秋刀魚の味(1962)

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秋刀魚の味(1962)
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解説

名匠・小津安二郎の遺作となった作品。老いと孤独をテーマに、妻に先立たれた初老男性と結婚適齢期を迎えた娘の心情を、ユーモラスかつ細やかに描き出す。サラリーマンの平山周平は妻に先立たれ、長女・路子に家事の一切を任せて暮らしている。友人に路子の縁談を持ちかけられても、結婚はまだ早いと聞き流してしまう。そんなある日、中学の同窓会に出席した平山は、酔い潰れた元恩師・佐久間を自宅に送り届ける。そこで彼らを迎えたのは、父の世話に追われて婚期を逃した佐久間の娘・伴子だった。それ以来、平山は路子の結婚を真剣に考えるようになり……。父を笠智衆、娘を岩下志麻が演じる。2013年には松竹と東京国立近代美術館フィルムセンターの共同作業によってデジタル修復され、第66回カンヌ国際映画祭クラシック部門でプレミア上映された。

1962年製作/113分/日本
配給:松竹

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映画レビュー

5.0他に類のない"豊かさ"

D.oneさん
2021年4月26日
iPhoneアプリから投稿

 劇中に詰まった無限大の人間味を、底なしに噛み締められる他に類をみない素晴らしき作品… セリフのひとつひとつに、人生や人間関係についてしみじみと考えさせられる豊かな"含み"を持たせた大傑作です。

 ゆったりと平和な昭和の日常を描いた作品でありながら、多角的な視野から映し出した人間模様がなんとも良い…。定点カメラから対象を第三者的視点から客観的に観察しているかと思えば、シーンの切り替わりで見えている角度が変わる。作中の登場人物の視点から、お互いを見つめ、観察することを通して観客の感じ取り方を無限に味わうことを可能とする、そんな映画における最大の魅力を引き出した革命的な手法は、時を超え、国を超えて普遍的に評価される最たるものであるように感じます。

 技術的な観点で映画の引き出す最高の魅力を発見した遺産級の作品でありながら、日本的な良さを現代の我々と世界に知らしめる偉大すぎる作品であるように感じられます。登場人物達の人間関係には、なんだか程よい"余裕"があるように思えました。昭和を生きたことがない私には真偽のほどはわかりませんが、当時の社会、人間関係にある種の心の余裕というか、豊かさがあったのではないかと感じます。
 会話はゆったりとしたテンポで行われるのに、一切気まずさが感じられません。作中では集合住宅であっても簡単にお隣さん家にトマトを借りられるし、ふらっと他人のお宅も訪問できる。こんなにも密に人と関係を持ってたら、さぞかし気遣いとストレスで疲れるだろうと思ってしまうのですが、お互いに緩やかな人間関係が形成されており、なんともあっさりしています。そんな緩やかな形成体系の中で多くの人と繋がりを保ちながら、適度な距離感がある。例えば、お酒の場でもあっさりとおいとまを切り出せるし、数年前にちょっと関係のあった人と一緒に飲みにも行ける。戦時中に海軍の部下だったという男性から一緒に飲みにいきましょうと誘われて、本人は「はて、どなたでしたか」なんて言ってるにも関わらず、です。現代に生きる私からすれば、そんなこと到底出来ませんけど、それが当たり前にできるなんとも器用な人間関係に、心底憧れました。

 戦後間もない、昭和を描いた映画ですから、所々に男性優位が垣間見れるシーンがありますけれども、作品では女性の偉大さを身に染みるように語りかけているように思えます。「私は人生、失敗しました。娘を便利にしすぎたから、独りぼっちです」"ひょうたん"先生の廃れた姿は、女性の存在に支えられながらも、その偉大さに独りよがる世の男性達に警鐘を鳴らしていたのかもしれません。

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D.one

3.5杉村春子が良い。

KONさん
2020年5月13日
iPhoneアプリから投稿

小津安二郎の作品を観た範囲で言うと、現代からみると普通の生活を描いてるようで、結構、経済的には豊かな家庭環境を描いてる。

この作品でも、恩師が下町のラーメン屋を営んでいる事に哀れさだけが感じられる表現をしているのだが、社会の底辺でも足掻きながらも、生き生きしてる生活はあったと思う。

その辺が、いまいち小津作品にのめり込めない理由かな。とか言いながらまた他の作品を観るのだから何かしら引き付けられる所があるんだろう。

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KON

4.0哀愁

2020年1月5日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

知的

難しい

妻を失った男が、頼りの娘を嫁に出す話。
娘を傍に置いておきたい父親、父親が心配な娘、家族というものが重んじられていた時代を感じることができた。
結婚というものも、現代とは異なる認識であることがよくわかる。
しかし、男やもめとその娘の気持ちはなぜかよくわかる。

東野英治郎さんが演じる男やもめは、娘を嫁に出さなかった。そのしっかりした娘がこっそりと涙を流すシーンは辛かった。
今でこそ、結婚をしなくても男女関係なく好きなように生きていけるが、時代が違えば結婚をしないことは不安や孤独を暗示しているのだなぁ...。

軍艦マーチを懐かしむシーンはあるが、戦争を語ることはない。
ただ、大切な娘を嫁に出すことを考える父親が描かれている。

もっと年をとってからみるともっと深く読み取ることができるのかなぁと思った。

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ちゅーる

5.0これぞ小津作品の完成形ではないでしょうか

あき240さん
2019年10月8日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

秋刀魚は登場しません
そのほろ苦い味をタイトルにしています

1949年 晩春
1951年 麦秋
1962年 秋刀魚の味

この三作品はテーマが同じです
特に本作は晩春の実質的なセルフリメイクと言って良いと思います

ヒロインが原節子ではなく岩下志麻なのは、流石に年月が流れて彼女の年齢では最早無理との判断と思われます
男やもめの初老の男が娘を嫁に出すという物語なのですから

よって本作のヒロインの名前は路子で紀子ではありません
紀子は原節子の為の永久欠番のような名前なのだと思います

岩下志麻は美しく気品もあり適役ではありました
しかしやはりその姿の向こうに原節子の面影を見ているのは観客だけでなく小津監督もその面影を追っていたように思います

主人公の周平の会社は京浜工業地帯の横浜寄りのようですし、彼の言動から家はどうも川崎辺りの雰囲気です

ヒョウタンのラーメン屋、そこで出会う加東大介の演じる海軍時代の部下が連れていくトリスバーはおそらく蒲田であろうと思われます

長男の光一の住む団地は池上線の石川台駅の近く
あの辺りに公営団地は無いので、社宅という設定なのだと思います

ところが路子は石川台駅で三浦と一緒に石川台駅の五反田方面のホームに立っています
本来なら反対側の蒲田方面のホームに別れて蒲田から京浜線で川崎の家に帰るべきところです
なかなか手の込んだ演出の仕掛けだと思います

同級生があつまる料理屋の若松はネオンの位置から見て銀座6丁目と7丁目の間辺りのようです

ラジオのナイター中継は大洋阪神戦
調べて見るとその年は阪神優勝で大洋は2位の結果でした

杉村春子の演じるヒョウタンの娘
アラフィフで独身のままの無惨さを圧倒に雄弁に演技で語って見せます

晩春における、父親が娘に嫁に行けと雄弁に語るシーンを本作ではその杉村春子のシーンで置き換えているのだと思います
本作の方がよりスマートに雄弁に語っていると思います

のんびりして真剣に取り組まなかったが為に路子の縁談相手が他に取られたと言われて周平が焦るシーンも見事な伏線回収で鮮やかな決まり方でした

軍艦マーチが何度かかかります
それは過去を懐かしむ、過去の思い出にしがみつく心情の記号として扱われています
加東大介が演じる自動車修理工場の社長は周平を案内したトリスバーで海軍時代を盛んに懐かしむのですが、周平は全く関心を示しません

周平もヒョウタンも現在をただ懸命に生きていて過去を振り返って懐かしんだりしていないのです

しかしラストシーンで酔いつぶれた周平は軍艦マーチを口ずさんだのです

過去の方に心が向かってしまった心情を見事に表現した演出です
もちろん娘の路子の面影を反芻しているのです
海軍の思い出なのではありません
自分が若い時の思い出
妻がまだ生きており、まだ小さかった頃の娘の思い出に耽っているのです

しかし彼は泣きはしません
秋刀魚の味のようにほろ苦い思いが胸中に詰まっています
秋刀魚の味は美味しいのです
酒に合うのです
こんな美味しい酒は無いのです
秋刀魚の味を快く噛みしめているのです

晩春での再婚の嘘の設定を、死別した妻にトリスバーのママの面影が似ていたという話で置き換えてよりスマートに処理されています
また娘のエディプスコンプレックスという別の要素を入れ込むこともなく、焦点を絞りめてもいます
本作は大変にスマートに何度もトライしてきた主題を本当に最後の最後で完成させたのだという実感を感じます
これぞ小津作品の完成形ではないでしょうか

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あき240
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