ゼロ・ダーク・サーティ
劇場公開日 2013年2月15日
解説
2011年5月2日に実行された、国際テロ組織アルカイダの指導者オサマ・ビンラディン捕縛・暗殺作戦の裏側を、「ハート・ロッカー」のキャスリン・ビグロー監督が映画化。テロリストの追跡を専門とするCIAの女性分析官マヤを中心に、作戦に携わった人々の苦悩や使命感、執念を描き出していく。9・11テロ後、CIAは巨額の予算をつぎ込みビンラディンを追うが、何の手がかりも得られずにいた。そんな中、CIAのパキスタン支局に若く優秀な女性分析官のマヤが派遣される。マヤはやがて、ビンラディンに繋がると思われるアブ・アフメドという男の存在をつかむが……。脚本は「ハート・ロッカー」のマーク・ボール。主人公マヤを演じるのは、「ヘルプ 心がつなぐストーリー」「ツリー・オブ・ライフ」のジェシカ・チャステイン。
2012年製作/158分/PG12/アメリカ
原題:Zero Dark Thirty
配給:ギャガ
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製作時に観た時には、とんでもないリアルに驚愕し感嘆したものだ。
製作者もレアリティに自信があるのだろうが、アカデミー賞音響以外受賞しない、誰も真違がわからないから。
徐々におかしいところが明確化してきたが、映画の品質を貶めるものでは無い、それが情報や報道の限界であることを突きつけられているのだ。
さて、現在のロシアのことを知るものは皆無のはずなのに、知るかのように報道している全てはガセであることがわかる見本なのだ。
ビンラデインを育てたのは米であり、突き詰めればテロの責任の多くは米にある、抽象では無く具現として。
歴史的にガセを真実として信じさせられてきた世界の人々がいたことを、思い知らされた、恐ろしき歴史と未来を痛感させられる記念碑となる映画なのだ🎞🎟!
2022年2月12日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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総合:80点 ( ストーリー:80点|キャスト:75点|演出:75点|ビジュアル:75点|音楽:65点 )
CIA分析官の若い女性が任務のためパキスタンに渡り、治安の問題から殆ど外出も出来ない環境で、命の危険を感じながら数年間を諜報のために費やす。実際に仲間を失い自らも襲われる。関係者から聞き取り調査をして書き上げた脚本は、CIAの任務の実態が見えて非常に興味をそそったし、その表現はなかなかに良く出来ていた。映画なので物語の内容の全てが正しいわけではないだろうが、質が高く上手い。緊張感もあり精神的に疲労困憊していく演出も良かった。『ハートロッカー』で見せたキャスリーン・ビグロー監督の手腕がここでもよく発揮されていた。
こういう題材だから一部の視聴者からは政治的な作品だと思われるのは仕方がないが、私としては知的好奇心をそそり緊迫感があり映画として十分に面白かった。アメリカの情報収集能力をはじめとする総合力の高さを見せられた。自分がCIAの監視対象になるほど大物でなくて良かった。今日も普通に電話も情報通信もできる。
拷問の場面は自国の恥を晒すことになるにも関わらず、堂々と取り入れていたのは良かった。それでも実際の拷問はもっときつかったのだろうと予想する。
目標の側近の医師を味方に引き入れようとして逆に自爆されて多数のCIA要員が失われる話は、以前に他の記録映像で見たことがある。その場面は重々しかったが、その実話がここに繋がっていてこういう背景だったのかというのがわかったのは興味深いし理解が深まった。
私が読んだ報道の記事では、ビンラディンに対する襲撃は絶対に情報が流出しないように秘密裡に行われ、任務にあたるシールズの兵士にさえも誰を襲撃するかを事前に知らせず、攻撃に向かう回転翼機の中で初めて目標がビンラディンと明かされたとなっていた。実際に襲撃前に情報を多くの人に共有していたら情報漏洩の危険が高まるので、恐らくはこの記事のほうが映画よりも正しいのだと思う。
また現実では襲撃は大統領がどうせ人違いだろうと半信半疑ながら許可したという話を聞いたが、映画の中ではCIAと軍隊は出てきても政治家がさっぱり出てこないのは何の意図だろうかと勘繰った。
主人公マヤは最後に高卒だと言っていたが、『レッドオクトーバーを追え』をはじめとするトムクランシー作品の主人公でCIA分析官ジャックライアンは博士だし、自分はCIAの分析官といえば少なくとも大卒だと勝手に思い込んでいた。高卒で入れるのかな。
最後の襲撃の場面は、実際の現場がいかに暗い中で行われたかを強調しようと他のだろうが、やたらと真っ暗で何が起きているのか解り辛い。兵士は暗視装置をつけていてその視線で撮影された場面もあるわけだし、ずっと真っ暗のまま音だけ聞こえているのは映画としてはいただけない。
2021年11月27日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
2001.9.11同時多発テロ後の米国によるアルカイダ報復は、2011年のビンラディン殺害まで執念深く続けられるのだが、その中心を担ったのがCIAだった。
2012年の本作と、2019年の「ザ・レポート」の2作は、このCIA活動を表と裏の両面から描いていて、何とも興味深かった。
殺害の翌年、アカデミー監督ビグローの撮った本作は、ビンラディンの所在地を突き止めようとするCIA、特に女性エージェントの活躍に的を絞り、冒頭でアルカイダ構成員に対する拷問を延々と描き、ビンラディン殺害シーンで幕を閉じる。前作「ハートロッカー」と同様、この作品も観衆から大きな支持を得て、アカデミーはじめ主要映画賞に多数ノミネートされ、そのいくつかを受賞したのである。
それから7年後、今度はCIAの拷問を摘発する「ザ・レポート」が公開された。こちらはCIAが世界を股にかけて、秘密施設でアルカイダ構成員を全裸で監禁、水責め、直腸に水分注入など、かなりエグい方法で拷問したことを摘発する上院情報特別委員会スタッフの活躍を描いている。
「ゼロ~」とはまさにコインの表と裏の関係だ。この作品も高い評価を得はしたが、「ゼロ~」ほどではなかった。映画賞も受賞することはなかった。
2作品とその評価を見ると、同時多発テロ以後の米国の雰囲気が、かつての外部世界に対する人道的啓蒙的なもの重視から、外部の敵に対する憎悪に変容してきたことをひしひしと感じさせられる。
2021年8月7日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
チャステインが見たくて。
ハートロッカーの監督だけあって、緊張感が続く。ラスト長丁場は圧巻。
あの時、世界中が度肝を抜かれたけど、こんな風だったんだということがよくわかる。
グァンタナモも出てくる。
チャステインの張り詰めた感情、男たちの間でやり合う身体を張った演技、ラストの涙。いい演技だと思う。
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