「東京リベンジャーズ」公開記念 時間を飛び越える、タイムスリップ&タイムループ映画5選 【映画.comシネマStyle】
2021年7月10日 11:00
毎週テーマにそったおすすめ映画をご紹介する【映画.comシネマStyle】。7月9日に大人気漫画の実写映画「東京リベンジャーズ」が公開となりました。ダメなフリーター・花垣武道(北村匠海)が学生時代に付き合った彼女・橘ヒナタ(今田美桜)を助けるため、10年前にタイムスリップして未来を変えようとする物語。
そんな本作の公開を記念して、「時間を飛び越える、タイムスリップ&タイムループ映画」をセレクト! 映画.comおすすめの5本をご紹介いたします。
「ある場所で蝶が羽ばたくと、地球の反対側で竜巻が起こる」という意味のタイトルの通り、過去のちょっとした出来事を変えることで未来が大きく変わっていくサスペンス映画。主演・製作総指揮は、「テキサス・レンジャーズ」のアシュトン・カッチャーが務めています。
エヴァン(カッチャー)は幼少期から度々記憶を喪失<ブラックアウト>していた。そんななか、13歳の時に幼馴染のケイリー・トミー・レニーと行ったいたずらのために、彼らはバラバラの生活を送ることになる。大学生になったエヴァンはある日、過去に自分の書いた日記を読んだことをきっかけに、その日記を書いた日の<ブラックアウト>した時点にタイムスリップできることに気づく。過去の記憶をたどるため、現在の幼馴染たちに会いにいったエヴァンは、かつて恋していたケイリー(エイミー・スマート)が過去のトラウマに悩まされていることを知る。彼女のたどる未来を変えるため、エヴァンは過去を変えるためにタイムスリップをするが、彼が変えた過去のために未来は思わぬ方向に変わってしまう。
どうしても変えたい過去というのは誰しもひとつくらいはあると思います。「あの時ああしていれば」「あんなことが起こらなければ」。しかし、その選ばなかった選択の先に待っている未来で確実に幸せになれるのか……というとそうではない、ということを痛感させられる映画です。
エヴァンはよりよい未来を目指して何度も何度もタイムスリップを繰り返します。はじめは、ケイリーと自分の幸せな未来のためという思いから始まっていましたが、次第にどんな未来にも満足することができなくなっていくのです。そして彼が最後にした選択、その決断に胸が締め付けられます。
あなたの変えたい過去はいつですか?
過去にもテレビドラマや実写映画で映像化されてきた筒井康隆氏の名作小説を、細田守監督が初めてアニメ化。2006年の公開時、わずか6館での上映から口コミで評判となり、8カ月を超えるロングランを記録しました。「新世紀エヴァンゲリオン」の貞本義行がキャラクターデザインを手掛けています。
高校2年生の紺野真琴は、学校の理科実験室に落ちていたクルミをうっかり割ってしまったことをきっかけに、時間を飛び越えて過去に戻る「タイムリープ」の力を手に入れる。その力を使い、友達の間宮千昭や津田功介と好きなだけカラオケを歌ったり、野球で好プレイを連発したりと、何気ない日常を思う存分満喫する真琴。何があっても過去に戻り、何度でもリセットできる。そんな楽しい毎日が続くはずだったが……。
タイムリープの能力を手に入れて、高校時代に戻りたい! 本作を見ると、いつもそんなセンチメンタルな気分になります。放課後の野球、夕日に照らされた川原を自転車ふたり乗りで駆け抜ける帰り道――真琴&千昭&功介の青春がとにかく眩しくて、誰もが自分の青春時代を思い浮かべてしまうことでしょう。
千昭と功介を大切に思っている真琴は、「ずっとこのまま3人でいたい」と願います。ですが、理科実験室の黒板に書かれている言葉“Time waits for no one.”が示すように、タイムリープの回数にも限界があり、永遠に時を止めることはできない。進路のこと、恋愛のこと――選択しなければならないことは山積みで、変化が訪れると、いま手のなかにあるものを失ってしまいそうで怖くなる。しかし、真琴は時を自在に行き来するうちに、自分の大切なものに気付くのです。
劇中で真琴は何度もタイムリープのために飛び、そして走ります。大人になると、日常で「走る」ということがなくなったような気がして、走ることは青春の特権のようにも感じられます。空に向かって大声で泣き、脇目もふらず一心に走る。どこまでも真っ直ぐなその姿が強く焼きつけられた心で、終盤のあの名ゼリフを聞くと、いつも胸がしめつけられるのです。
「時を止めたい」と思っていた少女が、過去に戻る力を手に入れ、「時が経つ」ことを受け入れられるようになっていく。かつてタイムリープをしたことがある人もない人も、真琴の成長に、心が揺さぶられるはずです。
なお日本テレビ系「金曜ロードショー」では、7月2日から3週連続で細田監督作品を放送。「おおかみこどもの雨と雪」(7月2日)、「バケモノの子」(9日)、「サマーウォーズ」(16日)がラインナップされています。さらに16日には最新作「竜とそばかすの姫」が公開。この夏はおうちでも劇場でも、細田監督作品を存分に楽しめそうです。
「踊る大捜査線」シリーズの本広克行監督が惚れこんだ、京都の劇団「ヨーロッパ企画」の芝居「サマータイムマシン・ブルース 2003」を、自ら初プロデュースも手がけ映画化。永山瑛太、上野樹里、真木よう子、ムロツヨシ、佐々木蔵之介らが共演しています。
うだるような暑さの夏休み。ある大学のSF研究会の男子学生たちが、グラウンドで野球に興じている。一方、SF研部室の奥にある暗室では、カメラ部の女子部員たちがグループ展のため、作業に没頭していた。そんなありふれた日常に、突如タイムマシンが現れ、学生たちは思いがけない事態に巻きこまれていく。
「タイムトラベルもの」と聞くと、どこか構えてしまいがちですが、本作に関しては心配ご無用! 何に使うのかよく分からないおもちゃや看板で溢れかえった秘密基地のような部室で、「暑い~」といいながら、ゆるいトークを交わす学生たち。そんな暇を持て余した彼らの前に、タイムマシンが登場! 「壊れる前のクーラーのリモコンを手に入れる」という目的のため、主に昨日と今日、わずか2日間を行き来する、世界一(!?)スケールの小さいタイムトラベルが描かれます。
遥か彼方の時代にも行けるはずなのに、「まずはテスト」と称して昨日に戻ったり、「過去の自分たちを尾行する」「シャンプーを盗んだ犯人を探す」など、くだらないことしか思いつかなかったり。タイムマシンもレトロで、「本当にこれでタイムトラベルができるの!?」という代物。果ては、過去を変えることのリスクに気付き、その修正やつじつま合わせに追われます。「バカだな~」と笑いながらも、実際にタイムマシンが現れたら、壮大な夢や野望はとりあえず脇において、目先のことに使ってしまうのかも……と、妙なリアリティも感じさせます。
SF研究会の拓馬(永山)が春華(上野)をデートに誘う名画座では、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を上映しているなど、遊び心も満載です。学生ノリの会話や青春コメディの要素が笑いを誘う一方で、伏線がちりばめられ計算し尽された脚本や、SF研究会顧問・穂積(通称ホセ/佐々木)による、タイムトラベルにまつわる解説パートも必見。
「タイムトラベルもの」を見ていると、途中でついていけなくなったり、小さな矛盾がスルーされて気になったりすること、ありますよね。ですが本作では、タイムトラベルの不思議が様々なエピソードとして織りこまれ、「なぜ」が分かりやすく提示されているので、「入門編」としてもおすすめです。
「ゲット・アウト」「スプリット」「ハロウィン」などホラー、サスペンス作品を数々ヒットさせているプロデューサーのジェイソン・ブラムが製作、「パラノーマル・アクティビティ 呪いの印」のクリストファー・ランドン監督という強力ホラーチームが手掛ける、タイムループ(コメディ!?)ホラー作品です。
女子大生ツリー(ジェシカ・ロース)は誕生日の朝、見知らぬ男のベッドで目を覚ます。相変わらずの一日が始まったはずが、夜パーティに出かけると、ベビーマスク姿の殺人鬼に襲われ、殺される。しかし、再び誕生日の朝の見知らぬ男のベッドの中で目を覚ます。同じ日を繰り返したツリーだが、再びベビーマスク姿の殺人鬼に襲われ殺されてしまう、が、殺されるたびに誕生日の朝に舞い戻ってくる。タイムループから抜け出すため、殺人鬼を見つけ出し立ち向かおうとするのだが……。
毎回毎回、不気味なベビーマスクの殺人鬼に襲われ続けては、一日をやり直す……という地獄のようなループにハマる、なかなか体験したくない話です。しかもツリーは、派手で性格がやや歪んだ女子大生。一体誰が自分のことを殺したのかと考えるも、候補者が多すぎて特定が不可能なほど。
しかし彼女のいいところは、抜け出す方法が見つからず、やややけになり、どうせ戻るんだから人生を楽しもうと、裸で学校内を歩いてみたり、今まで言えなかった友達への文句を言ってみたりと謳歌します。
しかし、殺される度に彼女の体はダメージを負っており、無限に繰り返すことができないと悟った時、改めて彼女は殺人鬼、そして自分自身の気持ちに向き合う決心をするのです。
殺人鬼に狙われるホラー作品でもあり、1日から抜け出せないタイムループSF、彼女を執拗に狙う殺人鬼は誰なのかを考えるミステリー要素、大学生らしい友情や恋愛、さらには殺人鬼との幾多のバトルを楽しめるアクションと要素てんこ盛りの作品です。
続編の「ハッピー・デス・デイ 2U」では、タイムループから抜け出せたはずのツリーが、今度は平行世界<パラレルワールド>の誕生日の朝へと飛ばされ、再び殺人鬼に狙われる!というさらなる要素のアツ盛映画になっていて、最高に楽しめるので2作品合わせての鑑賞がおすすめです。3作目の製作も決まっているので、次はどんな新しい要素が追加されるのか楽しみです!
同じ1日が繰り返されるタイムループの中で出会ったふたりを描いたAmazon Prime VideoオリジナルのSF青春ドラマ。
24時になるとまたその日の朝に戻る、という日々を繰り返していたマーク(カイル・アレン)。彼はそのループから抜け出す方法もわからず、永遠に続く平凡な毎日に飽き飽きしていた。そんなある日、自分と同じタイムループにハマってしまったマーガレット(キャスリン・ニュートン)と出会う。初めて話題を共有できる相手を見つけて喜ぶマークは、彼女と一緒に街で起こる小さな“奇跡”を集め始める。いつしかマーガレットに惹かれていくマークだが、彼女はいつも夕方にはどこかへと消えてしまう。
1日に閉じ込められるタイムループ映画の中で、いつも問題になるのが「どうやったらこのループから抜け出せるのか」。彼らがループから抜け出す方法として考えたのが、街で起こる小さな“奇跡”をすべて集める、という方法です。清掃員が隠れて弾く素晴らしいピアノ演奏、たまたま止まったトラックの絵柄とその手前に座る人の完全なコラボ、鳥が魚を捕まえる瞬間……。そんな普段なら見落としていてもおかしくはないような、日常に埋もれている“奇跡”“感動”をどんどん見つけていくのです。
たったふたりだけが取り残されたような世界の中でそれでも奇跡を集めていくという姿には、今もなお続く鬱屈とした社会情勢の中で、時に取り残されたような気持ちになっていた筆者の心に強く突き刺さるものがありました。こんなときだからこそ、小さな奇跡を見落とさないように、一日一日を大切に過ごしていきたいと感じさせてくれる映画です。
いかがでしたか? 気になる作品やお気に入りの作品はありましたか? 過去に戻れたら、あの日をやり直せたら、そんな一度は夢想する世界を描いた作品たちと映画を通じて時間旅行してみるのはいかがでしょうか?
みなさんからのおすすめ映画もお待ちしております。Twitterやコメント欄であなたのスキな「#時間を飛び越える映画」を教えて下さい。
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