森田芳光
日大芸術学部時代から自主映画を制作し、「ライブイン・茅ヶ崎」(78)がぴあフィルムフェスティバルのPFFアワードに入選。81年、「の・ようなもの」で商業映画デビューを果たし、若手監督の登竜門だった「にっかつロマンポルノ」で腕を磨く。松田優作を主演にむかえた「家族ゲーム」(83)で芸術選奨新人賞などを受賞し、高い評価を得る。製作総指揮を務めたオムニバス映画「バカヤロー! 私、怒ってます」(88)では、当時新人だった中島哲也監督や堤幸彦監督を起用する。夏目漱石の「それから」(85)や向田邦子の「阿修羅のごとく」(03)といった文学作品や、宮部みゆきの「模倣犯」(02)といったベストセラー小説の映画化も多く、渡辺淳一原作の「失楽園」(97)は大きな話題となった。オリジナル脚本の作品では、インターネットを通じての男女の出会いを描いた「(ハル)」(96)や、お金を題材にした「わたし出すわ」(09)で時代を先読みするような物語で個性を発揮した。11年12月20日、急性肝不全のため急逝。享年61歳。「僕達急行 A列車で行こう」(12)が最後の作品となる。