本記事では、映画.com&アニメハックのスタッフが「どうしても紹介しておきたい!」と熱望した“最推し”の作品を一挙にご紹介(対象:2023年1月1日~2023年12月31日公開・配信作品)。絶賛公開中の作品から、すでに配信やBD&DVDレンタルで楽しめる作品(もちろんこれからリリース予定のものも!)まで幅広くラインナップしました。
皆さんの映画ライフをもっともっと充実させる良作、秀作、傑作ばかりですので、ぜひ鑑賞の参考にしてください!
(C)新見伏製鐵保存会 【選出理由】
はっきり言って、万人受けする映画ではない。ある人は絶賛しある人は酷評するような作品だ。でも僕は、本作の作り手にとても共感する。悪評があっという間に広まるこの時代に、体の奥底から生じる衝動を臆せずに描き切り、メッセージを受け取ってくれる人は世界中にいると信じて疑わない、そんな純粋無垢な信念を、僕はしっかりと受け取ったからだ。僕も(業界の端っこだけど)何かを書き、世界に届ける仕事をしている。本作に強く手を引かれた気がした。(映画.com編集部 尾崎秋彦)
製鉄所の爆発事故によって全ての出口を閉ざされ、時まで止まってしまった町。いつか元に戻れるように「何も変えてはいけない」というルールができた。変化を禁じられた住民たちは、鬱屈とした日々を過ごしている。中学3年生の菊入正宗は、謎めいた同級生・佐上睦実に導かれて足を踏み入れた製鉄所の第五高炉で、野生の狼のような少女・五実と出会う。
【選出理由】
光と影、揺れるカーテン、鏡とドア、風に吹かれる草原と樹々、木漏れ日、懐かしい教室と廊下、真っ青な空と海、波打ち際、浜辺での遊戯といったカットとシーンの積み重ねによって、喪失による思い出の旅へと誘われます。研ぎ澄まされながらも、緩やかな時間の流れがどこか懐かしくて心地よく、クスっとさせながら、傷ついた心を優しく包み込んでくれるような映画です。
田中さくら 監督が見ている“世界”に入り込んでみてください。(映画.comスタッフ
和田隆 )
大学在学中に制作した「
夢見るペトロ 」で第16回田辺・弁慶映画祭の審査員特別賞と俳優賞を受賞した
田中さくら 監督による短編作品。就職のため実家を離れた主人公が、捨てたはずの思い出と再び向き合う姿を描く、少し不思議な物語。
大学を卒業して2年。就職が決まり実家を離れることになったショウタは、淡々と思い出の品々の断捨離を進めた。そして新居にやってきたショウタは、怪しげな着ぐるみと出会う。その中にいたのは、別れた恋人と同じ顔をした女性で……。
(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved. 【選出理由】
日本公開は、2023年1月。詩的なタイトルに惹きつけられて鑑賞し始めたら、おじさん2人の友情崩壊物語を突きつけられるとは……でもでも、延々と、ネチネチと、くすぶる炎のように喧嘩し続けている光景がハチャメチャに面白い。コルムが抱いてしまった凡庸さや退屈への呆れと憎悪。あそこまで過剰に拒絶するようなことはありませんでしたが、その感覚は少しだけ憶えがあったり……。そして、その退屈さを絶妙な塩梅で体現する
コリン・ファレル の凄み!! あの下がり眉、当分忘れられません。おじさん2人の周辺に配置されたキャラも含め、個人的には2023年No.1の対話劇!(映画.com編集部 岡田寛司)
1923年、アイルランドの小さな孤島イニシェリン島。住民全員が顔見知りのこの島で暮らすパードリックは、長年の友人コルムから絶縁を言い渡されてしまう。理由もわからないまま、妹や風変わりな隣人の力を借りて事態を解決しようとするが、コルムは頑なに彼を拒絶。ついには、これ以上関わろうとするなら自分の指を切り落とすと宣言する。
(C)AMAZON CONTENT SERVICES LLC 【選出理由】
NIKEが1980年代に「業界の負け犬」だった事実を知らない人も多かったはず。名もなき会社員たちが一発逆転のチャレンジに身を投じていくさまに、血沸き肉躍った。これまでに「感動の実話」といわれる作品は何度も観てきたが、これほどまでに心の琴線に訴えかけてきたのは、今作が極上の「お仕事映画」だからであろう。今どき流行らないかもしれないけれど、精魂尽き果てるほど仕事に熱情を傾けたことのある人(ない人も)には、ぜひお届けしたい逸品。(映画.com副編集長 大塚史貴)
1984年、ナイキ本社に勤めるソニー・ヴァッカロは、CEOのフィル・ナイトからバスケットボール部門を立て直すよう命じられる。しかしバスケットシューズ界では市場のほとんどをコンバースとアディダスが占めており、立ちはだかる壁はあまりにも高かった。そんな中、ソニーと上司ロブ・ストラッサーは、まだNBAデビューもしていない無名の新人選手
マイケル・ジョーダン に目を留め、一発逆転の賭けと取引に挑む。
【選出理由】
以前からイベント上映や限定配信などで披露されていましたが、遂に劇場公開となったので、どうしても紹介しておきたかった作品。ストーリー(=フィクション)は存在していますが、加えて映し出されるのは、脚本の読み合わせやリハーサル。繰り返される同場面の別パターンや別カット。俳優陣が確かに獲得していく“役の声”。テキストに視線を落とし、あるいは対話相手を見つめ、時には話者の“声”に耳を傾けている。映画が“ひとつの正解(あるいは選択)”へと至るまでの工程を追体験するような……次々と突きつけられる、大きな、時には些細な“変化”から目が離せなかったんです。(映画.com編集部 岡田寛司)
長編映画デビュー作「
螺旋銀河 」が第11回SKIPシティDシネマ映画祭にてSKIPシティアワードと観客賞を受賞した
草野なつか 監督の長編第2作。
出版社の仕事を休職中の亜希は実家へ数日間帰省することになり、小学校から大学までをともに過ごした幼なじみの野土香の新居を訪れる。大学の先輩だった直人と結婚して子どもを産んだ野土香は、実家近くに建てた新居に暮らしていた。その家は温度と湿度が心地よく保たれており、まるで世間から隔離されているようだと亜希は感じる。最初は人見知りをしていた野土香の娘・穂乃香は一緒に遊ぶうちに亜希に懐くが、野土香はとても疲れている様子だった。数日後、東京の自宅に戻った亜希は、ある衝撃的な内容の手紙をしたためる。
(C)2023 Studio Ghibli 【選出理由】
とても一度は引退を表明した人の作品とは思えない、青白い炎のような熱を秘めたエネルギッシュな内容で脱帽しました。きっと宮﨑監督はまだ作品を作ると思います。正直、内容をしっかりと理解できているとは思っていませんが、美しい映像を見ているだけでも楽しかったです。先日NHKで放送された「プロフェッショナル 仕事の流儀 ジブリと宮﨑駿の2399日」にも震えました。メイキングのソフト化を熱望!(映画comスタッフ A.K)
宮崎駿 監督が2013年公開の「
風立ちぬ 」以来10年ぶりに世に送り出した長編アニメーション。ベルリン国際映画祭金熊賞、米アカデミー長編アニメーション賞を受賞した「
千と千尋の神隠し 」をはじめ、スタジオジブリで数々の名作を世に送り出してきた宮崎監督が、「
風立ちぬ 」公開後に表明した長編作品からの引退を撤回して手がけた。宮崎監督の記憶に残るかつての日本を舞台に、自らの少年時代を重ねた、自伝的要素を含むファンタジー。
C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable 【選出理由】
「
鬼滅の刃 」はテレビシリーズで全話見ていたので、「遊郭編」の復習と「刀鍛冶の里編」の予習をしよう……程度のかるい気持ちで劇場に行ったのですが、まさかの大感動&大号泣。「遊郭編」はテレビ放送時も素晴らしかったのですが、クライマックスの戦いをつなげてスクリーンで見たことで、妓夫太郎と堕姫の兄妹の物語がより濃密に感じられ、テレビ放送時以上の感動をくれました。そして大スクリーンで見る無限城と上弦の鬼たちの迫力よ! 見終わった時、改めて「こんなに良い作品だったのか」という新鮮な気持ちにさせてくれたことも“最推し”する理由のひとつです。(アニメハック編集部 N.S)
大ヒットアニメ「
鬼滅の刃 」のテレビシリーズ第3期「刀鍛冶の里編」の放送開始(2023年4月)を前に、第2期「遊郭編」の第10、11話と「刀鍛冶の里編」の第1話を特別劇場上映した作品。炭治郎や音柱・宇随天元たちと上弦の陸・堕姫と妓夫太郎が激闘を繰り広げて話題を集めた「遊郭編」の第10、11話を、新たな任務地での霞柱・時透無一郎と恋柱・甘露寺蜜璃との出会いや、無限城に集められた上弦の鬼の姿を描く「刀鍛冶の里編」第1話で構成。本編映像は全編4Kアップコンバートされ、音楽も映画館上映にあわせて再ミックスされていた。
Fredrik Wenzel (C) Plattform Produktion 【選出理由】
長らく熱視線を注いでいるオストルンド監督。まずは冒頭で、人気女性モデルのヤヤと、キャリアが低迷気味の男性モデルのカールが、食事の支払いをめぐって揉めるシーン。男性と比べ、女性の立場も賃金も圧倒的に高いというファッションモデル業界を描いているのも興味深いポイントです。観客がいたたまれなくなる、目を背けたくなる瞬間の少し先まで、手を緩めることなく描く
リューベン・オストルンド 監督の手腕が存分に発揮され、冒頭から厭な空気がスクリーンを支配します。豪華客船・無人島と場所を変え、いくつもの“逆転”を見せていき、最後の鮮烈なカットまで、観客はその空気に囚われ続ける――監督のひとつの到達点ともいえる、必見作です。(映画.com編集部 ドーナッツかじり)
人間に対する鋭い観察眼とブラックユーモアにあふれた作品で高い評価を受けてきたスウェーデンの鬼才
リューベン・オストルンド が、ファッション業界とルッキズム、そして現代における階級社会をテーマに描き、2022年・第75回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した人間ドラマ。
モデルでインフルエンサーとしても注目を集めているヤヤと、人気が落ち目のモデルのカール。美男美女カップルの2人は、招待を受けて豪華客船クルーズの旅に出る。船内ではリッチでクセモノだらけな乗客がバケーションを満喫し、高額チップのためならどんな望みでもかなえる客室乗務員が笑顔を振りまいている。しかし、ある夜に船が難破し、海賊に襲われ、一行は無人島に流れ着く。食べ物も水もSNSもない極限状態のなか、人々のあいだには生き残りをかけた弱肉強食のヒエラルキーが生まれる。そしてその頂点に君臨したのは、サバイバル能力抜群な船のトイレ清掃係だった。
【選出理由】
ゲーマーの少年が、本物のプロレーサーとなってレースに挑む。フィクションかと思いきや、これがまさかの実話という驚き! 少年マンガのような王道のサクセスストーリーと、迫力のレースシーンにワクワクしっぱなしでした。昨年のマイベストムービーは「
トップガン マーヴェリック 」でしたが、それに匹敵する最高の胸アツ映画でした! 視聴の際はスマホやタブレットではなく、できるだけ大画面&良い音響で楽しむことをオススメします。(映画.com編集部 MOMO)
世界的人気を誇る日本発のゲーム「
グランツーリスモ 」から生まれた実話をハリウッドで映画化したレーシングアクション。
ドライビングゲーム「
グランツーリスモ 」に熱中する青年ヤン・マーデンボローは、同ゲームのトッププレイヤーたちを本物のプロレーサーとして育成するため競いあわせて選抜するプログラム「GTアカデミー」の存在を知る。そこには、プレイヤーの才能と可能性を信じてアカデミーを発足した男ダニーと、ゲーマーが活躍できるような甘い世界ではないと考えながらも指導を引き受けた元レーサーのジャック、そして世界中から集められたトッププレイヤーたちがいた。想像を絶するトレーニングや数々のアクシデントを乗り越え、ついにデビュー戦を迎える彼らだったが……。
(C)2022 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved. 【選出理由】
山小屋で暮らす家族3人のもとに謎の男女4人が押し入り、家族のうち誰かが死ななければ世界が終わると告げられる。そんな突拍子もない設定で、ワンシチュエーションの密室劇を見事に成立させてしまうのは、シャマラン監督の真骨頂だと思いました。謎の訪問者を演じるひとりの、「
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー 」シリーズの
デイブ・バウティスタ の存在感も物語に説得力をもたせていました。シャマラン監督のカメオ出演シーンも最高です。(アニメハック編集部 五所光太郎)
ゲイのカップルであるエリックとアンドリュー、そして養女のウェンの家族が山小屋で穏やかな休日を過ごしていると、突如として武装した見知らぬ謎の男女4人が訪れ、家族は訳も分からぬまま囚われの身となってしまう。そして謎の男女たちは家族に、「いつの世も選ばれた家族が決断を迫られた」「家族のうちの誰か1人が犠牲になることで世界の終末を止めることができる」「拒絶することは何十万もの命を奪うことになる」と告げ、エリックとアンドリューらに想像を絶する選択を迫ってくる。テレビでは世界各国で起こり始めた甚大な災害が報じられるが、訪問者の言うことをにわかに信じることができない家族は、なんとか山小屋からの脱出を試みるが……。
●「フリーク・オルランド 」
Freak Orlando, Photo: Ulrike Ottinger (C) Ulrike Ottinger 【選出理由】
年齢も性別も超越した主人公を描く
バージニア・ウルフ の「オーランドー」が原作。ドイツ表現主義をベースに、
寺山修司 やヘルツォークの見世物ケレン味、ドイツ史や当時の世相への批評精神を持つブラックユーモア、ブニュエルの不条理、パゾリーニのアンチキリストな毒入り葡萄酒と
ジャック・ドゥミ のエレガンス&祝祭感を振りかけたような美しい悪夢であり、異端者の苦難を荒唐無稽で優しいユーモアに変えるお伽話。
ウルリケ・オッティンガー 監督作を知る喜び――今この時代に見られて良かった!(映画.com編集部 M.K)
ニュー・ジャーマン・シネマの時代から精力的に活動し、2020年ベルリン国際映画祭でベルリナーレカメラ(功労賞)を受賞したドイツの映画作家
ウルリケ・オッティンガー が1970年代末から80年代にかけて手がけた「ベルリン3部作」の第2作。
イギリスの作家
バージニア・ウルフ の小説「オーランドー」を奇抜に翻案し、神話の時代から現代までの5つの時代で繰り広げられる物語を独自の映像感覚で描き出す。
【選出理由】
「コナン」シリーズのファンとしても、灰原哀ちゃんファンとして大大大満足。終盤はずっと「哀ちゃん、どうか幸せになって……(涙)」とお祈りしながら鑑賞しました(心の中で)。発声OKの応援上映にも行ったのですが、安室透さんの登場シーンで劇場内のあちこちから言葉にならない歓声が上がっていたことや、ほかの観客の皆さんと主題歌を合唱したことも素敵な思い出になりました。2024年の映画も今から本当に楽しみにしています!(映画.com編集部 K.S)
世界中の警察が持つ防犯カメラをつなぐ海洋施設「パシフィック・ブイ」が東京・八丈島近海に建設され、本格稼働に向けて世界各国のエンジニアが集結。顔認証システムを応用した、ある新技術のテストが行われていた。一方、コナンたち少年探偵団は、園子の招待で八丈島にホエールウォッチングに来ていた。するとコナンのもとへ沖矢昴(赤井秀一)から、ユーロポールの職員が、ドイツで黒づくめの組織のジンに殺害されたという知らせが入る。不穏に思ったコナンはパシフィック・ブイに潜入するが、そこでひとりの女性エンジニアが黒ずくめの組織に誘拐される事件が発生。そして、八丈島に宿泊していた灰原のもとにも黒い影が忍び寄る。
【他にはこんな“最推し映画”も!】 ※2024年1月9日追記
1作目も大好きでしたが、2作目は遙かにスケールアップしていて感動しました。俳優も豪華、エリアも拡大、ロケットも打ち上がる。あと2~3本作って欲しいってマジで思います。(映画.com編集長 駒井尚文)
思わぬハプニング、車窓から移りゆく景色、一期一会の出会い、自分とは異なる文化や人を理解すること……旅好きな人は必見の一作です。レトロな雰囲気の映像と音楽も心地よい。(映画.com編集部 M.K)
情熱を持つこと、権力を持つこと、率直であること、俗世的であること。ありふれたことの掛け合わせで人は破滅する。才能あふれる裸の王様が迎える結末に考えさせられます。(映画.com SNS担当 I.S)
バービー で遊んだことなかったけれど、ピンクの世界が子ども心に戻してくれる。それなのに、そこに込められたメッセージは大人になった私たちが未来を歩くために必要なものばかり。(映画.com SNS担当 エビタニ)
同じ時間を繰り返していくだけなのに物語はドンドン進んでいく感じが面白い。今回もひねりのきいたアイデアを上手に映像化したヨーロッパ企画。次回作が楽しみ。(映画.comスタッフ A.Y)
岩井俊二 監督の新作が公開と聞き速攻で鑑賞。
アイナ・ジ・エンド の歌唱力も魅力。ラストの野外フェスシーンは、実際のライブ以上にリアリティがある映像となっている為、必見です。(映画.com SNS担当 おにぎり)
当時の情勢が主人公の金子さんにもっと味方をしていたら、日本のインターネット業界はもっと発展していたと思う。IT企業に勤務している方には是非観ていただきたいです。(映画.comスタッフ A.R)
イム・シワン の狂気っぷりが最高。非常事態におかれた人間の本質をいやおうなしに見せつけられてしんどくなるけど、一方で誰でも共感してしまう。(映画.comスタッフ T.Y)
役所広司 さんの染み入る演技に脱帽。1日が終わり、眠りにつく瞬間のその日の記憶、その線は明日のどこに繋がるのか。小さい変化が訪れる毎日が愛おしくなる作品です。(映画.comスタッフ M)
映画オタクがハリウッドの中心で映画愛を叫んだ映画。素晴らしい音楽と多用される長回しに痺れた!ただしすごく下品なのでおすすめする人を選ぶ作品。そんなところも好き。(映画.com SNS担当 S.A)