「舟を編む」石井裕也監督&松田龍平、大賞受賞に「喜びをかみしめている」
2014年2月13日 20:20
[映画.com ニュース] 第68回毎日映画コンクールの表彰式が2月13日、神奈川・ミューザ川崎シンフォニーホールで開催され、最高賞である日本映画大賞に輝いた「舟を編む」の石井裕也監督と男優主演賞の松田龍平をはじめ、日本映画優秀賞「ペコロスの母に会いに行く」の森崎東監督と女優主演賞の赤木春恵、男優助演賞のピエール瀧、女優助演賞の吉高由里子ら受賞者が一堂に会した。
第87回キネマ旬報ベスト・テン主演男優賞など、同役で数々の賞を受賞している松田は、「なかなか自分が出ている作品を客観的に見られないので、こうして賞をもらって見てくれた方々の反応を知り、喜びをかみしめている。15年という辞書を作る作業は想像を絶するものだけど、新しい言葉を見つけていくというのは生まれた頃から誰しもがしていることだと思いながら役を演じた」と述懐。石井監督も、「このような素晴らしい賞をいただき光栄。素晴らしいキャストとスタッフの力だと思う。うれしい気持ちもあるけれど、もっと頑張らなければという気持ち」と気を引き締めた。
沖田修一監督作「横道世之介」での好演が評価を集めた吉高は、「こんなに人から愛される映画に携われてうれしい。例えば私が今日か明日に死んじゃっても、作品は自分より長生きする。たまに不気味な仕事をしているなと思う(笑)。それでも自分の一生よりも長生きしてくれる、過保護に愛せた作品」と新たな代表作に愛情を注ぎ込んだ。
「ペコロスの母に会いに行く」で認知症の役柄を自然体の芝居で見せた89歳の赤木は、「こんなうれしいことは2度とない。細やかな残り少ない人生の中で素晴らしい思い出になった」と万感の面持ち。森崎監督も、「ひと言をと言われると思っていたけれど、言えない。夢かとも思えるけど、夢ではないよう。ひと言は言えません」と感極まって言葉を詰まらせた。
「かぐや姫の物語」でアニメーション映画賞を受賞した高畑勲監督は、「長い間アニメーションを作ってきて、これほどスタッフに感謝したいと思ったことはない。この作品を作れたこと自体が私の喜び。図々しいが、いただいて当然(笑)」と胸を張った。TSUTAYA映画ファン賞日本映画部門に選ばれた宮崎駿監督最後の作品「風立ちぬ」の鈴木敏夫プロデューサーは、「流行作家を貫いた宮崎にとって、ファン投票で選ばれたことは本人も喜んでいると思う」と“代弁”した。
そして、外国映画ベストワン賞に輝いた「愛、アムール」のミヒャエル・ハネケ監督からは、「2人の愛の物語が、言語や国境を越えて皆様に届いたことはうれしい」と喜びの手紙が寄せられた。