【5月1日はウェス・アンダーソン監督の誕生日】天才監督の“ウェスってる”センスと魅力がまぶしい映画5選
2023年5月1日 14:00
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本日5月1日は、ウェス・アンダーソン監督の54歳の誕生日。その独特の世界観やビジュアルに加えて、全ての作品で製作・脚本も担当し、オリジナルの視点とユニークな語り口を貫く天才ぶりは、多くの映画ファンを魅了しています。新作が完成すれば、名だたる映画祭で引っ張りだことなり、最新作「アステロイド・シティ」(9月1日公開)は、第76回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品されています。
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そんなアンダーソン監督の作品の多くは、ディズニープラスで配信中。この記事では、5作品をピックアップし、衣装、セット、キャスティング、オマージュなど“ウェスってる”センスと魅力を探っていきます。エキゾチックな旅の感覚も味わえるので、大型連休に楽しむのも、おすすめです。
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子どもの頃から不動産売買に精通し、10代にして国際金融に並外れた才能を発揮した長男チャス(ベン・スティラー)、幼い頃から戯曲の才能を発揮し、10代前半で5万ドルの懸賞金を得た長女で養女のマーゴ(グウィネス・パルトロウ)、テニスの全米ジュニア選手権でV3を達成し、プロデビューした次男リッチー(ルーク・ウィルソン)。3人の天才を輩出したテネンバウム家には、父の過ちと裏切りで、一家離散となった悲しい過去があった。そんな“天才家族”が22年の歳月を経て、「もう先が長くない」という父の言葉をきっかけに、同じ屋根の下で暮らすことに。テネンバウム家の両親を、ジーン・ハックマンとアンジェリカ・ヒューストンが演じる。
「アンソニーのハッピー・モーテル」「天才マックスの世界」に続く監督3作目で、アンダーソン監督の評価と知名度を一気に押し上げた初期の代表作。初めて日本で劇場公開された作品でもあり、日本の映画ファンからも一目置かれる存在となった。一家を襲うさまざまなトラブルを通して、当時のアメリカが抱えた諸問題を浮き彫りにしながら、家族という普遍的なテーマを切り口に、絆の再生をユーモアたっぷりに描いた異色作でもある。左右対称のシンメトリーを意識した個性的な画面構成は、アンダーソン作品のトレードマークとなった。3人のきょうだいが、それぞれアディダス、ラコステ、フィラという有名スポーツブランドを着こなす徹底したセンスも“ウェスってる”。
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落ち目の海洋探検家兼ドキュメンタリー映画監督のスティーブ・ズィスー(ビル・マーレイ)は、新作の不評にもめげず、いつもの乗組員たちと探査船でリベンジの航海へ。ところが、彼の息子だと名乗る青年ネッド(オーウェン・ウィルソン)や雑誌記者ジェーン(ケイト・ウィンスレット)が乗船し、さまざまなドラマが巻き起こる。果たして、仲間の命を奪った幻の“ジャガーザメ”を見つけ出し、映像におさめることはできるのか。海洋アドベンチャーという新たな領域に“船出”し、海賊相手のアクションや、「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」のヘンリー・セリック監督がストップモーションアニメで命を吹き込んだ架空の海洋生物も見どころだ。
物語の重要な舞台のひとつが、ズィスーが所有するベラフォンテ号だ。「第二次世界大戦に使われたとわかる船形で、50メートル近い大きさ」というアンダーソン監督が出した条件に合った船体探しの旅は、南アメリカにまで及んだ。一方、縦半分に切断されたベラフォンテ号は、フェデリコ・フェリーニ監督も愛したイタリアのチネチッタ撮影所の工房作品。主人公が映画監督である共通点から、本作はアンダーソン版「8 1/2」と評されることも。こだわり抜いた世界観の追求は、まさに“ウェスってる”映画づくりの姿勢を示している。ちなみに、極度の飛行機嫌いで知られるアンダーソン監督は2005年3月、本作を引っさげ、初めてプロモーション来日を果たした。
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ヨーロッパ随一の高級ホテル「グランド・ブダペスト・ホテル」で、常連客のセレブ夫人マダムD(ティルダ・スウィントン)が何者かに殺害された。遺産をめぐる騒動に巻き込まれた伝説のコンシェルジュ、グスタヴ・H(レイフ・ファインズ)は、信頼するベルボーイのゼロ(トニー・レボロリ)を伴い、事件の真相を突き止めるため、ヨーロッパを駆けめぐる。1930年代、60年代、現代の3つの時代を舞台にしており、時代ごとに映像のアスペクト比(画面の長辺と短辺の比率)をそれぞれ、1.37:1、アナモルフィック・ワイドスクリーン、1.85:1に変えることで、時代の流れが分かりやすく表現されている。また時代に合わせ、天井の色を変えたり、天窓を作ったりし、光の射し方を変えた撮影も行われた。
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第87回アカデミー賞では作品賞ほか同年最多タイの9部門でノミネートされ、美術、衣装デザイン、メイクアップ&ヘアスタイリング、作曲の4部門で受賞。まさに総合芸術と呼ぶにふさわしい映画体験が味わえる。名だたる大スターが出演を熱望する一方で、アンダーソン監督は、おなじみのキャストを起用する現代“ユニット映画”の旗手でもあり、本作にもエイドリアン・ブロディ、ウィレム・デフォーら常連組が多数出演。なかでもビル・マーレイは、現在まで9作品でタッグを組む“ウェスってる”盟友だ。本作では、コンシェルジュが結成している秘密結社の一員で、脱獄したグスタヴ・Hに手を差し伸べるムッシュ・アイヴァンを演じている。
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「ファンタスティック Mr. Fox」(2011年製作)に続き、ストップモーションアニメに挑んだ冒険ファンタジー。舞台は、近未来の日本。メガ崎市で犬インフルエンザが大流行し、犬たちはゴミ処理場の島「犬ヶ島」に隔離されることに。12歳の少年・小林アタリ(声:コーユー・ランキン)は愛犬スポッツ(声:リーブ・シュレイバー)を探し出すため、盗んだ小型機で犬ヶ島へと向かう。アンダーソン組の常連に加えて、スカーレット・ヨハンソン、グレタ・ガーウィグら多彩な豪華メンバーが集結。日本からも、渡辺謙、夏木マリ、村上虹郎、「RADWIMPS」の野田洋次郎らが参加している。第68回ベルリン国際映画祭のオープニング作品として上映され、監督賞(銀熊賞)を受賞した。
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日本をこよなく愛するアンダーソン監督のイマジネーションが凝縮された本作。黒澤明をはじめ、小津安二郎や鈴木清順ら日本映画界の巨匠たちから強いインスピレーションを受けて、ひとつひとつ精密にデザインされた近未来の日本像は必見だ。さらに相撲、浮世絵、和太鼓など、さまざまな日本文化が独自に融合しながら、不思議な統一感を生み出しているのも“ウェスってる”魅力。SF的要素も強い内容だけに、劇中には本多猪四郎監督の「地球防衛軍」(1957年製作)や、「妖星ゴラス」「怪獣大戦争」といった特撮映画へのオマージュも捧げられている。アンダーソン監督は、「ライフ・アクアティック」以来13年ぶりのプロモーション来日を果たした。
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20世紀フランスの架空の街。国際問題からアート、ファッション、グルメに至るまで、深く切り込んだ記事で人気を集める「フレンチ・ディスパッチ」誌の編集部では、クセは強いが才能豊かな記者たちが活躍していた。ところがある日、編集長が仕事中に心臓まひで急死し、遺言で廃刊が決定。記者たちは最終号を作るために、編集長との思い出がつまった、とっておきの記事とエピソードを振り返っていく。常連のビル・マーレイから、初参加のティモシー・シャラメまで、豪華キャストが勢ぞろい。劇中には、雑誌編集部らしく活字を使った演出が施され、演劇やアニメ的な表現が挿入されるなど、アンダーソン監督らしいこだわりと遊び心が満載だ。
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「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」ではニューヨーク、「ダージリン急行」ではインド、「グランド・ブダペスト・ホテル」ではハンガリーなど、映画を見ているだけで旅した気分を味わえるのも、アンダーソン作品の魅力だ。本作では長年憧れを抱いていたというフランスと、その文化に対する敬意と愛情が、全編にわたってちりばめられ、観客を“花の都”に誘っている。また3つの記事をオムニバス形式で描いた構成は、「短編のオムニバス映画を撮る」という長年の夢を実現させた結果だ。映画ファンが、アンダーソン作品に“ウェスってる”魅力を感じるのは、自分の“好き”を追求する創作性を通して、斬新かつノスタルジックな夢を見せてくれるからにほかならない。
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