「エイリアン」「ロード・オブ・ザ・リング」の名優イアン・ホルムさん死去

イギリス・イルフォード出身のホルムさんは、英国王立演劇学校を卒業後、名門ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーに入団。舞台俳優としてキャリアを積んだのち、1968年の戦争映画「The Bofors Gun（原題）」で銀幕デビュー。映画初出演にして英国アカデミー賞の助演男優賞に輝いた。

79年にリドリー・スコット監督による傑作SFホラー「エイリアン」のアッシュ役で映画ファンの注目を集め、81年には、パリ五輪をめぐる感動の実話を映画化した「炎のランナー」での型破りなコーチ役で第54回アカデミー賞助演男優賞にノミネートを果たした。

その後も、テリー・ギリアム監督（「未来世紀ブラジル」「バンデットQ」）、ウッディ・アレン監督　（「私の中のもうひとりの私」）、デビッド・クローネンバーグ監督（「裸のランチ」「イグジステンズ」）、スティーブン・ソダーバーグ監督（「KAFKA／迷宮の悪夢」）、リュック・ベッソン監督（「フィフス・エレメント」）ら、時代を代表する映像作家たちの作品で印象的な演技を残した。97年、主演作のひとつ「スウィート ヒアアフター」（アトム・エゴヤン監督）で魅せたいぶし銀の演技が絶賛され、実力派俳優としての地位を確固たるものにした。

2001年には、J・R・R・トールキンの「指輪物語」をピーター・ジャクソン監督のメガホンで実写映画化した大ヒットシリーズ「ロード・オブ・ザ・リング」のビルボ・バギンズ役で、国際的な人気と知名度を獲得。その前章となる「ホビット」シリーズでも同役を演じた。

そのほかの出演作に、「ハムレット（1990）」、「普通じゃない」（97）、「フロム・ヘル」（01）、「デイ・アフター・トゥモロー」（04）、「アビエイター」（04）などがある。

この訃報を受け、スコット監督はコメントを発表。「エイリアン」の撮影時を振り返り、「イアンとの仕事は実に楽しく、有意義なものだった。また一緒に映画を撮りたいと思いつつ、実現しなかったのが悔やまれてならない。イアンは真に偉大な俳優であり、偉大な男だった」と哀悼の意を表している。