【コラム/細野真宏の試写室日記】「さんかく窓の外側は夜」VS「樹海村」。日本でホラー映画ブームは続くのか?
2021年1月21日 16:00
映画はコケた、大ヒット、など、経済的な視点からも面白いコンテンツが少なくない。そこで「映画の経済的な意味を考えるコラム」を書く。それがこの日記の核です。また、クリエイター目線で「さすがだな~」と感心する映画も、毎日見ていれば1~2週間に1本くらいは見つかる。本音で薦めたい作品があれば随時紹介します。更新がないときは、別分野の仕事で忙しいときなのか、あるいは……?(笑)(文/細野真宏)
新型コロナウイルスの第3波により1月23日公開予定だった「シン・エヴァンゲリオン劇場版」が公開再延期となってしまいましたが、「シン・エヴァンゲリオン劇場版」のような大ヒットが狙えそうな作品はさておき、通常の「興行収入10億円を狙う規模の作品」まで延期になっていく懸念さえありました。
ただ今のところは、そこまでの事態にはいかなそうな雰囲気です。
それは、やはり先週末の週末ランキングで1位と2位を争った「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」と「銀魂 THE FINAL」の成績にも関係があるのでしょう。
大都市圏の映画館が緊急事態宣言によって、事実上、営業が20時までとなり「レイトショー」がなくなったので、仕事上がりの映画鑑賞が無理になったりとダメージは続きます。それでも「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」は週末の土日で14週目であるにも関わらず、興行収入2億円を稼いで再び「週末ランキング1位」となり、興行収入361億7640万円にまで行っています。
緊急事態宣言の影響でペースが落ちてはいます。とは言え、まだまだ堅調なのでテコ入れをすることにより興行収入400億円を目指すことも可能な水準です。
これは、「銀魂 THE FINAL」の1週目と2週目の結果からも分かります。
1週目の入場者特典が「鬼滅の刃」関連だった「銀魂 THE FINAL」は、1週目は公開4日間で興行収入5億3135万円となり、週末動員ランキングでは一時的に「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」のV13を阻止する勢いになりました。
しかし、2週目で入場者特典が「銀魂」関連だけになったこともあり、「銀魂 THE FINAL」は10日間で動員60万1322人で興行収入8億3362万円と、やはり勢いが落ちています。
これは未だに「鬼滅の刃」のポテンシャルが高いということを証明する結果とも言えます。
この先の新型コロナウイルスの終息後に「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」が「歴代興行収入1位記念」的なもので入場者特典を付けると、一気に全国の映画館に起爆剤を投入する形になり得て、まだまだ映画館の救世主的な存在になれることを意味していると思います。
さて、「銀魂 THE FINAL」は公開直前に緊急事態宣言がぶつかってしまいましたが、興行収入15億円~20億円は可能な推移だと想定されます。
緊急事態宣言前は興行収入20億円~25億円のポテンシャルだと思っていたので、緊急事態宣言後に公開される作品はやはり当初の想定から下方修正は避けられない状況のようです。
そんな中、今週末公開の「さんかく窓の外側は夜」と、再来週の2月5日公開の「樹海村」に、昨年からの「ホラー映画ブーム」の流れで期待が集まります。
まず、1月22日(金)に公開される「さんかく窓の外側は夜」は、岡田将生と志尊淳のコンビに加えて、(欅坂46の元メンバーである)平手友梨奈も活躍する作品です。
この作品は、除霊や連続殺人事件の謎を追う「ミステリー・ホラー映画」となっています。
「ホラー映画」と言っても、「マイルドホラー映画」の括りなので、「ホラー映画が苦手」という人も大丈夫です。
正直「さんかく窓の外側は夜」というタイトルが意味不明なので、見るまでは判断できませんでしたが、特殊な設定でミステリー作品としての独自性があり想像以上に面白かったです。
「IT イット THE END “それ”が見えたら、終わり。」の興行収入22億2000万円を超え、“今世紀ホラー映画No.1ヒット作品”となった亀梨和也主演「事故物件 恐い間取り」と同様に配給が松竹となっています。
「事故物件 恐い間取り」も「ホラー映画」ではありましたが、終盤は「ハリー・ポッター」シリーズを彷彿させる(?)ような面白さがあり、これも「ホラー映画」というより「マイルドホラー映画」といった感じでした。
ちなみに、私は「さんかく窓の外側は夜」のほうが、ストーリーの必然性があり好きでした。
岡田将生と志尊淳のコンビは、まだこれから、という感じでしたし、平手友梨奈は本人の雰囲気と相まって、まだまだベールに包まれている印象です。
本作は、興行収入10億円を超えたら続編もありそうな雰囲気がするので、その点でも注目したいと思います。
岡田将生と志尊淳のコンビのパートナーである刑事役の滝藤賢一も味のある良い感じでしたし、平手友梨奈の映画デビュー作「響 HIBIKI」で育ての親的な存在でパートナーを務めた北川景子との再共演もあり、これらも見どころの一つとなっています。
そして、再来週の2月5日(金)公開の「樹海村」ですが、こちらは「犬鳴村」に続く「恐怖の村シリーズ第2弾」です。
「犬鳴村」は、ちょうど1年前の2020年2月7日(金)という新型コロナウイルスの第1波の序盤に公開され、興行収入14億円を突破し、昨年の「ホラー映画ブーム」を作るきっかけとなった作品です。
配給は東映で、清水崇監督が続投です。
最初のユーチューバーのくだりは、「犬鳴村」を良い意味でフォーマット化している作りで、ホラー映画の成功作「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」を彷彿させる感じで本シリーズの持ち味となっています。
ただ、本作は全体としては「ちょっとやり過ぎなのかな?」という印象でした。
「ホラー映画」シリーズは、定番化すると固定ファンが付き安定しますが、作品の求心力となる「ストーリーの必然性」は意外と難易度が高いものだな、と実感しました。
果たして「恐怖の村シリーズ」の「2匹目のどじょう作戦」は、製作陣の目論見通りに成功するのか。
結果として同じ時期の公開となる2作品が、今後の「ホラー映画」ブームの行方を左右しそうなため大いに注目したいと思います。
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