劇場公開日 2005年3月26日

アビエイター : 映画評論・批評

2005年3月15日更新

2005年3月26日より丸の内ルーブルほか全国松竹・東急系にてにてロードショー

おたくの天国と地獄、両面あるからおもしろい

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おたくは哀しい生き物である。自分の大好きなモノに愛を注ぎ、他人がまったく気にしないようなことが気にかかり、他人が気になることがまったく気にならない。そんな価値観をもつがゆえに理解してもらえず孤独感を味わうことになる。「アビエイター」のハワード・ヒューズはまさにそんなおたく野郎、それも飛行機おたくだった。頭のなかは飛行機でいっぱい。美女を抱いていようと、心を占めるのは飛行機。希代の変人と言われたヒューズの実体は飛行機おたくだった……とスコセッシは描いた。

だが、彼の場合はフツーのおたくとは異なる。彼にはおたく心を満足させるための財力があった。そう、彼はおたくの夢を実現したおたくのホープ。おたくで富豪。もう最高である。しかし、そこにおたくの性(さが)が立ちふさがる。怖いことに、その夢は果てることがないのだ! もっと、もっと、もっと!その飢餓感を、ばい菌を恐れて何度も何度も手を洗うヒューズに重ねてみせる。ばい菌は何度洗おうとつきまとう。夢もひとつ実現すれば、次の夢が生まれてくる。きりがない。これは「すべての夢が叶う世界」があると信じたおたくの悲劇。おたくの天国と地獄、夢の光と影…その両面を描いているからこそ面白い映画になったのだ。

渡辺麻紀

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