【日プロ大賞】主演男優賞・井浦新、故若松孝二監督に改めて感謝「思いに報いることができた」
2013年6月16日 00:24
[映画.com ニュース] 映画ジャーナリスト・大高宏雄氏が主宰する「第22回日本映画プロフェッショナル大賞」の授賞式が6月15日、東京・テアトル新宿で行われ、主演男優賞を受賞した井浦新、主演女優賞を受賞した前田敦子、作品賞を受賞した入江悠監督らが出席した。
1991年にスタートし今年で22回目を迎えた同映画賞は、財団やNPOではない一個人が主宰する世界唯一の映画賞として知られ、大高氏に賛同する映画のプロフェッショナルたちが選考委員を務め、“ベストテン”と“個人賞”を選出する。大高氏は、「日本の映画賞の大トリを担う役割と勝手に思っている。規制の映画賞に対し、それだけじゃないよという映画賞。一過性ではなく、記憶に残る映画を選考してお届けする」と宣言した。
故若松孝二監督作「11・25 自決の日 三島由紀夫と若者たち」「かぞくのくに」での熱演が評価された井浦には、若松監督作「キャタピラー」で主演を務めた大西信満が花束を贈呈に駆けつけた。井浦は、「とても思い入れのある2つの作品。役柄も作品もとても困難で向き合いがいのある作品だった。若松監督が三島で新に主演男優賞を取らせたいと常々おしゃっていたので、若松監督の縁のある賞でその思いに報いることができたと心からうれしく思う」と胸を張った。また、同じく同作で監督賞を受賞した故若松監督に代わり、「映画の火を消さないように、映画人が一丸となって活動していかなければならない。今こそ若松監督の功績を見直すべきだと思う。この場所は、何度も若松監督の作品と一緒に訪れさせてもらった聖地。若松監督おめでとうございました」と熱い言葉を寄せ、若松監督のトレードマークだった赤いマフラーで監督賞を受け取った。
「苦役列車」での好演が評価された前田は、「映画人に愛される賞をいただき本当にうれしい。まだまだ卵な私ですが、これからも胸を張って『映画が好き』と言えるようにいたい」と決意を新たにした。「AKB48」卒業後、初となる札幌ドーム公演への参加についても、「すごく楽しみです」と笑顔を見せた。「SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者」で作品賞を受賞した入江監督には、駆けつけた「SR」のキャスト陣がラップで祝福。入江監督は、「プロフェッショナル大賞と聞き、自主出身の僕には一番遠いなと思っていたけど、ここにいるのはみんなインディペンデントの方たち」と“戦友感”を感じていた。
「Playback」で企画・主演を務めた村上淳が新人監督賞を受賞した三宅唱監督の代理で登壇し、「プロとは生きているものをいかに丁寧に扱えるか。これからも“生きの良い”映画、いつまでもフレッシュな映画を作れるよう精進したい」と三宅監督からの手紙を代読。「おだやかな日常」で新進プロデューサー賞を受賞した杉野希妃は、「スタッフみんなで苦労して作った作品なので個人賞をもらうのは心苦しい。持って帰って喜びを分かち合いたい」と語った。
主演男優賞:井浦新(「11・25 自決の日 三島由紀夫と若者たち」「かぞくのくに」)
主演女優賞:前田敦子(「苦役列車」)
監督賞:故若松孝二さん(「11・25 自決の日 三島由紀夫と若者たち」「海燕ホテル・ブルー」)
新人監督賞:三宅唱(「Playback」)
新進プロデューサー賞:杉野希妃(「おだやかな日常」)
特別賞:大谷直子(「希望の国」)
特別賞:銀座シネパトス元支配人・鈴木伸英氏
1位:「SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者」
2位:「アウトレイジ ビヨンド」
3位:「愛と誠」
4位:「おだやかな日常」
5位:「ライク・サムワン・イン・ラブ」
6位:「ヒミズ」
7位:「黄金を抱いて翔べ」
8位:「11・25 自決の日 三島由紀夫と若者たち」
9位:「この空の花 長岡花火物語」
10位:「おおかみこどもの雨と雪」
フォトギャラリー
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。