凶悪

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劇場公開日:2013年9月21日

凶悪

解説・あらすじ

死刑囚の告発をもとに、雑誌ジャーナリストが未解決の殺人事件を暴いていく過程をつづったベストセラーノンフィクション「凶悪 ある死刑囚の告発」(新潮45編集部編)を映画化。取材のため東京拘置所でヤクザの死刑囚・須藤と面会した雑誌ジャーナリストの藤井は、須藤が死刑判決を受けた事件のほかに、3つの殺人に関与しており、そのすべてに「先生」と呼ばれる首謀者がいるという告白を受ける。須藤は「先生」がのうのうと生きていることが許せず、藤井に「先生」の存在を記事にして世に暴くよう依頼。藤井が調査を進めると、やがて恐るべき凶悪事件の真相が明らかになっていく。ジャーナリストとしての使命感と狂気の間で揺れ動く藤井役を山田孝之、死刑囚・須藤をピエール瀧が演じ、「先生」役でリリー・フランキーが初の悪役に挑む。故・若松孝二監督に師事した白石和彌がメガホンをとった。

2013年製作/128分/R15+/日本
配給:日活
劇場公開日:2013年9月21日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第37回 日本アカデミー賞(2014年)

受賞

優秀作品賞  
優秀監督賞 白石和彌
優秀脚本賞 高橋泉 白石和彌
優秀助演男優賞 ピエール瀧
優秀助演男優賞 リリー・フランキー
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(C)2013「凶悪」製作委員会

映画レビュー

1.5 「凶悪」とはなんぞや?

2014年5月25日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

ネタバレ! クリックして本文を読む
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共感した! 6件)
しんざん

3.5 こういう根からおかしい奴っている

2014年5月24日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

興奮

知的

こういう根からおかしい奴って存在するが、そういうやつって
基準が異なるから「まさか悪いことと思わない」んだな。
まあしかし「須藤」も「先生」もどこまでも利己的でご都合主義なんだな。おぞましいわ。
こんなやつはいること、まともに対峙してはダメなことを再認識した。

「主人公もこれはこれで凶悪だ」と言いたいみたいだが、明らかに次元が異なるよ。

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共感した! 3件)
momokichi

4.0 【81.9】凶悪 映画レビュー

2026年5月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

映画『凶悪』は、2000年代以降の日本映画における実録犯罪映画の重要な一例である。実際に起きた「上申書殺人事件」を基にした原作を、徹底したリアリズムと冷徹なカメラワークで映像化した本作は、単なる猟奇事件の再現にとどまらず、人間の心に潜む「悪の連鎖」を淡々と描こうとする意欲を示している。しかし、物語の終盤でジャーナリズムの自己批判へと着地する場面はやや説明的で、これまで積み上げてきた映像的説得力に比べると観客に解釈の余地を残す余裕が少ない点が気になる。
脚本は三つの視点を交差させる構成で力強さを持つ。死刑囚の告発、記者の執念、首謀者の冷酷さが時間軸を行き来しながら紐解かれていく手つきは緻密だ。だが、この構造が必ずしもすべてのパートで均衡しているわけではなく、記者パートでは動機付けや倫理的距離のとり方が曖昧になり、主人公の変化がやや説明に頼る場面が生じる。また、暴力描写の反復が感覚的に鈍化を招く危うさもある。
白石和彌の演出は、若松孝二の影響を汲みつつ独自の鋭さを持っている。乾いた画面は事件の生臭さを伝え、地方都市の閉塞感やプレハブ小屋のディテールが犯罪の卑俗さを際立たせる。編集のテンポと暴力描写の対比は観客を揺さぶるが、終盤の着地の仕方などに改善の余地も残る。音楽面では安川午朗の不穏な劇伴が効果を発揮し、静かな低音が作品の不条理さを増幅している。
俳優陣の中では、リリー・フランキーとピエール瀧の働きが特に印象的だ。
リリー・フランキーが演じる木村孝雄(「先生」)は、一見温厚で近所からも慕われる好人物だが、正体は他者の命を「不要品」のように扱う純粋なサイコパスだ。彼のすごさは、笑顔の瞬間に目の奥から感情が消えるように無感情に切り替わり、平然と殺人を指示する滑らかさにある。悪意を前面に出さず、「自然な人間像」に悪の核心を隠すことで、かえって背筋が凍る実在感を画面に埋め込んでいる。
ピエール瀧が演じる死刑囚・須藤純次は、粗々しくて短気なヤクザ像でありながら、どこか人間的な甘えや奇妙な義理堅さを併せ持ち、そのアンバランスさが「実際にありそう」という実在感を与える。理性のタガが外れた瞬間の暴力性の予測不能さ、怒りの瞬間の呼吸や目線の揺れ、筋肉の緊張まで含めて役を身体的に体現しており、特に感情の切替や突然の威嚇時の体の使い方が画面全体に強烈な張りを生む。これまで「クリーンなイメージ」で知られていた彼が、この役で完全にイメージを破壊し、むしろ「理不尽な暴力の中心」として視覚的に輝いている点は記憶に残るパフォーマンスだ。
一方、藤井修一を演じた山田孝之は、抑圧された感情から執着へと傾く男の変化を一定の説得力で示すが、後半の暴走ぶりがやや説明に頼る場面があり、完全的な変貌という点では aurature に残る。藤井の妻・洋子を演じた池脇千鶴は物語のリアリティを支える重要な軸であり、木村に利用され命を奪われる老人・牛場を演じた吉村実子は、作品に歴史的な厚みを与えている。
受賞歴は本作の評価を裏付けている。第37回日本アカデミー賞では優秀作品賞・監督賞・脚本賞に加え、リリー・フランキーが優秀助演男優賞を受賞。キネマ旬報ベスト・テンでは日本映画第3位、リリーが助演男優賞、白石和彌が新人監督賞。ブルーリボン賞ではピエール瀧が助演男優賞、日刊スポーツ映画大賞でもリリーが助演男優賞を受賞など、俳優陣の仕事は広く認められた。ただし、受賞がそのまま普遍的な完成度を意味するわけではなく、観客によっては暴力描写や倫理的扱いに対する評価に差が出るだろう。
総じて言えば、『凶悪』は高い完成度と鋭い視点を持つ力作である一方、構成の均衡や終盤の着地、暴力表現の扱いに改善の余地がある。社会の闇をえぐる意欲的な試みとして評価できるが、現代日本映画の頂点と断じるにはやや余白が残る──そう感じさせる一作である。
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【最終表記】
作品[凶悪]
主演
評価対象: 山田孝之
適用評価記号と点: B8
助演
評価対象: リリー・フランキー、ピエール瀧
適用評価記号と点: S10
脚本・ストーリー
評価対象: 高橋洋
適用評価記号と点: B+7.5
撮影・映像
評価対象: 高羽哲夫
適用評価記号と点: A9
美術・衣装
評価対象: 原田哲夫
適用評価記号と点: A9
音楽
評価対象: 安川午朗
適用評価記号と点: A9
編集(加点減点)
評価対象: 笠井義之
適用評価点: +1
監督(最終評価)
評価対象: 白石和彌
総合スコア:[81.9]

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honey