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「僕たちは今、お星様が生まれるのを見たんだ」
過去数回鑑賞
監督と脚本は『姿三四郎』『野良犬』『羅生門』『生きる』『七人の侍』『隠し砦の三悪人』『椿三十郎』『赤ひげ』『デルス・ウザーラ』『乱』の黒澤明
脚本は他に『男ありて』『日本誕生』『兵隊ヤクザ』『あゝ海軍』『竹取物語』の菊島隆之
菊島はこの他に黒澤明と共同執筆多数
昭和25年公開作品
黒澤明39歳
まだチャンバラ映画はGHQによって禁じられている時代だったかもしれない
黒澤映画といえば時代劇だが黒澤明監督がメガホンをとった現代劇としてはベスト5には入れたい佳作
裁判はグズグズしてるが映画のテンポが良い
伊豆で山の絵を描いていた画家の青江は偶然出会った声楽家の美也子をオートバイで彼女の目的地の温泉宿まで送った
別々の部屋に泊まったがたまたま美也子の部屋にお邪魔して景色を眺めながら雑談をしているところを東京のマスコミに写真を撮られた
写真はアムール社の雑誌アムールの記事として使用され「恋はオートバイに乗って」という見出しで2人は恋人認定されてしまう
雑誌は飛ぶように売れ捏造記事に腹を立てた青江は抗議をするためアムール社に出向いたが編集長の堀を殴ってしまい騒ぎはさらに大きくなった
そんな青江の元に売り込みに来た弁護士の蛭田は青江担当の弁護をすることになった
蛭田は和解の仲介として謝礼を貰おうとしたのかアムール社に出向いたものの相手弁護士は法曹界の大物である片岡博士だと知りあまりの格上に怖気付いてしまう
おまけにアムール社の堀編集長に買収されてしまう始末
「犬だ 蛆虫だ 悪党だ」と己を詰り項垂れる蛭田弁護士
いざ裁判になっても青江の弁護をまともにできなくなった蛭田だが娘の死で一念発起し法廷の場で買収されたことをぶちまけてしまう
片岡弁護士は負けを認め青江の勝訴は確定した
蛭田は弁護士のくせに貧乏だ
戦後間もないころで国民全体が貧しく名家の顧問にもならないと弁護士といっても貧しさに喘ぐのだろうか
「あぶない あぶない」という口癖のあたりの台詞の数々も「不幸な人間にとっては幸福な人間が不幸になるのを見るのは楽しい」も黒澤監督の本音といえる
「くさい じつにくさい 南京虫」などと青江の前でアムール社をなにかと罵倒するがそういった数々の辛口マスコミ批評にしたってやはり黒澤監督の本音で間違いない
蛭田弁護士は黒澤監督の思いを投影した代弁者だ
病床の娘に愚痴をこぼす蛭田弁護士を演じた志村喬の芝居にまた今回も泣けてきた
さすがハリウッドスターのスティーブン・セガールが大絶賛した日本の俳優である
戦中は軍部によって表現の自由ないし言論の自由が徹底的に弾圧された
朝日新聞でさえ軍国主義のプロパガンダを担ったくらいだ(戦後は反省?し左翼のプロパガンダを担っているが)
戦後はその反動で何もかも自由になり人々は解放され自由を謳歌した
しかしその自由すぎる自由に眉を細める教養人は少なからずいたようだ
作家でいえば石川達三であり映画監督には黒澤明だ
千石規子が若かった頃の代表作
時折可愛く見える
彼女演じるすみえもまたずけずけとモノを言うがそれが良い
ナイトクラブで酔っ払いを演じる左卜全の演説に笑ってしまう
「来年こそは」
ちなみに劇中で歌われてる『蛍の光』は4番まであり全体を聞いてしまうと印象がまったく変わってしまう作品である
『醜聞 スキャンダル』はマスコミが好きか嫌いかで評価が分かれそう
自分はマスコミという職業の者をとことん軽蔑してる
いや軽蔑どころか敵視してる
新聞社テレビ局出版社ネットニュース例外なく全て
ネット民は彼らをゴミとかカスとかクソと表現するがそんなもんは生ぬるい
どいつこいつも炎上商法で誠実さのかけらもない
悔しかったら肥やし買ったら?と言ってやりたい
どうやら黒澤明監督も似たような思いでこの作品を作り上げたようだ
だから星5の評価になる
マスコミ関係者の皆さん文句あっか!
文句あるなら記事で俺を批判しろ!
画家の青江一郎に三船敏郎
声楽家の西条美也子に山口淑子
弁護士の蛭田乙吉に志村喬
結核を患う乙吉の娘の蛭田正子に桂木洋子
乙吉の妻で正子の母の蛭田やすに北林谷栄
青江の専属モデルのすみえに千石規子
美也子の母に岡村文子
ゴシップ雑誌アムールの編集長の堀に小沢栄
堀の部下の朝井に日守新一
アムール社の弁護をすることになった法曹界の大物の片岡に青山杉作
裁判長に清水将夫
酔っ払いの男に左卜全
青江の友人に殿山泰司
青江の友人に千秋實