【第41回日本アカデミー賞】「三度目の殺人」が6冠!演技部門は若い力が光る
2018年3月2日 23:05
[映画.com ニュース]第41回日本アカデミー賞の授賞式が3月2日、東京・グランドプリンスホテル新高輪国際館パミールで行われ、是枝裕和監督作「三度目の殺人」が最優秀作品賞を含む6冠に輝き幕を下ろした。次いで原田眞人監督作「関ヶ原」が、最優秀撮影賞など3つの技術部門を射止めた。
「そして父になる」の是枝監督と福山雅治が再タッグを組んだオリジナルの法廷心理ドラマ。勝利至上主義の弁護士・重盛(福山)が、“負け戦”と覚悟しながら30年前にも殺人の前科がある三隅(役所広司)の弁護を引き受け、新たな事実に直面していく姿を描いた。是枝監督は最優秀脚本賞、最優秀編集賞も受賞しており、「(編集賞は)まったく想像していなかった。監督・脚本・編集を一緒にやっていくスタイルで、その3つが切り離されていないトータルで監督の仕事だと思っています。編集で賞をいただくのは、びっくりしました。僕が今回すごく悩んだ時に、スタッフ皆の意見に耳を傾けてつくった映画。スタッフ皆が評価してもらった結果だと思っています」「7人の弁護士さんに入って頂き、模擬裁判などを繰り返しやってもらい、撮影し、文字起こしをして脚本を書きました。(脚本賞は)裁判を知り尽くした弁護士さんたちのおかげでいただけた」と感謝しきりだ。
そして演技賞では、若い力が光った。主演男優賞で「あゝ、荒野 前篇」の菅田将暉、助演女優賞で「三度目の殺人」の広瀬すずが最優秀賞を獲得し、それぞれの部門で大泉洋、岡田准一、佐藤健、藤原竜也、尾野真千子、北川景子、夏川結衣、薬師丸ひろ子をおさえての受賞を果たした。菅田は「自分がどこにいるのか、何を大事にしているのか実感する機会が、自分で作らないとなかなかない。今日はちゃんと、菅田将暉としてすごくうれしいです」と独特の表現で喜びを明かし、広瀬は「一番こみ上げてくるのは、『うれしい』です。見たことのない景色を見させていただいた監督に少しでずつでも恩返しできるように、参加する作品への力になれるような役者さんになりたいです」と大事そうにブロンズを抱きしめていた。
「三度目の殺人」「関ヶ原」で優秀助演男優賞をダブル受賞していた役所は、最優秀作品賞発表時に「原田組と是枝組の間に挟まって、複雑な気持ちでした」と、茶目っ気たっぷりに言い放ち場内を沸かせる。最優秀主演女優賞の蒼井優は、「この映画を撮っている時、映画の世界に入れて本当に良かったと思った」と涙のスピーチで観客の胸を打った。
さらに総合司会の宮沢りえは、「喜びや悔しさも含めて、いろんな感情がこの1年、新しい作品へのエネルギーになるんだと目の当たりに出来て、参加させていただいて勇気をもらいました」と感激の面持ち。同じく西田敏行は、「是枝監督のドラマツルギーが大好き。(宮沢と)2人で一緒に、是枝作品に出してもらいましょうよ」とおねだりしていた。
最優秀監督賞:是枝裕和(「三度目の殺人」)
最優秀主演男優賞:菅田将暉(「あゝ、荒野 前篇」)
最優秀主演女優賞:蒼井優(「彼女がその名を知らない鳥たち」)
最優秀助演男優賞:役所広司(「三度目の殺人」)
最優秀助演女優賞:広瀬すず(「三度目の殺人」)
最優秀脚本賞:是枝裕和(「三度目の殺人」)
最優秀撮影賞:柴主高秀(「関ヶ原」)
最優秀照明賞:宮西孝明(「関ヶ原」)
最優秀美術賞:倉田智子(「花戦さ」)
最優秀録音賞:矢野正人(「関ヶ原」)
最優秀編集賞:是枝裕和(「三度目の殺人」)
最優秀音楽賞:鈴木慶一(「アウトレイジ 最終章」)
最優秀外国作品賞:「ラ・ラ・ランド」
最優秀アニメーション作品賞:「夜は短し歩けよ乙女」
新人俳優賞:中条あやみ、浜辺美波、北村匠海、竹内涼真
話題賞:作品部門「君の膵臓をたべたい」、俳優部門:菅田将暉(「帝一の國」)
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