品であるよう祈念します」と思いを込めた。
そして、稲垣吾郎が主演した「半世界」は観客賞を受賞。阪本順治監督は、手渡された法被を羽織り「これはちょっと不意打ちで……。親父の遺言で『スピーチは短めに』」と笑わせ、「映画を見て伝わった人も、伝わらなかった人も、見てくれたことに感謝します。(キャスト・スタッフ)みんなでお祝いします」と控えめに語った。
今年のコンペ部門には109の国と地域から1829本が応募され、16作品が正式出品。妊娠した娼婦を主人公に据えたイタリア映画「堕ちた希望」で最優秀監督賞に輝いたエドアルド・デ・アンジェリス監督は、背筋をピンと伸ばし「この映画では、生と死を見つめています。自分が幸せになれないかと思ったとき、また新たな人生が見えてくるという物語。皆様にこの映画を愛していただくのが、一番素晴らしい賞だと思います」と言葉を紡ぐ。またアンジェリス監督の妻ピーナ・トゥルコが同作に主演し、最優秀女優賞を獲得。同監督は夫婦で2冠という記録を打ち立てたことに、「なんて素晴らしい映画祭! 素晴らしいハッピーエンドです。彼女がいたおかげで、宝物を発掘することができた」と充実感をのぞかせた。
さらに「007 スペクター」などの名優イェスパー・クリステンセンが主演した「氷の季節」は、最優秀男優賞と審査員特別賞に輝き、こちらも2冠を達成。マイケル・ノアー監督は、穏やかなほほ笑みを湛えながら「今回の脚本は、クリステンセンさんのためにアテ書きされたもの。同時に、私の父が4カ月前に亡くなった。この作品を見ずして亡くなったが、父から多くを学んだ。自分が父となったとき、映画の登場人物よりは良い父親になろうと思っています。(クリステンセンには)私の父をモデルにしていると一度も言ったことがないので、それを伝えたい」といい、「彼は偉大な役者だけでなく、私の親友。人生で最も重要な人物を描いてくれた」「東京は魔法のような街。魔法のような時をありがとう」と感謝を示した。
また、アジアの未来部門の作品賞は、新疆ウイグル自治区から届いた「はじめての別れ」の手に。発表の瞬間、関係者が座る客席から爆発的な歓声が沸き起こった。リナ・ワン監督は、「この映画が本映画祭で初めて上映されたとき、主演の女の子から電話がありました。『リレーで速く走ったけど、賞がとれなかった』と嘆いていた。今回、これが彼女に与えられる賞だと思います」と明かし、「スタッフの皆さん、プロデューサー、脚本、音楽、手伝ってくれた皆さんに感謝します。あなた方がいなければ、この映画はできなかった」と声を詰まらせていた。
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