シネマ映画.com「ロマンポルノ映画祭」開催! 世界が認める傑作からライトなコメディまで旧作12作の見どころをチェック
2022年8月26日 23:00

日活が1971年に製作開始した「日活ロマンポルノ」。50周年記念プロジェクトとして、今年9月から松居大悟監督作「手」、白石晃士監督作「愛してる!」、金子修介監督作「百合の雨音」という新作3本が公開を控えています。そんなロマンポルノイヤーを盛り上げるべく、現在、話題の映画を月会費なしで自宅でいち早く鑑賞できるVODサービス「シネマ映画.com」で「ロマンポルノ映画祭」(https://cinema.eiga.com/romanporno/)が開催中です。
映画祭では、映画.comがセレクトしたバラエティ豊かな旧作12本を紹介します。購入者には、新作のオンライン試写参加権(※抽選)や新作の劇場割引クーポンをプレゼント。まだまだ暑いこの夏、おうちでロマンポルノ体験してみませんか?
■バラエティ豊かな12作品の見どころをご紹介
映画史において最もセンセーショナルな作品レーベルとして、現在も国内外で高く評価されている「ロマンポルノ」。低予算、お色気シーン必須などの縛りがあったことから、製作陣が策を練って独創的な物語や撮影方法を生み出し、また当時の日本文化も再発見できる作品群といえます。
しかし、大半がR18+の成人映画ということで、見てみたいけれど鑑賞のハードルが高いな……と思われる方も多いでしょう。また「ポルノ」という名前から、現在ネット上に溢れるアダルトコンテンツのような映像を連想される方もいらっしゃるかもしれませんが、性的なシーンはすべて演技で、実行為・本番はありません。
そして、そのジャンルは映画史に残る傑作ドラマ、重厚な歴史もの、ライトなコメディまで多岐にわたります。今回、映画.comがセレクトした4つのカテゴリ別、12作品の見どころをご紹介します。

第78回ベネチア国際映画祭クラシック部門選出作。約1100本あるロマンポルノ作品の中で最高傑作と評する映画人も多い。主演の芹明香が娼婦を演じ、大阪・釜ヶ崎を舞台に、たくましく生きる人々の姿を描いた傑作。共演に花柳幻舟、宮下順子、絵沢萠子ら。
流れ者が集まる労働者の街で、おなかの子よりもパトロンに執着する娼婦の母と客を取り合い、障害のある弟の面倒もみる19歳の娼婦トメ。逃れられない重荷を背負いながらも、軽やかにひとりで生きぬく覚悟を持ったトメの神々しい美しさに打ちのめされます。


「恋人たちは濡れた」「赫い髪の女」などとともに海外映画祭で高い評価を受ける神代辰巳監督、脚本作。低予算のブルーフィルム製作に奮闘する人々を明るいタッチで描く。映画作りに情熱を燃やす監督役の岸田森、女優役の谷ナオミの熱演がまぶしい快作。
デジタル機器が普及していなかった時代、“芸術”としてブルーフィルムを作ろうとする主人公の映画愛とポルノ女優になると腹をくくった女を演じる谷ナオミさんの強度のある肉体のぶつかり合い。セリフに撮影、音楽とすべてが痺れるカッコよさ。映画ファンは昇天必至の一作です。


人手不足の房総の漁村。村長の息子が東京で女性をスカウトし、5人が海女さんに。郷土史を学ぶ学生は、村の奇祭“ふんどし祭り”を復活させようと試みる。明るい陽光の下、奔放な女たちと村の男たちが恋愛騒動を繰り広げるおおらかなセックスコメディ。
ロマンポルノに造詣の深いみうらじゅんさんが「あまちゃん」脚本の宮藤官九郎さんに鑑賞を薦めたという逸話もあるロマンポルノ「海女」ものの1作。女性たちが主体となった開放的なエロス描写、「ミッドサマー」的な田舎の奇祭も楽しめる珍作です。


橋本治の小説が原作。活発なレナと奥手な裕子はセックスに興味津々の年頃、互いの経験値でマウントを取り合うも親友のふたり。ある日家出した裕子を探しにレナは信州へ旅立ち、様々な大人の事情も知ることになる。女優陣の魅力が光るガールズロードムービー。
レナ役の竹田かほりさん、裕子役の亜湖さんがとびきりかわいい青春映画。冬の信州、金沢、京都と彼女たちと旅をしているような気分で楽しめます。現在ならパパ活と呼ばれるような体験に好奇心から自ら足を踏み入れ、性について考える若いふたりの心の変化も見もの。


ウルトラマンシリーズの実相寺昭雄原作。会社員の主人公が、妻以外と自由にセックスするために不能になったという芝居を打つが、妻も様々な策略を練る。女盛りの妻の欲求に振り回される昭和のサラリーマンの悲哀とささやかな欲望をドタバタタッチで描く。
スポーツカー、シティポップ、豪華設備のラブホテルなど、当時のカップル向けアイコンが次々に登場。郊外の戸建てと車、専業主婦の妻と一人娘、女性部下を愛人に…という当時のサラリーマンの小市民的ファンタジーがリアルに描かれています。


性器の大きさにコンプレックスがある課長の福田、部下の田中は巨大すぎてセックスが困難で…という対照的な悩みを持つ2組の夫婦と地球のポルノ偵察にやってきた謎の宇宙人の物語が繰り広げられる。ロマン皆無、徹底的にくだらなさを追求した爆笑ポルノ。
セックスコメディにチープすぎるSFが融合というぶっ飛んだ設定に大笑いし、これもロマンポルノなのか…という驚きを与えてくれる一作。一方で、令和の今では遠慮したい、昭和のおっさんの下ネタ全部乗せという趣きもあるので、歴史的資料として耐性のある方のみご覧ください。


大谷直子、石田えり、柄本明、岸部一徳、高橋ひとみらが演じる男女の悲喜こもごも。大谷と岸部が夫婦役。夫の友人を柄本が演じ、大人の性と愛を軽やかなタッチで描き出す。脚本は「火口のふたり」の荒井晴彦。吉行和子、鈴木清順が友情出演。
湿度低め、爽快な後味の大人の恋愛映画。若き日の柄本明さんがセクシーなモテ男を演じます。ライオンの交尾を見ながら「あらゆるオスにとって、セックスする以上にもっともらしい存在理由ってあるのかしら?」と哲学的問答が挟まれるのも興味深い。


「AKIRA」の大友克洋が78年に「ヤングコミック」に発表した短編「任侠シネマクラブ」が原作。映研部所属の映画オタクの3人が、学園祭に向けて自分たちの力だけで、ブルーフィルムを製作し公開しようと奮闘する。映画青年たちの爽やかな青春ロマンポルノ。
性に興味津々の年頃の男の子たちが、恋愛や初体験に期待を裏切られたり、大人の世界を垣間見たりして成長していく王道の青春もの。彼らの映画に出演するサラ金をクビになった夫、売春で家計を助ける妻という設定の熟年夫婦の愛情も胸を打ちます。


新宿の風俗店で働く昌子、ジュン、おみつ。昌子の恋人本多はゲイの誠を可愛いがり、ジュンは金銭トラブルに巻き込まれ、おみつは真面目な銀行員に心を開くが……訳アリ男たちに翻弄されながらも、明るくたくましく生きる女たちをスタイリッシュな映像で描く。
それぞれに孤独を抱えながらも、また朝を迎える登場人物たち。愛情と切り離したセックス、生と死という普遍的な物語を、複雑かつ魅力ある人物描写と実験的映像でエモーショナルに描きだす。歌舞伎町、西口、今は無き都電の線路など当時の新宿の風景が印象的。


「ロマンポルノ」45周年を記念した「日活ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」の1作。ネットカフェ難民、シングルマザー、不妊症で夫に浮気をされた人妻…それぞれの悩みを抱えながら、池袋の夜の街で生きる女と孤独な男たちを描く。
「牝猫たちの夜」への白石版オマージュである傑作。セックスは登場人物たちの心の欠乏感を埋めるかのように描かれ、ネット炎上、独居老人、児童虐待など現代の社会問題もリアルに取り入れられている。「牝猫たちの夜」で昌子の恋人本多を演じた吉澤健さんも出演。


昭和の非行の代名詞“スケバン”を合法的(?)にビジネス化し「株式会社」を設立した3人の優等生が、明るくバージンを捨てたり、大人の裏社会を垣間見ながらも成長していく様を金子修介の脚本でコミカルに描く青春もの。監督は「桃尻娘」シリーズの小原広裕。
スケバンと呼ばれた不良女子に憧れる3人。家柄や世間体に縛られず、若者は好きなことをして生きていいんだよ、というメッセージを感じる、愛とエロスと笑いたっぷりの青春映画。恋愛でのハッピーエンドだけではなく、それぞれの幸せを見つけるラストが◎。


レズビアンカップルを描いた「セーラー服百合族」と「セーラー服百合族2」に次ぐシリーズ第3弾。高校生だったなおみと美和子は社会人に。離れ離れになり切れない2人は秘かに同居を始めるが、当時のOLのゴールは結婚。なおみは男性へ目を向けるようになる…。
心も体も離れられないカップルのやきもきする思いが伝わってくる純愛シリーズの最終章。卒業→就職→結婚退職が当然だったという当時の女性たちの価値観も知ることができます。爽快なラスト、レトロな80年代ファッションやインテリアも素敵。

ロマンポルノ映画祭は~9/19(月)まで開催!
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