家族ゲーム

ALLTIME BEST

劇場公開日:

解説

松田優作扮する三流大学の7年生という風変わりな家庭教師が、高校受験生を鍛え上げる様をコミカルに描く。音楽なしの誇張された効果音、テーブルに横一列に並び食事をするという演劇的な画面設計など、新しい表現が評判となった森田演出が冴えるホーム・コメディの傑作。

1983年製作/106分/G/日本
劇場公開日:1983年6月4日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第7回 日本アカデミー賞(1984年)

ノミネート

作品賞  
監督賞 森田芳光
脚本賞 森田芳光
主演男優賞 松田優作
助演男優賞 伊丹十三
助演女優賞 由紀さおり
新人俳優賞 宮川一朗太
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(C)1983 日活/東宝

映画レビュー

4.0予言的中!ギャップを感じなくなった沼田一家。

2024年4月23日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

楽しい

森田芳光の監督2作目。1983年公開。

沼田家の面々と家庭教師のものがたり。

・子供の進学先しか関心がない父(伊丹十三)
・優しいがまるで主張のない母(由紀さおり)
・進学校に合格したが無気力な長男(辻田順一)
・勉強も学校生活も冴えない次男(宮川一朗太)
・次男のために雇われた家庭教師(松田優作)

一家4人+家庭教師が、横1列に並んで食事するシーンが本作を特徴づけている。
BGMがなく(当然、本作にはサントラもない)、咀嚼音や食器の音がかなり強めに耳に入ってくる。

さて、肝心のレビューだが、
最初に見たときと、今とではかなり受け止めが異なる。
(当たり前か笑)

例えば、
伊丹十三演じる父が、朝食の目玉焼が固すぎると真顔で不満を訴える。
「なんだ、この黄身は。こんな固くちゃチュウチュウできないじゃないか…」

最初に見たときは、
「そんな甘えたオッサンおるわけないやろ」
と、笑えたものだが、最近だとスルーだ。

繰り返し見たから鮮度が落ちた?
いや、そうじゃない。

何が言いたいかというと、
昭和の時代に笑えたギャップが、令和の今では「多様性のひとつ」程度の受け止めになる。
時代が変わったのだ。

次男がノートに「夕暮れ」をひたすら書き続けるシーンもそうだ。家庭教師に対する小さな反抗だ。
「夕暮れを完全に把握しました」
令和では、ドスの効いた声で
「おい、なめてんのか?」
なんて対応はしないだろう。

森田芳光監督がデフォルメして表現し、松田優作を使って壊してみせた「昭和のニュー家族像」は、40年経ったいま、違和感を生じないほどにその通りになった。
予言的中だ。

みんなで食事するのが大切だ、なんて言いながら、
会話は子どもの成績だけ。
なんて不毛な一家団欒は、令和のスタンダードだ。

残されたレガシーは、
◆日本を代表するアクションスター松田優作が出演した稀少なホームコメディ作品という事実。
◆自宅・学校・登下校路という限定された場面設定。
◆体罰ok、個人情報の扱いの緩さ、スマホのない世界を味わえる。

公開当時のオトナたちが、本作の何に衝撃を受けたのか
すでに分からなくなりつつある。
エポックメイキングであり、レトロな作品だ。

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Haihai

4.0濃密

2023年12月23日
iPhoneアプリから投稿

いまの視点で見ると、家族や友達との距離感が近くて濃密。殴り合ったり、顔を近づけたり。有名な横並びの食卓も、視線は合わないけれども距離は近くお互いが触れ合っている。

当時としては無機質な高層マンションという設定なのかな?湾岸にタワマンの並ぶいま見ると、なんて素朴で地に足のついたマンションかと思う。周りも空き地があり、土があり、生活の匂いがする。

食卓をぐちゃぐちゃにしたあとに、これをお母さんが一人で片付けるのかなあ?と思ったら、家族全員で片付けていてほのぼのした。残ってたワイン飲む気だし。

夕食にワインなんてずいぶんしゃれてたのでは。でも色が薄くて味がしなそうなワインだ。

松田優作がずっと持ってる植物図鑑は、私が子どもの頃に読んでいたやつだ!父は知ってて買ったのだろうか?

伊丹十三は半熟目玉焼きのエッセイがある。吸わないけど。食卓の前のスライドするワゴンに感心した。便利。

全体的に面白い映画だった。今の時代を森田芳光はどう描いただろう。SNSには友達のように仲の良い家族であふれている。幸福そうで、それは悪いことではないように思うけれども。

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hyvaayota26

4.0映像表現として斬新

2023年10月12日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

悲しい

知的

森田芳光監督作品を観たのは遅くここ三、四年である。「それから」「黒い家」そして「39刑法第三十九条」の順であるが、最近「黒い家」「39刑法第三十九条」の二度目を一気呵成に観て、監督の出世作の「家族ゲーム」を観てみたくなり、観賞、そしてレビューまで書きたくなった。「39刑法第三十九条」の気味の悪い映像表現はほかのサイコサスペンスホラー映画を遙かに凌駕している。それでもしやと思ってこの「家族ゲーム」を観た。はるほどなと納得しました。天賦の才が監督にはあった。映像表現に関しては、小津安二郎監督の「東京物語」とは正反対の極みかもしれない。

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shigesaku 007
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