岡本喜八
映画監督。鳥取県米子市出身。本名は喜八郎。1941年に明治大学専門部商科に入学。43年に助監督として東宝入社。45年4月に愛知県豊橋市の第一陸軍予備士官学校で空襲の直撃を受け、この体験が創作に多大な影響を与える。
戦後東宝に復職、マキノ雅弘、成瀬巳喜男らの助監督に。58年の初監督作「結婚のすべて」でNHK最優秀新人監督賞を受賞。59年「独立愚連隊」(脚本も)がヒットを記録、シリーズ化され「独立愚連隊西へ」(60)、「どぶ鼠作戦」(62)、「血と砂」(65)の監督作含め全8作が製作された。川島雄三の企画だった「江分利満氏の優雅な生活」(63)、異色ミュージカル「ああ爆弾」(64)、自身最大のヒット「日本のいちばん長い日」、ATGと監督個人の共同出資作「肉弾」(いずれも67)などを手がけ、『「仇討ち」シリーズ「助太刀屋助六」』(69・生田大作名義で原作も)でテレビ界にも進出。
75年に東宝を退社し喜八プロダクションを設立、「吶喊」を自社でリリース。同プロは遺作「助太刀屋助六」(02)まで6本を製作した。89年に紫綬褒章を受章、91年「大誘拐 RAINBOW KIDS」で日本アカデミー最優秀監督賞・脚本賞などを受賞。05年、食道がんのため自宅で死去。81歳。07年ベルリン映画祭では欧米圏で初の特集上映が催された。
戦争映画を中心に、アクション、ミュージカル、時代劇、ホームドラマなど、多彩なジャンルを手がけ、常にユーモアを忘れない作風が特徴。「100分なら平均1,000カット」(本人談)と、日本映画には珍しく細かいカット割りで知られ、成瀬巳喜男直伝の縦の構図、中抜きなどの技術を駆使した。庵野秀明がファンを広言、「新世紀エヴァンゲリオン」など自作内でのオマージュも多い。