網走番外地 望郷編
劇場公開日:1965年10月31日
解説
伊藤一の原作を「続・網走番外地」の石井輝男が脚色・監督した“網走番外地”シリーズ第三作目。撮影は「可愛いあの娘」の稲田喜一。
1965年製作/88分/日本
配給:東映
劇場公開日:1965年10月31日
ストーリー
橘真一は、彼が服役中に死去した父の墓参も兼ねて久方ぶりに長崎に帰郷した。橘がまだ十七、八のころ、旭組の若い衆の一人であった橘は、組長旭のおとなしいのをいいことに、旭組の縄張りをもぎとろうと悪業の限りをつくす新興勢力安井に腹をたて、単身安井組になぐりこみ、安井を刺し大怪我をさせた。旭はそんな橘をかばい、そっと東京に逃がしてくれたのだ。橘にとって長崎は、そんなホロ苦い思い出のある町だったが、今も旭組は、横暴を極める安井組のために、仕事をとられ苦しい毎日が続いていた。そんな時に橘が帰ってきたのだ。今は中風を病んで力衰えた旭統一とその息子で、安井組に闇打ちされて負傷した猛、それに橘に想いをよせながら猛と結ばれたルミ子が、橘を喜び迎えた。そうしたある日旭組に、外国船の積荷を下ろす大掛りな仕事がまいこんだ。だが、この仕事は、短い時間内にやりとげねばならない難しい仕事だ。仕事を任された橘は、安井組の妨害で集らない人手を見越して、網走での仲間中田らを長崎に呼んだ。一方の安井組も、なんとかこの機に旭組を叩き潰そうと、用心棒に人斬り譲次をやとい、街の愚連隊に旭組の仕事を妨害させた。しかしこの譲次が、組を思う橘の男気にホレて身をひき、旭組の仕事は無事終了した。だが、なおもあきらめきれない安井は、旭組が積荷を下ろした倉庫を爆破して、網走の前科者たちに罪をきせようとした。このため中田は殺され、これを知ってかけつけた病身の旭は重傷を負い、旭の片腕ともいうべき田所は殺された。橘は、この事件を目撃していた混血の娘エミーから聞き、単身安井組になぐり込んだ。橘の怒りに燃えたすさまじい剣に、安井組は四散し、唯一人ふみどまって橘と相対した譲次も紅に染った。やっとのことで探しあてた母親のもとに帰る、エミーを見送る橘の顔は爽やかだった。