川村元気、50問50答に挑む【連載第2回/川村元気 誰も知らない100の企み】
2022年9月5日 12:00
「電車男」に始まり、「告白」「悪人」「モテキ」「おおかみこどもの雨と雪」「君の名は。」「怒り」「天気の子」など、これまで40本の映画を手がけてきた川村元気氏は、映画業界ならずとも、クリエィティブな仕事に従事する人々にとって無視することができない存在といえるでしょう。今年、映画プロデューサーのほかに小説家、脚本家、絵本作家など、実に多くの顔を持つ川村氏に、「映画監督」という肩書きが新たに加わりました。
自らの祖母が認知症になったことをきっかけに、人間の記憶の謎に挑んだ自著「百花」の映画化に際し、なぜ監督を務めようと思ったのか。激務をこなす川村氏にとって、仕事というカテゴリーにおける効率、非効率の線引きはどこにあるのか。
この連載では、本人のロングインタビューはもちろん、川村氏の“ブレイン”ともいえる仕事仲間や関係者からの証言集などを通して、全7回で「川村元気」を紐解きます。映画人としてのキャリアをスタートさせてから「百花」に至るまで、100の企みに迫っていきます。
第2回は、映画監督、配給会社スタッフ、宣伝会社スタッフ、映画.com編集部員から寄せられた50問の質問を「プライベート編」「お仕事編」に分割して答えてもらいました。
映画、音楽、漫画、小説、美術などが満遍なく好きで、
結果それが映画的だったのかもしれません。
映画にはその全てがあるので。
あと強く覚えているのは、小さな自転車から少し大きな自転車に
買い替えてもらった時の記憶。
古い自転車を捨てて、新しい自転車に跨った時に、
それまで乗っていた小さな自転車が急に生気を失い、
まるで死んでしまったようにくたびれて見えた。
3歳の時に、横浜の映画館で。映画館の床はベタついていて、暗くて怖った。
けれどもE.T.と少年エリオットを乗せた自転車が、空を飛んだ時に
興奮して立ち上がった(父親談)。
20年後に、大阪・難波の映画館で働いている時のプリントテストで、
ひとり深夜に「E.T.」20周年のデジタルリマスター版を見た。
そのとき同じシーンで涙が溢れた。
3歳と23歳で、同じ場面で感動していた。
こういう映画を作りたい、と強く思った瞬間でした。
ご自身でプロデュースした作品、それ以外の作品で1本ずつ教えてください。
お菓子も買っていくようにしていた」(うろ覚え)と仰っていたのですが、
これは企画にも置き換えられるなと思いました。
頼まれていないアイデアという“お菓子”をその場にいくつ持ち込めるか。
コケても自分だけのせいじゃない、と思うようにしています。
いろんな人に味方になってもらったという記憶しかありません。
幾つか熱のこもった解答も見受けられましたが、シンプルでいて行間に何かしらの真意を潜ませた川村さんの50問50答、お楽しみいただけましたか?
第3回は、「百花」製作に際し川村さんと“共犯”関係にあったキーマン3人のインタビューをお届けします。ご期待ください。
執筆者紹介
大塚史貴 (おおつか・ふみたか)
映画.com副編集長。1976年生まれ、神奈川県出身。出版社やハリウッドのエンタメ業界紙の日本版「Variety Japan」を経て、2009年から映画.com編集部に所属。規模の大小を問わず、数多くの邦画作品の撮影現場を取材し、日本映画プロフェッショナル大賞選考委員を務める。
Twitter:@com56362672
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