ウィル・スミス&ジョエル・エドガートン、Netflix「ブライト」のメッセージ性を強調
2017年12月22日 16:00
[映画.com ニュース] Netflixが、同社最大規模の100億円超ともいわれる製作費を投じたオリジナル映画「ブライト」が、本日12月22日から全世界同時配信。本作で人間と怪物オークの警察官コンビに扮したウィル・スミスとジョエル・エドガートンが来日し、早くも続編が製作中と噂の話題作について、存分に語った。
人間を含めたさまざまな種族が共存している架空の米ロサンゼルスを舞台にしたアクション大作。人間のウォード(スミス)と、差別を受けているオークのジャコビー(エドガートン)のコンビが、世界の秩序を崩壊しかねない魔法のつえ(マジック・ワンド)に出合ったことで、壮絶な死闘に巻き込まれていくさまを描く。「スーサイド・スクワッド」でもスミスと組んだデビッド・エアー監督がメガホンをとり、「クロニクル」「エージェント・ウルトラ」のマックス・ランディスが製作総指揮・脚本を務めたほか、「プロメテウス」や「セブン・シスターズ」などで知られるノオミ・ラパスが、ウォードとジャコビーの前に立ちはだかる邪悪なエルフに扮する。
本作でまず目を引くのは、現実世界と地続きのようなハードな刑事ドラマに、ファンタジーがミックスされた独創的な世界観。さらに、「トレーニング デイ」(脚本)、「エンド・オブ・ウォッチ」(監督・製作・脚本)と多数の刑事ものを手がけてきたエアー監督らしい骨太な映像と、ランディスが得意とする軽妙なセリフ回しが、冒頭から見る者を引き込む。ある種スミスの出演作「メン・イン・ブラック」と「バッドボーイズ」の両面を兼ね備えた作品とも言えるが、「荒々しく骨太な、いかにもロサンゼルスの警官ドラマでありながらも、ファンタジーとして『ロード・オブ・ザ・リング』的なクリーチャーも出てくる。だから、役者として色々な演技があらゆる場面でできるんだ! その中でコメディやドラマも生まれてくる。冗談でデビッド(・エアー監督)に言ってたんだけど、ボリウッドのミュージカルナンバーが入っていたら、もう全てカバーできていたと思うよ(笑)!」(スミス)と本作の“全盛り感”をアピール。
対するエドガートンは、本作の大きなテーマである“差別”について言及し、本作が現代社会を映す鏡であるとの見方を示す。「現在のアメリカでは人種差別が蔓延していながら、“人種差別は悪いこと”という認識もあるため、隠蔽(いんぺい)されているような所があるよね。ところが、『ブライト』の世界では、オークがあまりにも普遍的に嫌われていて、『オークなんて大嫌いだ』と声に出してもいい、という風になっている。このレベルの人種差別というのは、アメリカではもっと昔に実際にあったもので、現在でもさまざまな場所で見られるものだ。(そのような世界の中で)僕はジャコビーというキャラクターの純粋さにひかれた。彼は、誰かが何かを言ったらそれを真に受ける、さらに言えば信頼する。ジャコビーという男の無垢(むく)さは、尊敬できる資質だと思うな。我々みんながジャコビーのような人間だったら、この世の中はもっと違うものになると思うよ」。
スミスは、エドガートンの言葉に大きくうなずき、「俺がSFやファンタジーで好きな所は、実際の社会的な問題を柔らかく包んで語れる点さ。真っ向からいじめを描いた映画では語れない部分も言えるし、観客にはちゃんと美しい形で伝わるんだよ」と持論を展開。「俺も17歳のころ、いじめられていた経験があるんだ」と告白し、「今回の役では、当時の経験を生かすことができた。ジャコビーにすごく共感できるから、立場を入れ替えて(加害者側の)ウォードに生かせたんだよ。それに、ウォードもかつては、ジャコビーのように世の中を変えたくて警官になり、良い行いができると思っていた時期があったんだ。でもいつからか世の中は腐敗していると感じ、自分を傷つけようとする人を傷つけるようになってしまった。そんなウォードはジャコビーに会い、彼がとても無垢に思えてしまうんだ。『この世の中がどれだけひどくて邪悪で乱暴か、コイツは何もわかっていない。俺はコイツのせいで殺されてしまうかもしれない』ってね。でも物語が進むうち、ウォードはジャコビーの純粋さこそが、2人が唯一生き延びることができる理由だと気づくんだ」と演じた役の内面について語った。
「ANNIE アニー」や「ベスト・キッド」などプロデュース業も行うスミスと、「ゼロ・ダーク・サーティ」や「華麗なるギャツビー」「ブラック・スキャンダル」で存在感を発揮し、「ザ・ギフト」では監督・製作・脚本・出演を務めて才能を見せ付けたエドガートン。バイタリティあふれる2人にとって、モチベーションを保ち続ける秘けつとは? 「何か作品に携わるのであれば、僕は何か重要なものを伝えたい。(観客を)楽しませたうえで、さらに何か世界に発信できる大切なことがあるんじゃないか、と考えるんだ。僕にとって脚本を書くこと、製作すること、監督すること、演じることというのは全て、“物語を伝える”という意味で同じもの。脚本家は世界を作り上げ、監督はその世界の全ての指揮を取る。そして俳優の利点は、その世界の中で自分の立ち位置を理解して、内側からより良いものを作り上げていくことなんだよ。僕は全部を楽しんでやっているよ!」(エドガートン)、「俺のモットーは、人生を良くすること。自分の存在意義というか、中枢にある考えだ。1日に25から30回、自分に問いかけるんだよ。自分の行動によって、自分や周囲の人々の人生を良くできるのか、より大きな世界に発信できるのかをね」(スミス)。
ジャパンプレミアではエンターティナーとして寒空の中集まったファンを喜ばせ、会見ではスタッフを率先して手伝い、さらにはインタビュー中も周囲の人間を気遣って気さくに話しかけるなど、自らの信条に恥じぬ振る舞いを随所で見せたスミス。相棒としてそばにい続けたエドガートンは、「現場の雰囲気は、ほかの映画よりもずっと良かったよ! だってウィル(・スミス)がキャプテンだからね」と笑顔で語り、スミスは照れ笑いを浮かべていた。
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