「ミザリー」「シャイニング」… 演技が“ヤバい”ホラー映画5選
2020年4月15日 18:00

[映画.com ニュース] 映画.comユーザーの皆さま、こんばんは。映画ライターのSYOと申します。自宅待機が続く今日このごろ、いかがお過ごしでしょうか。心置きなく映画館に行ける日々が早く戻ってくることを願いつつ、今はDVD&ブルーレイのレンタル・購入や動画配信サービスで見られる作品を堪能し、おうち時間を充実させましょう。
ということで今回は、気分がふさぎがちな日々に強烈なアクセントを与えてくれる、「演技がヤバいホラー」をピックアップしてみました。

あまりに演技が怖すぎて世界が震撼。アカデミー賞主演女優賞まで受賞してしまったホラー。スティーブン・キングの原作を、「スタンド・バイ・ミー」(86)の名匠ロブ・ライナーが映像化しました。漫画「ジョジョの奇妙な冒険」の原作者・荒木飛呂彦先生のお気に入り映画であり、「銀魂」でもネタにされるほど有名なので、ご存じの方も多いかと思います。
自動車事故で重傷を負ったベストセラー作家。彼はファンを名乗る女性に助けられ、彼女の家で療養するが、それは「看病」を超えた「監禁」だった――。
何事も行き過ぎると危険ですが、狂気のヒロイン、アニー(キャシー・ベイツ)がまき散らす“偏愛”は、本気で怖い。ニコニコと看病しているかと思えば、ふとした言葉がきっかけで悪鬼の形相に。別人かと思うくらいに激高し、遂にはハンマーを持ち出して……。今思い出しても、ぞっとします。
未見の方は、ぜひ温かなココアでも入れてお楽しみください。悪寒が止まらなくなるので……。

女性の狂気を描いたのが「ミザリー」なら、男性の狂気を描いた「演技がヤバいホラー」はやっぱり「シャイニング」でしょう。2019年には続編となる「ドクター・スリープ」が公開され、人気が再燃しました。
小説家志望の男性が、冬の間は閉ざされるホテルの管理人を引き受ける。ところがこのホテル、いわくつきの物件だった。男性は徐々に壊れていき、しまいには妻と息子を命の危険にさらす。
オスカー俳優ジャック・ニコルソンの“憑依演技”は絶句するレベルで、ドアを斧で破壊して「お客様だよ!」と地獄のスマイルを浮かべるシーンは永遠にトラウマになることでしょう(おののきまくる妻役シェリー・デュバルの演技も結構怖い)。
スタンリー・キューブリック監督のうねるようなカメラワークや意表を突いた恐怖演出、ホテルの内装やカラーリングなど、芸術性が秀でているのも本作の特長。アートなホラーでもあります。
余談ですが、本作も「ジョジョの奇妙な冒険」でオマージュされていますね。

日本を代表する演技派俳優・國村隼が得体のしれない“よそ者”を演じた怪作。韓国の辺境の村で、不気味な殺人事件が発生。捜査を行う警察官は、山中で暮らす不審な日本人を疑うが……。
「ミザリー」や「シャイニング」と違い、本作の“よそ者”は徹底的に「わからない」ところが恐ろしい。「何を考えている?」「善人? それとも悪人?」「そもそも“人”なのか?」などの疑問が次々にわいてきて、見ているうちに脳がキャパオーバーを起こすことでしょう。ただ一つ確かなのは、「この男に関わってはいけない」という本能的な恐怖。
いるだけで混乱を招く、災厄のような人物――。本作の國村さんの演技があまりにすさまじく、インタビュー時にご本人を前にしても縮み上がってしまったことを憶えています。
「哭声 コクソン」は、人間が他者に対して抱く疑心暗鬼や不寛容を、イエス・キリストを題材にして描いた深遠な作品でもあります。「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」超えの156分に及ぶ“悪夢”、心してご覧ください。

しゃべらない。動きもしない。なのに怖い。モデルで女優のオルウェン・ケリーが、身元不明の「死体」をオールヌードで演じきったホラー。
家族経営の遺体安置所に、身元不明の女性が運ばれてくる。検死を依頼された父と息子は死体の解剖を始めるが、通常では考えられない奇妙な点が多く、さらには身の毛もよだつ怪奇現象に見舞われ……。
仕掛けたっぷりのホラー映画としても一級品ですが、恐怖を何より引き立てているのはケリーの“死体演技”。どう見ても死んでいて表情に変化がないのに、次第に人知を超えた存在に見えてきて鳥肌が立つ。ちなみにケリーは撮影時、ヨガの技術を使って呼吸を制御していたそうです。
“攻め”の演技でも“受け”の演技でもなく、一切動かない究極の“静”の演技が醸す、底知れぬおぞましさ――。新たなる恐怖を欲している方には、ぴったりな作品かと思います。

本作は、一言で言うなら純愛ホラー。「モールス」(10)の邦題でハリウッド・リメイクもされました(こっちの主演はクロエ・グレース・モレッツ)。
いじめられっ子が出会った、ミステリアスな少女。孤独な2人は仲良くなり、惹かれ合っていくが、少女エリ(リーナ・レアンデション)はある“秘密”を抱えていた……。
「ビザンチウム」(12)や「RAW 少女のめざめ」(16)、「テルマ」(17)にも共通するテーマを扱ったこの作品は、人気ジャンル“北欧映画”らしく、心情描写や風景の美しさと残虐性のコントラストが鮮烈です。劇中、いくつかショッキングなシーンがあるので、気に留めておいていただいた方が良いかもしれません。
エリを演じたレアンデションは、前半はナイーブで静謐な演技を披露し、後半になると(ネタバレになるので詳しくは書けませんが)“大化け”します。当時12歳ほどだったかと思いますが、女優魂を感じさせられる見事な表現力。彼女の“変化”が1つのキーになっていて、2回見ることで作品の深奥に触れられる構造になっています。
「ぼくのエリ 200歳の少女」はジェンダー論にも言及しており、非常に現代的な奥深い作品の一面もあります。鑑賞後の余韻も含めて、楽しめるかと思います。
今回は5本紹介しましたが、いかがだったでしょうか。近年のホラーだったら「ヘレディタリー 継承」(18)や「アス」(19)など、ヤバい演技が見られる作品は無数にあります。ぜひ、自分だけの“推し”作品を探してみてください。
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