瀬々敬久
京都大学文学部哲学科に在学中、自主制作映画「ギャングよ、向こうは晴れているか」で注目される。卒業後、獅子プロに所属し「課外授業 暴行」(89)で商業監督デビュー。1990年代はピンク映画界で名を馳せ、佐野和宏、サトウトシキ、佐藤寿保とともに「ピンク四天王」と称された。00年代からは活躍の場を一般作にも広げ、4時間38分の長尺で仕上げた「ヘヴンズ ストーリー」(10)がベルリン国際映画祭の批評家連盟賞とNETPAC(最優秀アジア映画)賞を受賞。「アントキノイノチ」(11)は、モントリオール世界映画祭ワールド・コンペティション部門のイノベーションアワードに輝いた。「64 ロクヨン」2部作(16)では、前編で日本アカデミー賞優秀監督賞を受賞。その後も、「8年越しの花嫁 奇跡の実話」(17)、「友罪」「菊とギロチン」(ともに18)、「楽園」(19)のほか、中島みゆきのヒット曲をモチーフに菅田将暉と小松菜奈が共演した「糸」(20)、中山七里のミステリー小説を映画化した「護られなかった者たちへ」(21)、重松清のベストセラー小説を映画化した「とんび」(22)など人間ドラマで腕を振るっている。