一人息子

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解説

小津安二郎がゼームス・槇名義で書き下ろした原作を自らのメガホンで映画化した、小津作品初のトーキー映画。信州の田舎町で、身を削って働きながら女手ひとつで息子を育てあげた母親。大学進学を希望する息子のため、貧しいながらも何とか学費を捻出して東京へと送り出す。ところが数年後、東京で出世しているはずの息子のもとを訪れた母親は、息子が夜学教師として妻子とともに貧しい生活を送っていることを知り、愕然とする。

1936年製作/87分/日本
配給:松竹

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映画レビュー

2.0今の世の中では表現できない内容

2014年6月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

 昔、田舎で教えてもらった青年教師が、東京で会ってみると場末のとんかつ屋になっていた。笠智衆演じるそんなさえない男のもとへ、子供が生まれた報告に行くと、夜泣き封じの絵をくれる。
 主人公は家に帰ると、さっそく子供を寝かせている部屋にこの絵を貼る。これ以降、家の中のシーンにはずっとこの絵が映っているのだが、魔除けとはいえ、なんだか陰気臭く、不気味な雰囲気を醸し出している。
 しかし、主人公が、もう一度勉強をやり直して再起を図ると妻に誓った時のシーンには、この絵が映っていないのだ。彼が、とんかつ屋のように落ちぶれていく生活に、きっぱりと決別したことが示されている。

 ところで、とんかつ屋が、落ちぶれた元教師のしがない生業として描かれているのだが、世のとんかつ屋たちからしてみれば面白くない話ではないだろうか。
 特定の職業や職場での立場を、このようにネガティブにとらえる物語を、現在制作することは不可能なのではないだろうか。人種や性別と同様、職業や役職も、その描写に政治的な配慮が求められるこの時代だ。今、この映画を製作することは難しいことだろう。
 そんなことを気にせずに物語を紡ぐことのできた時代の、牧歌的な表現をたくさん見ることができた作品。

 文章を売る人たちも、その表現内容について、常に政治的な正しさを求められるのと同様、いやそれ以上に、映画の表現内容に対する世の中の検閲は厳しくなる一方だと思う。
 教科書に載る古典文学がつまらないものに偏っていく原因も、映画が表現する人間や社会が、イデオロギーや性差、経済格差などを中和した平板なものになってしまう原因も、映画製作に携わる人々の能力の問題ではなく、こうした配慮を求められることにあるのではないだろうか。
 確かに、自分や自分の親の職業を、落ちぶれた人間のやることと表現されると、気分は良くないだろう。それを我慢してまで映画を観る観客はいない。
 表現の自由とは、政治権力やイデオロギーに支配を受けていないからと言って、いつでも保障されているものではない。むしろ、政治色やあからさまな性的描写さえ出さなければなんでも自由闊達に描くことができたのは戦前・戦中なのではないだろうか。

 作品の時代性について考えるとき、昔の不自由さと今の表現の可能性の比較だけではなく、今の表現を巡る神経質な状況、昔の観客のおおらかさに目を向けることにより、その時代が、いかに豊かな表現が可能な時代であったかを確かめることができる。

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よしただ
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