カンヌラインナップ発表 コンペに河瀬直美「光」、ある視点部門に黒沢清「散歩する侵略者」、アウトオブコンペに三池崇史「無限の住人」
2017年4月13日 23:31
[映画.com ニュース] 第70回を迎える今年のカンヌ国際映画祭の、公式部門のセレクションが4月13日(現地時間)発表になった。日本からは、下馬評通りコンペに河瀬直美の「光」、ある視点部門に黒沢清の「散歩する侵略者」、そしてアウトオブコンペに三池崇史の「無限の住人」が入選。カンヌ常連の参加となった。
オープニングには、マリオン・コティヤールとシャルロット・ゲンズブール共演のアルノー・デプレシャンの「Les Fantomes d’Ismael」が決定。他に噂のあったクリストファー・ノーランの「ダンケルク」は完成が間に合わず、リュック・ベッソンの「Valerian et la cite des mille planetes」はどの部門にも見当たらず、ミシェル・アザナビシウスがゴダールの「中国女」の時代をテーマにした「Le Redoutable」はコンペティションに入った。
現状18本揃ったコンペはアメリカからソフィア・コッポラ、トッド・ヘインズ、ノア・バームバックの3名、アジアは河瀬監督の他に、昨年カンヌで撮影をおこなったホン・サンスとポン・ジュノ、フランス勢はもっとも多く、アザナビシウスに加えジャック・ドワイヨン、フランソワ・オゾン、ロバン・カンピロの4名、ミヒャエル・ハネケ、ヨルゴス・ランティモス、ファティ・アキンらが並ぶ。
むしろ若手育成はある視点部門に任され、こちらは初監督作品が7本並ぶ。他には「父の秘密」で過去に同部門グランプリに輝いたマイケル・フランコ、ローラン・カンテ、セルジオ・カステリートら。そしてオープニングのマチュー・アマルリック監督作を加えて16本となっている。アウトオブコンペは三池監督の他にジョン・キャメロン・ミッチェルのSFコメディ、アニエス・バルダが現代アーティストJRとコラボレーションしたドキュメンタリーの計3本。またスペシャル・スクリーニング部門でホン・サンスのもう一本の新作が入っている他、レイモン・ドパルドン、クロード・ランズマン、バネッサ・レッドグレーブ監督の各ドキュメンタリーなど、こちらはノンフィクションが目立つ。
70周年の今年はさらに特別イベント枠ももうけられた。アッバス・キアロスタミの遺作「24 Frames」、クリステン・スチュワート監督作「Come Swim」、そしてジェーン・カンピオン(「Top of the Lake:China Girl」)とデビッド・リンチ(前作から26年後を描く新ツイン・ピークスシリーズの2エピソード)の2本のテレビシリーズが70周年のアニバーサリーとして披露される予定で、話題性は満載だ。
全体の印象を挙げるなら、今年は激戦と言われていただけにさすがは世界的な監督が多く、豊作が期待される。またフィクション、ドキュメンタリーを通して移民のテーマをはじめ政治的、社会的なカラーの作品が多い。フランスでは映画祭開催直前に次期大統領選がおこなわれるが、映画祭の内容もこれまで以上に時勢を反映したものになりそうだ。映画祭は5月17日から12日間にわたって開催される。(佐藤久理子)
ファティ・アキン「In the Fade」
ノア・バームバック「The Meyerowitz Stories」
ポン・ジュノ「Okja」
ロバン・カンピロ「120 Battements par minute」
ソフィア・コッポラ「The Beguiled」
ジャック・ドワイヨン「Rodin」
ミヒャエル・ハネケ「Happy End」
トッド・ヘインズ「ワンダーストラック(原題)」
ミシェル・アザナビシウス「Redoubtable」
ホン・サンス「The Day After」
河瀬直美「光」
ヨルゴス・ランティモス「The Killing of a Sacred Deer」
セルゲイ・ロスニツァ「A Gentle Creature」
コーネル・ムンドルッツォ「Jupiter's Moon」
フランソワ・オゾン「L'Amant double」
リン・ラムゼイ「You Were Never Really Here」
ベニー&ジョシュア・サフディ「Good Time」
アンドレイ・ズビャギンツェフ「Loveless」
アナリタ・ザンブラノ「After The War」
テイラー・シェリダン「Wind River」
レオノール・セライユ「Jeune Femme」
カリム・ムサウイ「The Nature Of Time」
黒沢清「散歩する侵略者」
モハマド・ラスーロフ「Dregs」
ステファン・コマンダレフ「Directions」
ギヨルギー・クリストフ「Out」
ワルスカ・グリズバック「Western」
セルジオ・カステリート「Lucky」
マイケル・フランコ「April's Daughter」
ローラン・カンテ「L'Atelier」
カンテミール・バラゴ「Closeness」
カオテール・ベン・ハニア「Beauty and the Dogs」
セシリア・アタン、バレリア・ピバト「La Fiancee du desert」
マチュー・アマルリック「Barbara」
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