レ・ミゼラブル 劇場公開日 2020年2月28日
解説 ビクトル・ユゴーの小説「レ・ミゼラブル」で知られ、現在は犯罪多発地区の一部となっているパリ郊外のモンフェルメイユを舞台に、現代社会が抱えている闇をリアルに描いたドラマ。モンフェルメイユ出身で現在もその地に暮らすラジ・リの初長編監督作品で、2019年・第72回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞。第92回アカデミー賞の国際長編映画賞にノミネートもされた。パリ郊外に位置するモンフェルメイユの警察署。地方出身のステファンが犯罪防止班に新しく加わることとなった。知的で自制心のあるステファンは、未成年に対して粗暴な言動をとる気性の荒いクリス、警官である自分の力を信じて疑わないグワダとともにパトロールを開始する。そんな中、ステファンたちは複数のグループが緊張関係にあることを察知するが、イッサという名の少年が引き起こした些細な出来事から、事態は取り返しのつかない大きな騒動へと発展してしまう。
2019年製作/104分/G/フランス 原題:Les miserables 配給:東北新社、STAR CHANNEL MOVIES
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2020年9月29日
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鑑賞方法:VOD
A cop tale mystified by the community patrols' hunt for a lion that some kid stole. It's really hard to see where the movie is going, which is what makes it so fun. The Mali-born director sees French immigrant neighborhoods with a certain danger, an uprising brimming up among the youth, caught in a struggle similar to the refugee camps' in Children of Men. Does good triumph natural evil? Up to you.
2020年2月28日
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鑑賞方法:試写会
フランスで社会問題になっている都市郊外のスラム化が、ヨーロッパ全土に、ひいては全世界に広がっていく。発展から取り残された低所得者用住宅、通称バンリューには、アフリカ移民の2世、3世はもちろん、麻薬ディーラー、イスラム教徒、ロマのサーカス団たちが、一触即発の状態でひしめき合っている。街を パトロールする警官たちはすでに正義のなんたるかを忘れ去り、差別や恐怖を通り越した荒廃が彼らの心を蝕んでいる。ある日。そこで発生した警官による無防備な移民少年への発砲事件が、遂に、積りに積もったフラストレーションに火を付ける時、そこにあるカオスは今の世界共通の問題であることに気づかされる。皮肉にも、文豪ヴィクトル・ユーゴーによる代表作の舞台になった同じ街で展開する物語は、実際にそこに住む監督、ラジ・リの実体験に基づいているとか。「レ・ミゼラブル(悲惨な人々)」と言うタイトルが、これほどまでリアルに響くとは驚きだが、監督の目は彼ら個々人ではもちろんなく、人々をそうしてしまった犯人、つまり、政治と社会に向けられている。
2022年6月23日
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鑑賞方法:DVD/BD
2019年(フランス) カンヌ国際映画祭審査員賞ほか多数受賞した作品。 有名なヴィクトル・ユーゴーの『レ・ミゼラブル』とは題名だけ同じ。 レ・ミゼラブルの意味は「悲惨な人々」 この映画も悲惨だ。 子供を主役に置いてるが、手法がリアル。 子供も立派な社会の矛盾の被害者であり・・・また立派に犯罪予備軍で、その後継者に育つ。 そのメカニズムが104分の映画の中で、見事に表現されている。 レミゼラブルの舞台となったモンフェルメイユは今は移民や難民の犯罪多発地区になっている。 ラジ・リ監督もモンフェルメイユに生まれ今も住む。監督もアフリカ系の移民2世。 《フランスの現在のカオスを伝える映画です》 フランスがサッカーのワールドカップ優勝にわく2018年。 子供がライオンを盗んだことなど、ほぼ実話だと言う。 モンフェルメイユの犯罪防止班に新しく赴任したステファンは、 正義感の強い真面目な警官。 そんな犯罪防止班をきりきり舞いさせるのが、イッサなどの、子供たちなのだから、 恐れ入る。 子供に右往左往させられる警官の図式が、この映画のテーマの根っこの深さを 物語っている。 純真な子供なんて視点は皆無。 子供は親をしょっぴく警官を生まれた時から見て育つ。 物心ついた頃から盗みを働く子も多い。 イッサは12歳くらいのアフリカ系の子供。 鶏を盗み父親にこっぴどく叱られるのを警察署でステファンは目撃する。 さらにヒヨコを盗み、なんとロマのサーカス団からライオンの子を盗み出したイッサの悪戯は、冗談では済まされなくなる。 更に仲間と騒いだイッサを犯罪防止班の警官がゴム弾で射撃してしまう。 意識を失うイッサ。警官は救急車さえ呼ばない。 有耶無耶にしたいのだ。 正義感から責任を感じるステファン。 更に悪いことに射撃の現場をドローンで撮影されていたのだ。 もうカオスです。 この後半の展開はギャング映画以上の凄まじさになる。 イッサの仲間の子供たちは神出鬼没のストリートギャング!! 迫撃砲に花火爆弾。 迫撃砲はまるでロケット爆弾のように派手に炸裂する。 警官の車は破壊の限りを尽くされ、スクラップ状態。 なぜ、なぜ、これほどまでの激しい怒りと憎しみが子供の心に育つのか? サッカーでフランスを応援するイッサに祖国とは何処なのか? 生まれた国を憎み、生まれたことを呪う。 正しいことをする警官ステファンさえ、 彼の正義感を逆撫でする事態に・・・警官だって人間だ。 ラスト。 仁王立ちするイッサは悪魔(サタン)にしか見えなかった。 「悪い草も、悪い人間もいない。」 「育てる者が悪いだけだ」 by ヴィクトル・ユゴー
2021年6月17日
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鑑賞方法:DVD/BD
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「誰が悪い」の議論を映像化したような。ただ、環境の悪さは確かに仕方のないことだが、終始誰もが環境のせいにしているので、中々共感はしづらい。 警察はなめられたら終わりなので=謝らないし、そんな警官を見て子どもらも同じように振る舞おうとするので「奪いあう」=舐められないようにするためなら「盗んでもいい」となり、ルールを守っているものは奪われて舐められっぱなしなので「弱者」となり、ある日弱者でいたくない!と奮起する=「ルールを守らない」人間へとなり、皮肉にも警察が取り締まる対象となる。 社会は大人が作っており、模範となる大人がいない社会では、これから学びの多い子供らが荒れるのは自然の摂理。 そんな「模範の大人」になるべく、悪家業から足を洗い飲食店を開いてる元ワルの人は、そんな現実をとても憂いているように思えた。 「俺ら“大人”が悪い」と感じられないのは、子どもの頃の精神のまま歳を重ねてしまったからなのか。「母親」を抜きに、出演者全員が意地を張り合う子どもに見えた。 最後のセリフのみのテロップは、映画の最初でも良い。
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