第23回上海国際映画祭が7月25日開幕! 日本映画57本上映&是枝裕和らのマスタークラスも
2020年7月23日 11:00
[映画.com ニュース] 中国国内で唯一の国際映画製作者連盟 (FIAPF) 公認長編映画祭「上海国際映画祭」(第23回)が、7月25日~8月2日に開催されることが決定した。
当初は6月13日から開催される予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期に。7月20日から始まった映画館の営業再開を受け、新たな日程が確定した。しかし、コロナ禍での開催であることから、通常通りの運営とはいかないようだ。現時点では中国への入国が規制されているため、海外ゲストの登壇は叶わず。審査員の招致も困難であることから、賞の授与は行わず、各部門に入選した作品を「公式セレクション」として発表。感染防止のため、オープニングセレモニー、レッドカーペットといったイベントがすべて中止となり、各上映を着席率30%以下で実施する予定となっている。
厳しい状況ではあるが、例年通り“映画ファンのお祭り”を目指している。最も人気の高い部門「TRIBUTE TO MASTERS」では、フェデリコ・フェリーニ監督特集(10作品。すべて4K上映)をはじめ、クロード・シャブロル監督特集(4作品)、プロデューサーのウー・イーゴン特集(2作品)、北野武監督特集(4作品)、今敏監督特集(2作品)をラインナップ。チケット販売直後、全作品が完売となる盛況ぶりだ。
日本映画は、19年度と同様の規模となる57作品を上映。コンペティションの劇映画部門では、沖田修一監督の最新作「子供はわかってあげない」(20年内公開)、ドキュメンタリー映画部門では、原一男監督が18年に及ぶ撮影・編集を経て完成させた「水俣曼荼羅」が入選しワールドプレミア上映される。アニメ映画部門では、フライングドッグ設立10周年作品として製作された「サイダーのように言葉が湧き上がる」(20年内公開)が選出。アジア新人賞部門では、三吉彩花と阿部純子がダブル主演を務める映画「Daughters(ドーターズ)」(9月18日公開)が、日本映画として唯一のノミネートを果たしている。
松竹映画100周年を記念して設立された企画部門「SIFF SPECIALS-SHOCHIKU CINEMA 100TH」では、「醜聞 スキャンダル」「一人息子」「切腹」「楢山節考(1958)」「砂の器」を披露。「SIFF CLASSICS-4K RESTORATION」では、若尾文子主演作「しとやかな獣」「刺青(1966)」を4Kデジタルリマスター版で上映し、大林宣彦監督の遺作となった「海辺の映画館 キネマの玉手箱」(7月31日公開)が、「SIFF HIGHLIGHTS-NEW FROM AUTEUR」部門の1本として、中国プレミア上映となる。
また、人気シリーズ最新作「コンフィデンスマンJP プリンセス編」(7月23日公開)はインターナショナルプレミア、角川春樹の生涯最後となる監督作「みをつくし料理帖」(10月16日公開)がワールドプレミア上映を迎えることに。パノラマ部門では、行定勲監督作「劇場」をはじめ、今泉力哉監督作「街の上で」(21年春公開)、高橋伴明監督作「痛くない死に方」、飯塚俊光監督作「踊ってミタ」、齊藤工が企画・原案・撮影・脚本・監督ほかを務めた「COMPLY+-ANCE コンプライアンス」、池田エライザの初監督作「夏、至るころ」(20年公開)などがお披露目される。
多数のイベントが中止となっている状況だが、映画ファンからの期待に応えて、豪華ゲストのトークを楽しめる「マスタークラス」が実施されることに。ジャ・ジャンクー監督以外のクラスは、オンラインでの開催に変更し、日本から、是枝裕和監督、河瀬直美監督が参加予定となっている。
なお、映画.comのコラム「どうなってるの? 中国映画市場」を連載している映画ジャーナリスト・徐昊辰(じょ・こうしん)氏が、本年度から上海国際映画祭プログラミング・アドバイザーに就任。今回の開催について「178日間も閉鎖されていた中国の映画館が、ようやく再始動となりました。再開直後に行われる上海国際映画祭は、中国映画界にとっては極めて重要なイベント。業界全体を復活させる起爆剤になるかもしれません。300以上の上映回チケットが既に完売していますが、これこそ中国映画業界のパワーの証明とも言えるでしょう。『コンフィデンスマンJP プリンセス編』のチケットも即完売。改めて日本映画の人気ぶりを実感しています。今後も、日中での映画交流が深まっていくことを期待しています!」とコメントを寄せている。
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