樹木希林さん死去に悲しみと感謝の声続々、是枝裕和監督「見事な人生の締めくくり」
2018年9月17日 11:40
[映画.com ニュース] 映画、ドラマ、CMで幅広いジャンルで活躍し、多くの人に愛された樹木希林さんの突然の悲報に、芸能界には衝撃を走り、深い悲しみに包まれた。
今年のカンヌ映画祭で最高賞パルドールを獲得した「万引き家族」をはじめ、「そして父になる」「海街diary」などで起用した是枝裕和監督は、今年3月にがんが骨に転移していることを知らされたという。「ご一緒した映画祭や公開初日の舞台挨拶では、ご自身の中に残ったエネルギーと冷静に向き合い、コントロールされながら、それでも役者の仕事を全うされようとしているその姿勢に頭が下がりました。身体が弱ってからもどこかその、初めての体験を面白がっているようなところがあり、凄みと軽やかさの同居した姿は、神々しくさえありました」と振り返った。
そして、「ご一緒したのは、彼女の長いキャリアの中で最後の10年ちょっとに過ぎませんが、監督と役者という関係を超えて、とても濃密な、楽しい時間を共有させて頂き、感謝の気持ちでいっぱいです。最期の瞬間まで、本当に見事な、いかにも希林さんらしい人生の締めくくり方をされたと思います」とその生きざまを称えた。「万引き家族」で“孫”を演じた松岡茉優は、「樹木さんが教えてくれたこと、残してくれたものを最大限に生かしたい。同じ時代に生まれたことを、大きな意味でとらえていきたいです。暖かくて風通しがよくて、過ごしやすいところでお休みになられていますように。大好きです」と気丈なコメントに悲しみの深さをにじませた。
「万引き家族」の前に撮影され、10月13日に公開される「日日是好日」の大森立嗣監督は、「撮影しながら希林さのことが大好きになっていきました。大事なことをひょうひょうと語る姿が目に浮かびます。出会えたことは僕の財産です」と感謝。茶道教室の先生と生徒という関係で初共演した黒木華は「突然すぎて、なんと言えばいいか本当に言葉が浮かびません。希林さんとお仕事をご一緒できたことはとても光栄でしたし、かけがえのない時間でした。もっと、もっと、お話ししたかったです」、多部未華子も「突然のことで言葉がどうしても詰まってしまいます。寒い撮影の中、樹木さんの控え室にお邪魔して、2人でひざ掛けを分け合いながらお話ししたこと、忘れません」としのんだ。
希林さんが主演し、初めてカンヌ映画祭に参加した「あん」の河瀬直美監督は、「樹木希林さんは、監督の伝えたいことを瞬時に理解し、具現化できる真の俳優でした。最後まで女優を演じ続ける姿勢。その潔さと儚さを、今、かみしめています」と率直な心情を吐露。「具合が良くないことがニュースで知らされても、どこまでも元気で毒舌で、変わらない希林さんがそこにいました。希林さんはそうして私たちの前から弱ってゆく自分の肉体を想像できなくさせ、いつまでもあの元気な笑顔のままで私たちの中に永遠を創り上げたかったのだと、悟りました。あなたは、最期まで女優でした」と追悼した。
「あん」で希林さんと14年ぶりに共演した永瀬正敏は、出演映画の撮影中に悲報を知らされ「腰が抜けそうでした」というほどのショックを受けた。「まだ、客観的になれません。言葉にならない感じです。芝居もそうですし、現場でのお姿やお言葉もとにかくすごい。唯一無二の方で、もう希林さんのような方は出てこないと思います。お会いする度に、手を握っていただいたんです。この先もずっとご一緒したいと思っていたのに…」と無念さを隠さなかった。
「わが母の記」で親子役を演じた役所広司も、「お疲れさまでした。何でもないセリフを深く、豊かに、身体全体で表現された素晴らしい先輩でした。たくさん学びました。また、ご一緒できる日を楽しみにしていたのですが、本当に残念です」と悼んだ。
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