フレンチ・ラン : 特集
タイムリミット36時間の凸凹コンビが暴れすぎてパリ出禁!?
アクション・ファンなら必ず言うはず「こんな作品待ってた!」
“ド定番”なのに見たら“想像以上”──これぞ《掘り出しもの》
「パシフィック・リム」のイドリス・エルバと「ゲーム・オブ・スローンズ」のリチャード・マッデンが、CIAのアウトロー&天才スリというはみ出しコンビに扮したバディ・アクション「フレンチ・ラン」が、3月4日から全国順次公開される。王道ながらも新しい、アクション映画ファン必見作の見どころに迫る。
久しぶりにアクション映画ファンへ“鉄板ド定番”を紹介したい──
“どストレート”だが“予想外”な、17年型《バディ・アクション》誕生
アクション映画ファンなら、「こんな作品久しぶり! 待ってた!」と言わずにはいられない直球&王道にして、見てよかったと思わせてくれる痛快作。「フレンチ・ラン」こそ、「掘り出しもの」と呼ぶに相応しい1本だと言えるかもしれない。
命令無視は当たり前、己の勘を頼りに動くCIAエージェント(イドリス・エルバ)と、ラスベガスから流れ着いたお調子者の天才スリ(リチャード・マッデン)が、パリを舞台にテロ組織に挑む姿を描く本作は、ハリウッド・スタジオの重役らの人気投票によって製作前の脚本をランキングする、「ザ・ブラックリスト」に挙がっていたもの。スリリングでダイナミックなバディ・アクションの王道を踏まえつつも、鑑賞前のイメージを覆すトリッキーな展開も用意されている。期待や予想を超える作品に思いがけず出合う興奮が味わえる作品なのだ。
「期待や予想を超える作品」なら、「イコライザー」や「ジョン・ウィック」がその筆頭と言えるだろう。アクション映画の王道イメージから「ああ、きっとこんな話なんだろうな……」と考えがちだが、いざ中身を見てみると、予想以上のクオリティに「これはすごい!」という非常に「得」をしたような気持ちになる。「フレンチ・ラン」も同じ気分になれる作品だ。
「リーサル・ウェポン」シリーズを筆頭に、「48時間」「ミッドナイト・ラン」「ラッシュアワー」シリーズなどなど、映画ファンを興奮させてきたのがバディ・アクション。水と油の凸凹コンビが手を組むという王道テイストをしっかり踏襲しながらも、テロの恐怖という時代の空気感も注入。どこか懐かしいのにしっかり新しいという、本作独自のテイストが実現されている点が見逃せない。
マスコミ試写会で本作にいち早く触れている映画評論家、映画ライター陣も、鑑賞後には「こんな作品を待っていた」という熱い思いを口にしているという。アンケートによれば、満足度は実に92%(配給会社調べ)。「眠気がふっとんだ! 傑作!」「超痛快」「新しいバディの誕生だ! 早くパート2が見たい!!」など、高評価を寄せる感想が述べられているとのこと!
このふたり、パリ出禁──はみ出しCIAと天才スリの“バディ”がテロに挑む
本作には、アクション映画ファンの「大好物」が詰め込まれてる!
本作には、アクション映画ファンをときめかせる数々の要素が注入されている。「異国」「コンビ」「テロ」「だまし合い」「アクション」「タイムリミット」──6つの「大好物」が詰め込まれている作品を、見逃す手はない!
ジェイソン・ボーンや007、「ダ・ヴィンチ・コード」のラングドンもそうだが、異国の地を舞台にしたアクション映画独特の空気感、ライブ感は侮れない。本作は、ふたりのアメリカ人が、フランス・パリを縦横無尽に駆け回って大暴れする姿をダイナミックに描く作品。文化と芸術の街に「異物」が投入されてどんな化学反応が起こるのか。観客はドキドキしながら目撃することになる。
そのアメリカ人のふたりだが、ひとりは野性の勘を頼りに独自捜査を突き進むCIAのアウトロー。そしてもうひとりは、己の度胸とテクニックだけを頼りに、ラスベガスから流れ流れてパリに行き着いたという天才スリ。素性も性格も異なるふたりがコンビを組むのが、バディものの定番。掛け合いもおかしい、ぶっきらぼうで強面のCIAとお調子者のスリの即席コンビが、テロ事件捜査に挑むのだ。
はみ出し者コンビが謎を探るのが、パリを狙った爆破テロ事件。置き引きしたバッグが爆弾だったために、天才スリは濡れ衣を晴らすためにアウトローCIAと組むことになってしまうのだ。対するテロ組織は、爆弾テロをきっかけに、パリ制圧を狙う計画を徐々に進行させていく。政府に対して異議を唱えるデモをネットを使ってあおり立て、混乱も加速させるが……。
単純なバディ・アクションかと思いきや、そうはいかないのが本作の特筆すべきところ。CIAがテロ事件を追うという構図にはとどまらず、フランス警察もテロ事件捜査に介入することにより「三つどもえ」の攻防が繰り広げられることになる。テロ容疑のために、CIA&スリはフランス当局から追われることになり、見る者の予想を覆す衝撃の展開まで。わずか92分ながら充実の内容には、ただ驚くしかない。
描かれるアクションのリアルさと迫力も申し分なし。重量級の銃撃戦や格闘シーン、カー・アクションが用意されている。なかでも、スリとCIAが初めて顔を合わせるチェイス・シーンが出色。パリの古いアパートの屋上から屋根の上を、一歩間違えると十数メートル下に落下するスリルとともに、ハイスピードで駆け抜ける追跡劇が描かれるのだ。スタントマンを使わず、俳優たち本人が挑んだというだけに、その迫力に息をのむ。
サスペンス・アクションの緊張感とスリルを極限まで高めてくれるのが、「タイムリミット」設定。本作もご多分に漏れず、「パリ全土を制圧するテロの決行まで、あと36時間しかない」というスリリングな設定が設けられているのだ。限られた時間の中で、いかに無駄なく事件の本質、組織の黒幕に迫っていくのかが、時限設定が用意された作品の見どころ。CIAとスリ、前代未聞のコンビの疾走から目が離せない。
「パシフィック・リム」から「マンデラ」まで──“次のデンゼル”はコイツだ!
007候補にもなっているこの男=イドリス・エルバは信用できる!
「トレーニング デイ」「グローリー」で2度のアカデミー賞に輝く名優、デンゼル・ワシントン。「ザ・ハリケーン」や「フライト」など、シリアスなドラマで高い評価を受けながらも、「アンストッパブル」や「イコライザー」「マグニフィセント・セブン」など、アクション・エンターテインメント大作にも次々と出演。その活躍に魅了されてきた映画ファンも多いはずだ。
「ワシントンが出演していれば、この作品は面白いに違いない」と、映画ファンにとって信頼できるスターのひとりだが、その黒人俳優として唯一無二の存在を引き継ぐ注目株なのが、この「フレンチ・ラン」に主演しているイドリス・エルバなのだ。
「マンデラ 自由への長い道」で偉人ネルソン・マンデラを熱演し、ゴールデングローブ賞主演男優賞にノミネートされたほか、「ビースト・オブ・ノー・ネーション」でゴールデングローブ賞および英国アカデミー賞の助演男優賞ノミネートを受けたほどの実力派。だが、大ヒット・アクション「パシフィック・リム」のほか、マーベル作品の「マイティ・ソー」シリーズ、「スター・トレック BEYOND」にも出演し、作品に重みを加える圧倒的な存在感を放っている。
さらにエルバは、ダニエル・クレイグのあと、7代目ジェームズ・ボンド役として、トム・ヒドルストンらとともに候補にも挙がっている。映画ファンなら、“ポスト・デンゼル”として、72年イギリス・ロンドン生まれのこの男に要注目だ。