楓 : 特集
【“今年最大級”に切なく、驚き、そして涙が流れた】
双子の弟が、事故で亡くなった。僕は、弟の恋人のため
に“弟のフリ”をした――“私の推し”年末年始映画は本作
【界隈で話題沸騰中の「楓」を編集部が徹底レビュー】

その作品タイトルは、
物語を追いかけていくうちに、切なさと尊さで胸が埋め尽くされていき、

行定勲監督(「世界の中心で、愛をさけぶ」)の手によって、
なぜ、こんなにも忘れられない映画体験になったのか――? レビューのなかで、本作が
筆者紹介:ドーナッツかじり(映画.com)

●【どうして、こんなに泣けるのか…】
僕は、弟のフリをした。君に笑っていてほしくて――大切な人を失ったふたりが、それでも前に進もうとする物語が切なすぎる、涙がとめどなくあふれた。

まずは、
ニュージーランドの不慮の事故で双子の弟・恵を失った涼(福士/一人二役)。恵の恋人・亜子(福原)は事故の混乱で、目の前に現れた涼を恵だと思い込んでしまう。
しかし、亜子から突然の告白とともに別れを告げられる。

繊細な映像美で紡がれる、喪失と再生の物語。それぞれが抱える
序盤から感情のさざ波が寄せては返す。
こうして書いているだけでも、また涙が込み上げてくる。シーンの数々が、想いの優しさが、今もまだ胸に流れ込んでくる。
●【なぜこんなに“上質”なのか?】
監督は「世界の中心で、愛をさけぶ」行定勲監督、時代をつくる新たな“名作”を創出! そして福士蒼汰&福原遥らキャスト陣の熱演に、どうしようもなく心奪われる

「楓」は、ポップに楽しめる軽めのラブストーリーではなく、
それもそのはず、メガホンをとったのは「世界の中心で、愛をさけぶ」「劇場」などで知られる
この強力なタッグによって、

例えば、事故後の後遺症で亜子の視界に表れる「複視(ひとつのものがふたつに見える現象)」。これは単なる悲劇的な設定ではなく、ひとりでふたりの人生を同時に生きる涼の境遇や、亜子の心情を視覚的に象徴するメタファーになっています。
ゆえに、亜子が“ふたつの像に手を伸ばす”姿が、
本作がこれほどまでに“良質”だと感じる理由は、こうしたセリフや表面的な芝居だけに頼らない、

そうした“緻密に構築された世界観”のなかで、

物語のレイヤーを読み解く快感と、心を鷲掴みにされるような俳優陣の芝居、そして美しく鮮やかなシーンの数々。なんでもないシーンのはずなのに、ハッと“想い”に気がつき、涙腺が崩壊する瞬間のなんと多いことか――
●【なぜこんなに“驚き”があるのか?】
高校時代の写真、約束した惑星探しと望遠鏡、亜子が不安になると呟く言葉…脚本にちりばめられた“感情の伏線”が見事! 鑑賞後、語りたくてたまらなくなる!!

ここまでで、本作が上質な物語であることは伝わったかと思いますが、もう一点、どうしても強く訴えたい魅力があります。
それは、本作が単純な物語の枠に収まらない、

これからご鑑賞される方のために、
劇中では、センチメンタルなアイテムやモチーフが数多く登場します。高校時代の写真、かつて約束した彗星探し、望遠鏡、そして亜子が繰り返す「バターが溶けて、流れ込んでいく」という意味深な言葉……。実はこれら全てが、単なる演出ではなく、

終盤のカタルシスはまさに圧巻。点と点が繋がり、予想もしなかった真実が浮かび上がった瞬間――筆者は
季節がめぐるなかで、楓の葉の色が移り変わっていくように、大切な人を失っても、喪失感を断ち切れなくても、
真実や秘密を知っていくほど、同じシーンや言葉から違う印象を受け取るため、鑑賞後に誰かと語りたくなります。
●【感動、共感、驚き、そして最後に“さらなる珠玉の体験”】
名曲「楓」の破壊力! 切なくて、幸せな、“特別な気持ち”にさせてくれた…だから本作は、私の“今年ベスト級”の一本になった。

最後にお伝えしたいのは、
映画館の大スクリーン&上質な音響に包まれながら、耳を傾けてみてください。劇中の大切なシーンで

そしてエンドクレジットで流れる
劇場に向かう道すがら、私は「楓」を聞いていました。しかし、本作の「楓」は

もともと好きな曲でしたが、本作で聞く「楓」は
「First Love 初恋」「366日」などに続く、






