日本アカデミー賞「劔岳」が6冠 作品賞は「沈まぬ太陽」
2010年3月5日 23:01

[映画.com ニュース] 第33回日本アカデミー賞授賞式が3月5日、東京・港区のグランドプリンスホテル新高輪で行なわれた。木村大作監督の「劔岳 点の記」が監督賞、助演男優賞を含む6部門を制覇。木村監督の悲願だった作品賞は、渡辺謙主演の「沈まぬ太陽」が受賞した。
昨年の第32回は、米アカデミー賞までも制した滝田洋二郎監督の「おくりびと」が10冠と賞レースを独占。今年は、圧倒的なスケールで描ききった「劔岳」旋風が巻き起こり、撮影賞、照明賞、録音賞、音楽賞、助演男優賞、監督賞に栄冠を勝ち取った。木村監督は、照明賞の川辺隆之、録音賞の石寺健一の受賞が発表されると、我がことのように大喜び。主演の浅野忠信や香川照之らと固い握手を交わした。
撮影賞を受賞した木村監督は、「これを取れなかったら帰っているぞ!」と冗談交じりの“木村節”を地声で展開。その後も、「本当は、撮影賞じゃ満足できません!(主演と助演の)男優賞と作品賞が欲しいんです!」と宣言し、場内を盛り上げた。最優秀助演男優賞を戴冠した香川は、「撮影前に西田敏行さんから『お金をかける映画は多いけど、命をかける映画は少ないよね』と言っていただいた。まさに我々は命をかけて撮影に臨みました。この賞は、劔岳が撮影を許してくれ、生きて帰らせてくれたからこそいただけた。困難を極めた映画を最後まで着地させた木村大作さんに心から感謝したい」と涙声で話した。

さらに、木村監督は監督賞受賞で再びステージへ。「今日はちょっとおかしいですね」と照れることしきり。それでも、「『劔岳』は映画を愛する人にとって、最大の映画だと思います。評価されたんじゃなくて、投票でもらうから意味があるんだよ。今日をもって、これから残りの映画人生、引き算でいきたいと思う」と笑顔をのぞかせた。
作品賞に輝いた「沈まぬ太陽」は、主演男優賞の渡辺と編集賞の新井孝夫と合わせて3冠。渡辺は、「映画化にこぎつけた角川歴彦さんが、若松節朗監督らスタッフ・キャストが『矜持』と向き合った結果だと思う。撮影中、家で帰りを待ちわびてくれた妻と子どもたちにありがとうと言いたい」と喜びをかみしめた。作品賞受賞後には、鳩山由紀夫総理も祝福に駆けつけ「山崎豊子さんの素晴らしい大作だけに、非常に難しかったと思います。(作品のモデルになった)JALは沈んじゃったような気もしますが、『沈まぬ太陽』のように浮上してほしい。そして、難病を乗り越えた謙さん、あなたこそまさに『沈まぬ太陽』です」と語ると、この日一番の拍手が沸き起こった。

また最優秀助演女優賞の発表では、昨年「おくりびと」で同賞を受賞しプレゼンターを務める余貴美子が、今年「ディア・ドクター」でノミネートされていた自らの名前を読み上げる珍しい光景に喝さい。余は、「ビックリして笑ってしまいました。自分のことを何て呼んだらいいんだろうと思って。これから体を鍛えて、大作さんの映画に出てみたいな」と抱負を語った。
主要各賞は以下の通り。
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