草なぎ剛の生涯ベスト映画、最近感銘を受けた作品は?【あの人が見た名作・傑作】
2022年8月20日 11:00
映画を見に行こうと思い立ったとき、動画配信サービスで作品を鑑賞しようとしたとき、何を見れば良いのか分からなかったり、選択肢が多すぎて迷ってしまうことは誰にでもあるはずです。
映画.comで展開する新企画「あの人が見た名作・傑作」は、そんな皆さんの映画選びの一助として、映画業界、ドラマ業界で活躍する著名人がおすすめする名作、傑作をご紹介するものです。第10回は、「サバカン SABAKAN」に出演する草なぎ剛さんです。
草なぎ:ポン・ジュノ監督の「殺人の追憶」です。ソン・ガンホが主演を務めていて、大好きな作品なんですよ。
草なぎ:公開当時の2004年に観た記憶があります。ソン・ガンホが演じたダメ刑事、パク・トゥマンの芝居が、いちいち僕の琴線に触れるからだと思います。
1986~91年に発生し、10~70代の女性10人が強姦・殺害された“華城(ファソン)連続殺人事件”を題材にした戯曲が原作。女性の変死体が見つかった華城で、地元の刑事パクは捜査を始めるが、数日後には別の女性が同じ手口で殺されてしまう。ソウルから派遣された刑事ソ・テユンと組む事になったパクは、性格が対局にあるため当初は対立するが、それでも捜査を続け、有力な容疑者を見つける。だが捜査陣をあざ笑うかのように、次々と被害者が出てしまう……。なお本作は、韓国のアカデミー賞・大鐘賞で作品賞、監督賞、主演男優賞、照明賞を受賞している。
草なぎ:白石和彌監督の「死刑にいたる病」はすごく良かった! 以前撮られた「孤狼の血」も好きな作品ですしね。
「死刑にいたる病」はグロテスクなシーンも多いんだけど、ただそれだけじゃないというのが白石監督のすごいところ。そこが伝わってくるんですよね。“痛い!”と思うシーンも、痛いのを越えてギャグというか、「アニメじゃないの?」と思えてしまうところに魅力を感じてしまうんです。
「孤狼の血」の白石和彌監督が、櫛木理宇の小説「死刑にいたる病」を映画化したサイコサスペンス。鬱屈した日々を送る大学生・雅也のもとに、世間を震撼させた連続殺人事件の犯人・榛村から1通の手紙が届く。24件の殺人容疑で逮捕され死刑判決を受けた榛村は犯行当時、地元でパン屋を営んでおり、中学生だった雅也もよく店を訪れていた。手紙の中で、榛村は自身の罪を認めたものの最後の事件は冤罪だと訴え、犯人が他にいることを証明してほしいと雅也に依頼。独自に事件を調べ始めた雅也は、想像を超えるほどに残酷な真相にたどり着く。阿部サダヲと岡田健史が主演を務め、岩田剛典、中山美穂らが共演。今年5月6日に公開された同作は、興行収入10億円を超えるヒットを飾ったことも記憶に新しい。
草なぎ:健さんといえば任侠映画なのかもしれませんが、「冬の華」が好きなんですよね。バリバリの任侠道ではなく、静かに悲しみを抱えた男の姿がいいんです。
それでいて、熱さを胸に秘めている。それこそ、「不器用ですから……」という感じで、健さんが多くを語らずして画面越しに伝えてくる、男の哀愁というのが僕はたまらなく好きなんです。
草なぎ:健さんは誰に対しても親切なんですが、僕も本当によくしていただきました。「あなたへ」の撮影期間はそんなに長くなかったんですが、すごく濃密で、色鮮やかな時間をご一緒することが出来ました。
健さんって実はおしゃべり好きだから、「健康に気を使え」とか色々アドバイスをくれたりもしました。仕事や芝居に関して具体的に教えてくれることはなかったんですが、映画の世界で生きてきた名優の空気というか、隠しようのないオーラを肌で感じさせてもらいました。そういう、そこにいるだけで感じることの出来る説得力を学ばせてもらいました。
1978年6月に封切られた、「北の国から」の倉本聰が脚本を書き下ろした降旗康男監督作。殺した相手の娘を気にかけ、「ブラジルにいる伯父さま」と偽りながら文通を続ける一方、堅気になれずヤクザの世界で破滅していく男の姿を描いている。高倉は、敵対勢力に寝返った男を殺害して15年の刑に服す東竜会幹部・加納に息吹を注いだ。加納が援助を続ける洋子を池上季実子が演じたほか、田中邦衛、三浦洋一、藤田進、北大路欣也、夏八木勲、小林稔侍、大滝秀治らが出演。
高倉と草なぎが共演した2012年8月公開の降旗康男監督作。高倉にとっては、「単騎、千里を走る。」(2006)以来の映画出演となった人間ドラマで、結果的に遺作となった。北陸にある刑務所の指導技官・倉島英二は、最愛の妻を53歳で亡くし、「故郷の海に散骨してほしい」と記された絵手紙を受け取る。生前には口にしなかった妻の真意を知るため、英二は自家製キャンピングカーで妻の故郷・長崎へと向かう。高倉とは「夜叉」以来27年ぶりの共演となるビートたけしのほか、田中裕子、佐藤浩市、綾瀬はるか、余貴美子ら、ベテランから若手まで日本映画界を代表する顔ぶれがそろった。