【おすすめの“昔の映画”】今、見てほしい不朽の名作を編集部が独断と偏見でセレクト!
2020年3月28日 11:00
こんにちは。映画.com編集部です。
自宅での映画鑑賞の際、「配信やDVDなどで映画を見たいけど、どの作品を見たらいいかよくわからない」「不朽の名作とか観たいけど、どれがいいかな」と悩んでいる人も、多いのではないでしょうか。そこで今回、映画.com編集部のメンバーに「おすすめの昔の映画」を挙げてもらいました!
編集部の面々が独断と偏見でセレクトした、“シンプルに好きな昔の映画”(今回は便宜上、20年以上前の作品に限定)をご紹介します。
往年の名作もあれば、平成のアクション大作、昭和の快作などバラエティ豊かなラインナップ。次はどんな映画を、お家で見よう? そんな人は、ぜひ参考にしてみてください!
なお各作品紹介の下には、Amazon Prime Videoの各作品へのリンクを置いておきますので、気になる作品をスムーズに鑑賞することができます。ぜひご活用くださいませ。
沼地から突き出る下半身。所在なさげに少し折れ曲がり、硬直した2本の足。あまりにも有名なシーンだ。名探偵・金田一耕肋が、大富豪・犬神佐兵衛の邸宅で起こる怪奇な連続殺人に挑む。
石坂浩二(当然だけど若い!)演じる金田一の奇人変人ぶり、奇妙な殺人トリック、コールタールのようにドロッドロの相続争いも魅力たっぷりだが、何よりもその映像美が忘れがたい。市川崑監督の映像センスは脳にダイレクトアタックをしかけてくるようだ。何度も実写化されているが、76年版が原点にして頂点。不朽の146分間を堪能してほしい。テーマ曲「愛のバラード」の怪しさも非常に好き。この時代特有の感傷がこもっているような気がして、時折り、無性に聞きたくなる。
かつては恋のエッセンスだった“すれ違い”も、スマホが普及したことで、現実では滅多に体験できない時代に。そんな今だからこそ、名作でその醍醐味を堪能してほしい。豪華客船で出会った男女が恋に落ち、半年後にエンパイア・ステートビルの展望台で再会を約束するも、運命のいたずらですれ違ってしまう。
ラスト、ヒロインが約束の場所に行けなかった理由を涙ながらに語るのだが、その台詞があまりにもドラマチックで、いつまでも心に残る。元となった39年製作の「邂逅」をはじめ、リメイク、オマージュ作品が数多くあるなか、個人的には本作がキャスト、セリフ、演出すべてにおいて洗練されていて、何度も繰り返し見たくなる。
昔の我が家には、テレビで「トゥルーライズ」が放送される際は全員で鑑賞するという謎のルールがあった。シュワちゃん大好きな父の口癖は「スリル・サスペンス・アクション。面白い映画にはこの3つが入っているんだよ」。妻と娘に正体を隠し、凄腕の秘密諜報部員という二重生活を送る主人公の活躍を描く本作は、父の言う“面白い映画“の条件を全部満たしていた。
何度も見ているのに、ジェイミー・リー・カーティスのダサすぎるダンスシーンは絶対に笑ってしまうし、ジェームズ・キャメロン&シュワちゃんの黄金タッグによる大味アクションは爽快。字幕版もいいけれど、“あの時代”を思い出させてくれる吹き替え版がおすすめ。
「それはド級のB級映画だろ!」という御意見も聞こえてきますが、極私的名作です。お馴染みのBGMから始まり、観客が誘われるのは、愛らしい“マリオの世界”――ではなく「ブレードランナー」のようなゴリゴリのサイバーパンクワールド。“リアル恐竜”なクッパ(=まさかのデニス・ホッパー!)&ヨッシー、人間を魔改造した敵キャラ、スーパージャンプを可能にするブーツ等々、「こんなのマリオじゃない!」と笑い&ツッコミが捗る要素が満載。
ですが、物語のテンポ感&ノリの良い音楽は◎ですし、尺はさっくりと見れる104分。塞ぎ込みがちな今だからこそ、大声で笑ってツッコミましょう。自宅鑑賞であれば、周囲の目を気にしなくてOKなんですから。一服の清涼剤となりますが、私のように“時折無性に見たくなる”という中毒性にはご注意を。
映画を愛する女性が、スクリーンから出てきた人物と恋に落ちる……。男と女の物語を繰り返し紡いできたウッディ・アレン監督作品の中でも、映画愛にあふれ、ファンタジックでありながらもビターな後味を残す物語。甲斐性なしの夫と貧しい生活を送る主人公セシリア(ミア・ファロー)が映画館で映画を見ていると、驚くべきことに、主役のトム・バクスターがスクリーンを飛び出し目の前に現れる。
やがてトムを演じた俳優ギルも現れ、セシリアは奇妙な三角関係に巻き込まれていく。現実世界と映画内世界で起こるそれぞれの騒動やセシリア&トムの価値観の違いがコミカルに描かれている。今いる現実か、どんな夢も叶うスクリーンの世界か――。フレッド・アステアの「チーク・トゥ・チーク」が優しく包みこむセシリアの決断とラストの表情に、涙が止まらない。
現在の日本映画界であれば、巨匠・深作欣二であっても製作にゴーサインは出ないだろう。北海道で大量の火薬を使った爆破&銃撃シーンを敢行、撮影用に借りた何十台ものパトカーを破壊したため全車輛を買い取る羽目になるなど、最終的に3億円以上の赤字を出している。だからこそと言うべきか、抜群に面白い。
現金5000万円を強奪後に仲間割れした男女たちの血みどろの死闘を描くにあたり、萩原健一さん、木村一八、荻野目慶子、千葉真一、石橋蓮司、原田芳雄さんらがキャスティングされた。鬼籍に入った名優や現在も活躍を続けるベテランたちの若き日の勇姿は必見。また、エキストラとして参加した19歳の少女の運命も変えた。劇中でミュージシャンとして出演していた恩田快人と知り合い、後に「JUDY AND MARY」を結成することになるYUKIである。
リチャード・リンクレイター監督が18年間にわたって描いた名3部作の1作目。列車のなかで意気投合した男女がウィーンで途中下車し、夜が明けるまでの14時間を一緒に過ごす様子を描いた会話劇。登場人物はほぼこのカップルだけなので、徐々に距離が縮まっていくふたりの胸の高鳴りがダイレクトに伝わり、“恋に落ちる”瞬間を体感できる。
イーサン・ホーク演じるアメリカ人青年ジェシーが、ジュリー・デルピー扮するフランス人女性セリーヌに翻弄される姿がとにかく可愛い。立ち寄ったレコード店で聴いた曲の歌詞がセクシーで目が泳いでしまったり、甘いセリフで口説こうとしたのに「私にキスしたいの?」とド直球に返されてしまったり。大人になりきる前の、“自分より一枚上手な女の子にときめく男の子”なホークは一見の価値あり。
コロナ関連のニュースで気が滅入るので、自宅でライトな昭和の旧作を。弱者の味方「トラック野郎」シリーズの鈴木則文監督による徹底的に明るくおバカなお色気もの(R18+)。主演の杉本美樹さんの美貌はもちろん、絶妙なライティングが相まったヌードは神々しい美しさ。スケベオヤジ達の下心を手玉に取り(そちら目当てで鑑賞しても眼福100パーセント保証)、戦後を逞しく生きた女性達への賛歌と反戦メッセージが込められた快作。
着物女性×バイクはルパン峰不二子の元ネタ、マリアンヌ・フェイスフルが超絶可愛い「あの胸にもういちど」(68)へのオマージュでしょうか、病院でのシーンは最近松尾スズキ監督作「108 海馬五郎の復讐と冒険」でブラッシュアップされていた。荒木一郎作曲、衝撃の主題歌のスチールギターがたまらない。時節柄、同じく鈴木監督の「徳川セックス禁止令 色情大名」も紹介したいが、こちらの見どころはまたいつかゆっくりお話します。
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父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
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