コラム:シネマ映画.comコラム - 第10回
2022年6月27日更新
“「ベイビー・ブローカー」公開記念” ソン・ガンホ主演の傑作4本!
第10回目となる本コラムでは、是枝裕和監督「ベイビー・ブローカー」の日本公開(6月24日)、そして主演のソン・ガンホが第75回カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を韓国人俳優として初めて受賞したことを記念して、20%割引キャンペーンを実施しているソン主演「パラサイト 半地下の家族」(カラー版/モノクロ版)「グエムル 漢江の怪物」「JSA」の3タイトル4本をピックアップしてオススメします。
新たな傑作「ベイビー・ブローカー」を鑑賞する前に、もしくは鑑賞後に過去の傑作、名作をぜひご覧いただき、ソンの魅力、韓国映画のクオリティの高さをご堪能ください。
▼「パラサイト 半地下の家族」
2019年製作/132分/PG12/韓国/原題:Parasite
【作品概要】
「殺人の追憶」「グエムル 漢江の怪物」「スノーピアサー」の監督ポン・ジュノと主演ソンが4度目のタッグを組み、第72回カンヌ国際映画祭で韓国映画初となるパルムドールを受賞。さらに、第92回アカデミー賞でも外国語映画として史上初となる作品賞を受賞したほか、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞(旧外国語映画賞)の4部門に輝くなど世界的に注目を集めた傑作です。
【オススメのポイント】
家族全員が失業中で、その日暮らしの貧しい生活を送っていたある一家の長男が、ひょんなことから豪邸に暮らすIT企業のCEOの子供の家庭教師として採用されます。そして兄に続いて妹、母と父もその家庭に足を踏み入れ、正反対の2つの家族に想像を超える悲喜劇が降りかかっていく展開には舌を巻くことでしょう。韓国内の格差社会といった問題にとどまらず、無意識の差別といったテーマや、内容とリンクした映画的な展開構造が欧米の映画ファン、映画人たちをあっと言わせ、韓国映画の力を世界に知らしめました。無職の父親をソンが飄々と演じながらも、時折見せる鋭い眼光がこの喜劇に説得力を与えています。終盤に見せる表情は、「殺人の追憶」のラストに匹敵する印象を残します。
▼「パラサイト 半地下の家族 モノクロVer.」
2019年製作/132分/PG12/韓国/原題:Parasite
【作品概要】
「パラサイト 半地下の家族」のモノクロ版です。
【オススメのポイント】
第72回カンヌ国際映画祭で通常のカラー版がお披露目されるより前に作られたバージョンです。映画がまだモノクロだった時代のクラシック映画にあこがれるポン監督の夢をかなえるために作成されました。日本で2020年1月にカラー版が劇場公開されると、韓国映画史上ナンバーワンとなる大ヒットを記録したことから、モノクロバージョンも劇場公開されました。映画の原点に戻ったような印象を与え、カラー版とは違った角度で見ることができ、新たな発見があることでしょう。
▼「グエムル 漢江の怪物」
2006年製作/120分/韓国/原題:The Host
【作品概要】
「殺人の追憶」に続きポン監督とソンがコンビを組んだパニック・エンタテインメントで、韓国で大ヒットを記録しました。ソウル中心部を流れる漢江の河川敷に、突如として正体不明の凶暴な怪物が出現。怪物は人々を次々と襲った後、河川敷で売店を営む一家の娘を奪って水中へ消えてしまいます。娘の生存を信じる父が家族と共に怪物に立ち向かってく姿を描いた傑作です。「ベイビー・ブローカー」にも出演しているペ・ドゥナが共演しています。
【オススメのポイント】
ソウル中心部に突如として正体不明の凶暴な怪物が出現し、人々を襲うという面白さ。日本のゴジラ、ハリウッドの怪物ものにも負けないクオリティと迫力は必見です。さらに汚染問題やウイルス感染に加え、根底に家族愛というテーマを据えた物語展開に監督の才気を感じることができるでしょう。はじめは頼りなかったが、命がけで娘を救い出そうとする父をソンが人間臭く演じ、彼にしか表現できない、怪物を前にした絶望的な表情を見ただけで胸が熱くなります。
▼「JSA」
2000年製作/110分/韓国/原題:JSA: Joint Secury Area
【作品概要】
「オールド・ボーイ(2003)」などのパク・チャヌクが監督、「甘い人生」のイ・ビョンホン、「親切なクムジャさん」のイ・ヨンエが共演したヒューマン・ポリティカル・サスペンスです。当時の韓国国内の歴代興行収入記録を塗り替え、日本でも大ヒット。韓流映画ブームの火付け役となり、韓国映画の新たな才能と潮流を世界へ知らしめた一本です。
【オススメのポイント】
製作当時はもちろん、今もセンシティブな朝鮮半島を南北に分けた境界線に位置する共同警備区域(Joint Security Area)で起こった武力衝突事件を描くという、韓国映画の製作姿勢には感服します。生き残った両国の兵士から事情聴取を進めるうちに、南と北で証言がまったく相反していき、それはまるで黒澤明監督の傑作「羅生門」のようです。境界線で南北に分けられた兵士同士ですが、事件の核心に迫るにつれ、両国の兵士の間の絆や友情が浮かびあがってきて、その思いに涙せずにはいられないでしょう。
なお「シネマ映画.com」サービス登録者は、各作品ページで視聴(購入)ボタンを押すと、お支払い画面に「ソン・ガンホ割引キャンペーン(20% OFF)(07/10まで)」が表示されますので、その右横の適用ボタンを押してください。3タイトル4本の通常視聴料金各550円から、20%割引された額がお支払金額に表示されます。今回クーポンコードの入力は不要です。
(執筆&編集者/和田隆)