スウィート ヒアアフター
劇場公開日 1998年7月25日
解説
カナダのアトム・エゴヤン監督が、1997年・第50回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞したヒューマンドラマ。ラッセル・バンクスの小説「この世を離れて」を原作に、童話「ハメルンの笛ふき」のエッセンスを取り入れ、スクールバス転落事故の遺族たちの“その後”を独特の美学で描き出す。雪に覆われた小さな田舎町でスクールバスが湖に転落し、20人以上の子どもたちが犠牲となった。町にやって来た弁護士スティーブンスは子どもを亡くした親たちの怒りを煽り立て、集団訴訟を起こすよう彼らを説得する。スティーブンスが彼らと話す中で、町の人々の複雑な関係と隠された秘密が明らかになる。やがて、生き残った少女ニコールの証言により、事態は思わぬ方向へと展開していく。「エイリアン」のイアン・ホルムが弁護士スティーブンス、後に「死ぬまでにしたい10のこと」などに出演するサラ・ポーリーが少女ニコールを演じた。
1997年製作/110分/カナダ
原題:The Sweet Hereafter
配給:KUZUIエンタープライズ
スタッフ・キャスト
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この映画は、観ているうちにだんだん恐ろしくなってきてしまった。人の「闇」のようなものが浮き彫りにされてくる感じ。ニコールの冷たい瞳がだんだん怖くなってくる。
大人たちの偽善的な目論見は、最後のニコールの一言でどんでん返しをくらってしまう。彼女は大人たちの言うなりにならなかった。というより、そうならざるを得ない悲惨な運命にあった。
それだけならまだシンプルだけれど、少しややこしい。彼女は、それでも、村で一番健全と思われている夫婦の子供。ここがおそろしい。
そもそも、健全だとか、信頼されてる、って一体何でしょうね?そんなのは表面的なもの。
一番皆から引かれ気味だった芸術家夫婦は、実は、なすかなかまともで温かみがある人たちのようだし、
偉そうなことを言う弁護士さんはプライベートでは娘との関係ひとつ解決できていないわけだし、
住民を大切にしていた運転手夫婦だって、皮肉にもその住民の手で追い出されてしまう。
普段の生活は穏やかに過ぎても、何かあるとえぐり出されてくる。
大人の、勝手さや弱さ、子どもの感性の鋭さへの鈍感さ。そんなものを感じた。
カンヌっぽい個性的な鋭い映画という印象。そして、俳優さんたちはそれぞれになかなか味があってよかった。
ただ、後味が悪かった。
2021年2月27日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
カンヌ・グランプリ受賞作。
ハーメルンの笛吹がモチーフになっている。
子どもが犠牲となった事故、その後の訴訟。
街の中の、それなりの関係性が崩壊し、それでもの関係性が築かれて、日常が続く。それぞれの心に痛みを残しながら。
事故の原因は何かのなぞ解きを求めるともやもや。
事故と訴訟を通して、それぞれの心の動きを丁寧につづった映画。
それぞれの”楽園”にたどり着けたのか?それぞれの”楽園”とはどういう場だったのか?
鑑賞するたびに違った思いにかられる。
2021年2月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
※原作『この世を離れて』未読
スクールバスの事故で22人の子供が犠牲になり、責任の所在を追求しようと立ち上がった弁護士。遺族らを説得し訴訟を起こす準備を進めるが、生き証人の思いもよらぬ証言が事態を変えていく。
人は誰も闇を抱えていて、この閉鎖的な町ではそれらが絶妙なバランスで成り立っている。見えないルールによって人々は生かされているのだ。
…という世界観。かな?
全体的にのっぺり展開するし、ちょっとわかりにくい描写が多かった印象。
時間軸の交錯も、不必要に差し込み過ぎて特に前半はどの時点を切り取っているのかわかりにくい。
内容も特に面白いストーリーでもないし、映画としては退屈だったな…。あとから小説原作と知ったけど、文字情報の方がニコールの内面に近付けるかもしれないので、小説なら面白いかも。
2021年2月15日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
見終わった瞬間は、随分カッコつけた映画だなーという印象だったけれど、よくよく考えてみると、ただ単に変わりない日常を行きたかっただけなのに・・・という強い思いがひしひしと伝わってくるような気がしました。
個人的な出来事と集団的な出来事が並行していく物語には、見た目のつながりが全く見えないため、ちょっとした違和感を持つし、単なる映像遊技のようにしか思えなかったのですけれど、作品の締め方をかみしめると、漠然としたつながりが見え、なかなか味わい深いものでした。
現実世界で特異な事を目の当たりにすると、どうしてもそれを利用したくなる衝動に駆られてしまいますが、その事の当事者にとってみれば、無かったことにしたいという場合も意外とあるような気がしました。
派手さはないしろ、良作だと思いました。
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