大友花恋の生涯ベスト映画、最近感銘を受けた作品は?【あの人が見た名作・傑作】
2022年12月10日 18:00
映画を見に行こうと思い立ったとき、動画配信サービスで作品を鑑賞しようとしたとき、何を見れば良いのか分からなかったり、選択肢が多すぎて迷ってしまうことは誰にでもあるはずです。
映画.comで展開する新企画「あの人が見た名作・傑作」は、そんな皆さんの映画選びの一助として、映画業界、ドラマ業界で活躍する著名人がおすすめする名作、傑作をご紹介するものです。第22回は、「散歩時間 その日を待ちながら」に出演する大友花恋さんです。
2012年、TVドラマ「結婚同窓会 SEASIDE LOVE」で女優としてデビュー。翌13年には、ティーンファッション誌「Seventeen」のオーディション「ミスセブンティーン2013」でグランプリを受賞し、同誌の専属モデルとしての活動もスタート。12年の「悪夢ちゃん」を皮切りに「放課後グルーヴ」「夫のカノジョ」(ともに13)といった連続ドラマにレギュラー出演し、13年の「大人ドロップ」で映画デビュー。劇場版「悪夢ちゃん The 夢ovie」(14)に続き、「案山子とラケット 亜季と珠子の夏休み」(15)で平祐奈とともに映画初主演を務める。ほか近年では、「あなたの番です 劇場版」「今はちょっと、ついてないだけ」などがある。
とても迷いました。咄嗟に思い浮かんだのは、私にとってのベスト1、「勝手にふるえてろ」です。
色々と振り返ってみて語りたい!と思ったのは、「累 かさね」「50回目のファーストキス」(洋画も邦画も…!)「アメリ」「ツナグ」「フラガール」「SING シング」や、沢山のディズニー作品などです。自分が挙げたジャンルのバラバラさと、あれもこれもと選びきれない優柔不断さに思わず苦笑しました。
でもやっぱり、今回は「勝手にふるえてろ」です。
高校生の頃にレンタルをして、自宅で見ました。以降は、いつでもサブスクのウォッチリストに入れていて、いつも観なおしています。
この作品に出合ったのは、松岡茉優さんの作品を追いかけていた時です。「桐島、部活やめるってよ」で松岡さんのお芝居に触れ、惹かれました。その後も「万引き家族」や「ちはやふる」などで、松岡さんを目にするたびに、この人としての色気はなんだろう。セリフやト書きが、松岡さん自身を越えて自然と役の一部に溶け込んでいくことに感動しました。
そんな松岡さんの主演作。そして、綿矢りささんの原作も大好きだったこともあり、ウキウキと手に取りました。
初めて見た時、こんなにも松岡さんのお芝居を堪能できて幸せだと思いました。松岡さん演じるヨシカは、至って大真面目に暮らしています。ヨシカは淡々としていると自己分析するけれど、段々とズレた人になっていく様子に、観客は心を掴まれ、笑い、涙します。
ラストシーン、「ニ」と対峙したヨシカの、カッコよくて美しいこと。そして、最後に放った「勝手にふるえてろ」の言葉の力強いこと。ストーリーの驚きや、演出の面白さ、美術のリアルな可愛さなど、全てにおいてドンピシャに大好きです。
その後、ドラマで松岡さんとご一緒しました。松岡さんとお芝居できる喜びを、全身で感じましたが、「勝手にふるえてろ」の大ファンとして、とても緊張してしまい、待ち時間は、あまり目が合わせられませんでした…。
また、この作品で出会ってやはり大ファンになった、大九監督とも一度作品でご一緒しました(また思い出しましたが、「私をくいとめて」も好きです)。丁寧、でもさっぱりとした素敵な監督で、とても光栄でした。
芥川賞作家・綿矢りさによる同名小説の映画化で、恋愛経験のない主人公のOLが2つの恋に悩み暴走する様を、松岡茉優の映画初主演で描くコメディ。OLのヨシカは同期の「ニ」からの突然の告白に「人生で初めて告られた!」とテンションがあがるが、「ニ」との関係にいまいち乗り切れず、中学時代から同級生の「イチ」への思いを引きずり続けていた。一方的な脳内の片思いとリアルな恋愛の同時進行に、恋愛ド素人のヨシカは「私には彼氏が2人いる」と彼女なりに頭を悩ませていた。そんな中で「一目でいいから、今のイチに会って前のめりに死んでいこう」という奇妙な動機から、ありえない嘘をついて同窓会を計画。やがてヨシカとイチの再会の日が訪れるが……。
「愛がなんだ」です。今泉力哉監督の作品を、順に追いかけているときに出合いました。
ラブストーリーは、男女が付き合ったり、両想いになったりと、結ばれるところにゴールがあるものが王道です。この作品の登場人物は、例え相手の恋の矢印が自分に向いていなくても、自分が報われない恋をしていても、一緒にいられるならばそれでいいと思っています。その、カサカサしているけれど、でもなんとか自分の心を埋めている様子がとてもリアルに描かれている部分に感銘を受けました。
岸井ゆきのさん、成田凌さんをはじめ、皆さんのお芝居が素敵で、ただその場に存在しているような雰囲気があり、そこにも惹かれました。今泉監督の作品は、皆さんの「お芝居ではないようなお芝居」がとても素敵です。現在公開中の「窓辺にて」も、スタッフさん達も沢山いるであろうこの空間で、どうして役者たちは二人きりの心でいられるのだろうと、とても感動しました。こんなお芝居ができるようになりたいと、鑑賞後のふわふわとした余韻の中、強く思いました。
まだ、誰にも話していませんでした。なので今回、この映画を観た感動をようやく伝えられて、とても嬉しいです。
風邪をひいたテルコ(岸井さん)のもとに、マモちゃん(成田さん)が訪れるシーン。
マモちゃんが風邪を引いたとき、テルコは甲斐甲斐しく看病します。美味しそうな煮込みうどんを作って、振る舞います。しかし、テルコが風邪をひいたと言ったとき、マモちゃんはアルミの鍋の完成しているうどんを火にかけるだけ。しまいには、テルコが以前看病してくれたとき煮込みうどんの匂いに酔った、とまで言い出します。
それでもテルコは、どうしようもなくマモちゃんが好きなのです。テルコの想いには応えられないから一緒にいられないと言い放ったマモちゃんに、私はあなたのことなんて好きじゃないから一緒にいようと笑うテルコ。
切なくて、クサクサしてて、それなのになんだか惨めだと笑えてしまう、秀逸なシーンでした。
直木賞作家・角田光代の同名恋愛小説を、「パンとバスと2度目のハツコイ」「知らない、ふたり」の今泉力哉監督で映画化。28歳のOL山田テルコ。マモルに一目ぼれした5カ月前から、テルコの生活はマモル中心となってしまった。仕事中、真夜中と、どんな状況でもマモルが最優先。仕事を失いかけても、友だちから冷ややかな目で見られても、とにかくマモル一筋の毎日を送っていた。しかし、そんなテルコの熱い思いとは裏腹に、マモルはテルコにまったく恋愛感情がなく、マモルにとってテルコは単なる都合のいい女でしかなかった。テルコがマモルの部屋に泊まったことをきっかけに、2人は急接近したかに思えたが、ある日を境にマモルからの連絡が突然途絶えてしまう。
私が演じたゆかりは新婚で、結婚に対するモヤモヤとした感情を抱えています。結婚相手である亮介は、とても優しいけれどどこか軽さをはらんでいるように感じるからです。不安とも、不満ともつかない感情を、亮介に伝えることができないまま、亮介の友人が開いた自分たちの結婚祝いのホームパーティーに向かいます。
ストーリーが進むなか、ゆかりが常に感じている、明確な言葉で表しきれないモヤモヤを、どのように演じるかは悩みました。弱々しくあるべきか、イライラとした怒りであるべきか…。しかし、優しくまっすぐに役者を見守ってくださる戸田監督や、三度目の共演である亮介役の前原滉さんとコミュニケーションを取りながらじっくり撮影と向き合うなかで、どのように演じるか決めなくていいのだと気がつきました。
登場人物が思っていることは文章として形にできても、感情には名前をつけることができません。だからこそ、不安定な私自身を、不安定なゆかりにそのまま投影するような気持ちで、演じていました。
この作品は群像劇です。コロナ禍を舞台にしているので、コロナによって生まれた悩みを抱えた人が沢山登場します。学生であれば、学校のこと。社会人であれば、仕事のこと、夢のこと。そして、結婚のこと。
観てくださった皆さんの中にも、悩みを抱えている人がいるかもしれません。そんな皆さんに寄り添えるような悩みを抱えた人が、この作品の中にはいます。ぜひ、皆さんには、自分を投影できるキャラクターを見つけて欲しいです。登場人物が悩みをふっと緩められていくように、皆さんの悩みも少しやわらかくなることを願っております。
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