【第44回日本アカデミー賞】作品賞は「ミッドナイトスワン」!「Fukushima50」が最多6部門
2021年3月19日 23:29

第44回日本アカデミー賞の授賞式が3月19日、東京・グランドプリンスホテル新高輪国際館パミールで開催され、内田英治監督のオリジナル企画を草なぎ剛主演で映画化した「ミッドナイトスワン」が最優秀作品賞に輝き、幕を閉じた。また、佐藤浩市と渡辺謙が共演した「Fukushima50」が最多6部門を制した。
最優秀作品賞が発表されると、「ミッドナイトスワン」でトランスジェンダーの主人公・凪沙に息吹を注いだ草なぎは、「マジか!?って感じですよね。奇跡って起こるんだなって。諦めたりしないで、一歩ずつというか、たまに振り返ることも人間誰しもあると思うんですけど、またそこから少しでも進むと、何かいいことあるんだなと」と感無量の面持ち。さらに、「本当に皆さんに感謝していますし、大変な世の中ではあるんですけど、皆さんとともに一歩ずつ進んでいきたいなと思っています。本当にこの映画を愛していただいて、ありがとうございました」と頭を下げた。

同作は、トランスジェンダーの主人公と親の愛情を知らない少女の擬似親子的な愛の姿を描いた、内田監督のオリジナル脚本作。口コミから興行収入7億円を突破するまでのヒットを飾っただけに、内田監督は「当初は本当に何の後ろ盾もない映画だったんですけど、見ていただいた。見ていただいたひとりが、ひとりまた二人、三人と増えた。本当に映画って、長澤さんがおっしゃっていましたけど、ひとりでは作れないんだなって。スタッフと役者、そしてやっぱり観客……、観客があってこそのやっぱり映画なんだと思いました。今回は本当にありがとうございました」と喜びをかみ締めた。

内田監督と二人三脚で製作した森谷雄プロデューサーも、関わるスタッフ全員が同じ方向を向いて作り上げたと強調。「草なぎさんの眼差し、服部(樹咲)さんの眼差し、それを見つめている内田監督の眼差し、そして全スタッフの眼差しがひとつなってこの作品になったと思っています。そして、このコロナ禍で、劇場に足を運んでくださった観客の皆さんの眼差しがですね、またひとつなって、最優秀作品賞に導いていただいたと本当に思っております。観客の皆さんの眼差しは本当にやさしくて、尊いものだったと実感しております」と感謝の念をにじませた。
若松節朗監督がメガホンをとった「Fukushima50」は、最優秀監督賞、最優秀助演男優賞のほか、技術部門で強さを見せつけた。最優秀撮影賞、最優秀照明賞、最優秀美術賞、最優秀録音賞を戴冠するなど、最多6部門を受賞する快挙を成し遂げた。
羽鳥慎一氏と前年の第43回で最優秀主演女優賞に輝いたシム・ウンギョン(「新聞記者」)が司会を務めた第44回は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により全国の映画館が休業を余儀なくされたことなどを考慮し、2019年12月16日から20年12月31日までに公開され、選考基準を満たした作品(日本映画154本、外国映画210本)に対し、同賞協会会員3953人の投票が行われた。
第44回日本アカデミー賞受賞者一覧は、以下の通り。
最優秀監督賞:若松節朗「Fukushima50」
最優秀脚本賞:野木亜紀子「罪の声」
最優秀主演男優賞:草なぎ剛「ミッドナイトスワン」
最優秀主演女優賞:長澤まさみ「MOTHER マザー」
最優秀助演男優賞:渡辺謙「Fukushima50」
最優秀助演女優賞:黒木華「浅田家!」
最優秀撮影賞:江原祥二「Fukushima50」
最優秀照明賞:杉本崇「Fukushima50」
最優秀音楽賞:梶浦由記/椎名豪「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」
最優秀美術賞:瀬下幸治「Fukushima50」
最優秀録音賞:柴崎憲治/鶴巻仁「Fukushima50」
最優秀編集賞:石井巌/石島一秀「男はつらいよ お帰り 寅さん」
最優秀アニメーション作品賞:「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」
最優秀外国作品賞:「パラサイト 半地下の家族」
新人俳優賞:服部樹咲、蒔田彩珠、森七菜、岡田健史、奥平大兼、永瀬廉
協会特別賞:池端松夫(背景・塗装)、安彦良和(アニメーター・キャラクターデザイン)、納富貴久男(ガンエフェクト)
会長功労賞:石原まき子、小山明子、鈴木達夫、前田米造、吉行和子
会長特別賞:宍戸錠さん、大林宣彦さん、渡哲也さん
協会栄誉賞:岡田裕介さん
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