第72回カンヌ映画祭コンペにジャームッシュ、ドラン、テレンス・マリックら 日本映画は入選なし
2019年4月18日 21:34
[映画.com ニュース]5月14日(現地時間)から25日まで開催される第72回カンヌ国際映画祭のオフィシャルセクションのラインナップが4月18日に発表になった。オフィシャルセクションは、コンペティション、アウト・オブ・コンペティション、ある視点、スペシャル上映、ミッドナイト上映から成るが、今年は日本映画は1本も入選しなかった。
この日、パリの映画館で開催された記者会見でプレスの質問を受けたティエリー・フレモーの話によれば、是枝裕和監督の「La verite(仮題)」は未完成とか。またこちらも話題に上っていたクエンティン・タランティーノの新作「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」も、本人はカンヌに来る気満々だったようだがどうにも完成が間に合わないだろうとのこと。もっとも、この日発表になったセレクションからこの後、例年通り数本追加の可能性はあるという。
コンペティションは、オープニングのジム・ジャームッシュ監督のゾンビ映画「ザ・デッド・ドント・ダイ(原題)」を含む19本。本作はカンヌ公開と同日に、フランス全土400館以上で公開になり、カンヌ開幕の様子もライブ上映されるそうで、かつてないお祭りムードに包まれそうだ。
コンペには、噂に上っていた監督名がずらりと並んだ。やはり引退はまだだったケン・ローチ、ペドロ・アルモドバル、テレンス・マリック、マルコ・ベロッキオ、ダルデンヌ兄弟、アルノー・デプレシャン、グザビエ・ドラン、ポン・ジュノ、セリーヌ・シアマら。初監督作はフランスのラジ・リの1本のみ。新人が多かった昨年とは一変した印象だ。
ある視点部門には初監督作が6本あるが、ブリュノ・デュモンやアルベルト・セラ、クリストフ・オノレなど、コンペ格のベテランの名前も混じっているアウト・オブ・コンペは、エルトン・ジョンの伝記映画「ロケットマン」やディエゴ・マラドーナのドキュメンタリー、クロード・ルルーシュが「男と女」のその後をオリジナルキャストで描いた続編、ニコラス・ウィンディング・レフンのTVシリーズ「Too Old To Die Young」のエピソード4と5など、派手な話題作が並び、レッドカーペットを賑わせてくれるだろう。
2年前からカンヌの鬼門となっているNetflix問題は進展を見ず、コンペは劇場公開の条件が基準となるため、1本も入選していない。だがプレジデントのピエール・レスキューとフレモーによれば、「映画を取り巻く状況が変化していることは考慮している」そうで、将来の対策に向けての交渉は続く模様だ。
今年の審査員長はアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ。またアラン・ドロンに栄誉パルムドールが授与されることが決まっている。併設部門の監督週間や批評家週間は追って発表になるが、果たしてこれから開催までどんなニュースが飛び出すか、楽しみに待ちたい。(佐藤久理子)
ジム・ジャームッシュ「ザ・デッド・ドント・ダイ(原題)」
ペドロ・アルモドバル「Dolor Y Gloria(原題)」
マルコ・ベロッキオ「Il Traditore(原題)」
ポン・ジュノ「パラサイト(英題)」
ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ「Le Jeune Ahmed(原題)」
アルノー・デプレシャン「Roubaix, Une Lumiere(原題)」
ディアオ・イーナン「Nan Fang Che Zhan De Ju Hui(原題)」
マティ・ディオプ「Atlantique(原題)」
グザビエ・ドラン「Matthias & Maxime(英題)」
ジェシカ・ハウスナー「Little Joe(英題)」
ケン・ローチ「Sorry We Missed You(原題)」
ラジ・リ「Les miserables(原題)」
テレンス・マリック「A Hidden Life(原題)」
クレベール・メンドンサ・フィリオ、ジュリアノ・ドネルス「Bacurau(原題)」
コルネリュ・ポルンボユ「The Whistlers(英題)」
アイラ・サックス「Frankie(原題)」
セリーヌ・シアマ「Portrait de la jeune fille en feu(原題)」
エリア・スレイマン「It Must Be Heaven(原題)」
ジュスティーヌ・トリエ「Sibyl(原題)」
カリム・アイノズ「A Vida Invisivel(原題)」
Nariman Aliev「EVGE(原題)」
Kantemir Balagov「Dylda(原題)」
ザブー・ブライトマン、Elea Gobbe-Mevellec「Les hirondelles de Kaboul(原題)」
モニカ・ショクリ「La femme de mon frere(原題)」
マイケル・コビーノ「The Climb(原題)」
ブリュノ・デュモン「Jeanne(原題)」
クリストフ・オノレ「Chambre 212(原題)」
オリベル・ラセ「O Que Arde(原題)」
Danielle Lessovitz「Port Authority(原題)」
Mounia Meddour「Papicha(原題)」
ミディ・ジー「Juo ren mi mi(原題)」
アルベルト・セラ「Liberte(原題)」
アニー・シルバースタイン「Bull(原題)」
Maryam Touzani「Adam(原題)」
ツ・フェン「Liu Yu Tian(原題)」
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