アカデミー賞12度ノミネートにして受賞ナシ 究極の「無冠の帝王」とは?
2015年2月26日 12:30
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[映画.com ニュース] アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」の4冠で幕を閉じた今年の第87回アカデミー賞。主演女優賞に輝いたジュリアン・ムーアが5度目(主演女優賞では3度目)のノミネートで初めてオスカーを手にした一方で、12度目のノミネートにしてまたしても栄冠を逃した究極の「無冠の帝王」がいる。
その人物とは、撮影監督のロジャー・ディーキンス。英国出身でドキュメンタリー作品からキャリアをスタートさせたディーキンスは、コーエン兄弟監督のほぼ全作品で撮影監督を務めており、サム・メンデスら名だたる監督からの信頼も厚い。陰影の美しい画に定評があり、今回はアンジェリーナ・ジョリー監督作「Unbroken」でノミネートされていたが、全編をほぼワンカットで撮影したかのような驚異的な映像を作り出したエマニュエル・ルベツキ(「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」)に破れた。
そんなディーキンスのこれまでのノミネート歴は「ショーシャンクの空に」(94)に始まり、「ファーゴ」(95)、「クンドゥン」(97)、「オー・ブラザー!」(00)、「バーバー」(01)と続き、07年には「ノーカントリー」と「ジェシー・ジェームズの暗殺」でダブルノミネート。その後も「愛を読むひと」(08)、「トゥルー・グリット」(10)、「007 スカイフォール」(12)、「プリズナーズ」(13)で毎年のように候補に挙がりながら、なぜかオスカーには縁がない。
このノミネート12回・受賞0回というのは、イタリアの巨匠フェデリコ・フェリーニ監督、作曲家のトーマス・ニューマン(「ウォーリー」「007 スカイフォール」)とタイ記録。フェリーニ監督の場合、監督賞のほか脚本賞・脚色賞でのノミネーションもカウントされている。そのフェリーニだが、93年に名誉賞を受賞しオスカー像を手にしている。
さらに上には上がいるもので、「若草の頃」(44)や「掠奪された七人の花嫁」(54)の撮影監督ジョージ・J・フォルシーは13回、「ティファニーで朝食を」(61)の美術監督ローランド・アンダーソンと「スパルタカス」(60)の音楽を担当したアレックス・ノース(名誉賞受賞)は15回のノミネート回数を誇るが、オスカー像とは縁がなかった。この3人はすでに故人となっているが、存命中の人物にはさらなる無冠記録を持つ人も。録音のグレッグ・P・ラッセル(「トランスフォーマー」シリーズ)は16回、同じく録音のケビン・オコネル(「トップガン」「トランスフォーマー」)にいたってはなんと20回ものノミネートを果たしながら、いまだ栄光に輝いていない「ハリウッドきっての不運な男」なのだ。
オコネル、ラッセル、ニューマンに続き、存命する「無冠の四天王」の一角となってしまったディーキンスだが、まだまだ受賞のチャンスはある。「プリズナーズ」でタッグを組んだカナダの俊英ドゥニ・ビルヌーブ監督の新作「Sicario(原題)」(9月全米公開)をはじめ、コーエン兄弟の新作「Hail, Caesar!(原題)」(16年2月全米公開予定)とアンジェリーナ・ジョリー監督第3弾「Africa(原題)」(16年全米公開予定)で撮影監督を務めており、どの作品でもノミネートは期待できる。来年・再来年のアカデミー賞では、「オスカー・ゴーズ・トゥ(オスカーを手にするのは)……ロジャー・ディーキンス!」という言葉が聞けるかもしれない。
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