キャタピラー
劇場公開日:2010年8月14日
解説
第2次世界大戦中の日本。シゲ子の夫・久蔵にも赤紙が届き、勇ましく戦場へと向かったが、戦争から戻った久蔵の顔は無残にも焼けただれ、四肢を失っていた。村中から奇異の目で見られながらも、多くの勲章を得た久蔵は「生ける軍神」として崇められ、シゲ子は戸惑いながらも久蔵の尽きることのない食欲と性欲を埋めていく。やがて日本に敗戦の影が色濃く迫り、久蔵は自ら戦場で犯した悪行に苦しみ始める。第60回ベルリン国際映画祭で、寺島しのぶが最優秀女優賞を受賞した。
2010年製作/84分/R15+/日本
配給:若松プロダクション、スコーレ
スタッフ・キャスト
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2022年11月27日
iPhoneアプリから投稿
雑に思う。ラストの戦争を集めてなんでもかんでも乗っけて、元ちとせの歌に投げてしまって始末に負えない。作りのチープさは我慢できるが、原爆の話に着地するような話か?
やたらと濡れ場シーンが多いが、悪趣味に思えるほどの数である。ここまで描くのならば、もう少し変化があっても良さそうだし、性欲、特に女性を描けているように思えなかった。
2021年9月13日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
ー 故、若松監督は今作を製作するにあたり、どの様なメッセージを伝えようと思ったのだろうか。反戦映画のようにも見えるし、その要素もあったかはと思うが、私は人間の根源的な欲求の奥深さと愚かさを描いた作品ではないかと思った。ー
◆感想
<今作の着想の一つに、江戸川乱歩の”芋虫”がある事を知っている上で記す。>
・村の期待を担って戦地に赴いた黒川久蔵(大西信満:若松組の常連とは言え、良くこの役を受けたものだと思う。)は、中国に赴き、彼の地の女性に非道なる行為をするシーンが冒頭に描かれる。
そして、その因果応報により、四肢と言葉を失い、顔にはケロイドを負った人間とは思えない姿で久蔵は村に戻る。”軍神様”という称号と、”3つの勲章”を持って・・。
ー 妻のシゲ子(寺島しのぶ)の最初の驚愕の反応。
だが、徐々に何もできない久蔵に対し、サディスティックと言っても良い接し方に移行して行く姿を演じる、寺島しのぶさんの冷徹な目と振る舞いが怖すぎる。
且つては、自分を虐げていた夫に対して、ジワリジワリと主導権を握って行く姿。ー
・シゲ子が、夫の根源的な欲求に、積極的に”ご褒美”と言いながら応える姿と、四肢を失った夫に軍服を着せ、見世物のようにリヤカーに乗せて村内を連れまわす姿。
ー 強烈すぎる、シゲ子の夫に対する復讐である。
”3つの勲章”を、割烹着につけて。
そして、昭和天皇、皇后の写真と軍神の記事と、勲章のアップが度々映し出される。ー
・敗戦を迎え、喜ぶ知能の足りないクマ(篠原勝之)と、シゲ子たち。
一方、久蔵は芋虫の様に這いながら、池に向かい水面に映ったケロイド状の自分の顔を見て・・。
<ラスト、敗戦一直線の旧日本帝國が壊滅していくシーンと、玉音放送。
戦犯たちが処刑されるシーン。
そして、流れる元ちとせの『死んだ女の子』
この曲は、広島の原爆で亡くなった子供達に捧げた坂本龍一プロデュースの苛烈な曲である。
この映画は反戦映画なのであろうか・・。
嫌、違うな。
この作品は愚かしき国と、その命に盲目的に従い、敵地の女性達に非道なる行為を行った男達に対しての、強烈すぎる因果応報を描いた映画である。
そして、その報いを受けてしまった無辜なる女性や子供達への鎮魂歌なのである。>
2020年10月17日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
個人評価:3.0
とても乱暴で差別的なタイトルと感じ、若松作品としては、それを上回るメッセージ性を感じられなかった。軍神とあの姿と実際の過去との対比。人間が神として扱われる戦時下の状況。軍神という歪なモノを描いていると感じる。